アートの周辺 around the art

美術館、展覧会、作品、アーティスト… 私のアンテナに
引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

幻想の画家ダリとフランス近代絵画の巨匠たち ~諸橋近代美術館コレクションより~

2014-03-06 | 展覧会

ただいま、わがホーム・ミュージアムである滋賀県立近代美術館では、タイトルの展覧会を開催中。諸橋近代美術館は、福島県の裏磐梯の美しい自然に抱かれた、ヨーロッパのお城のような美術館。世界でも屈指の約350点のダリ・コレクションを誇る他、ヨーロッパ近代美術の作品群も充実しています。

そのコレクションをお借りして実現した本展、前半は印象派からシュルレアリスムへ向かうヨーロッパ近代絵画の流れを、後半はダリの油彩画、水彩画、版画、彫刻など、多彩で多才な芸術活動を紹介しています。チラシは「ルノアール」ですが、メインはやっぱり「ダリ」ですね。

元々美術館を志向しておられたのかはわかりませんが、個人のコレクションらしく、中ぶりの優品が数多く見られます。展示作家も、ルノワール、セザンヌ、マティス、ピサロ、ピカソ、ゴッホ、シャガール、ミロ…(それ以外にも!)と、オールキャスト!かつて滋賀の美術館にこれほどの作家の作品が集まったことがあったでしょうか…。ヨーロッパ、特にフランスの近代美術を概観するには、とても良い機会となります。

ピカソの若き日のエッチング、藤田嗣治のメキシコで描いた水彩が、私の心に残りました。地味な作品ではありますが、線の美しさと技の素晴らしさを味わえます。ホント、うまいですわ~!!

さて、後半のダリですが、これほどまとまったコレクションを見るのは実は初めてです。あの髭がビヨーンとなった肖像写真からも奇妙な作家という印象が強いです。あの有名なグニャリとなった時計の作品はもちろんないですが、何と!それを立体化した彫刻作品が出品されていました。ブロンズでできているのに、ホントにやわらかそうで不思議、とっても触りたかったです。

シュルレアリスムの代表的な作家であるダリは、心象を映し出すような幻想的な作品を数多く残していますが、同時代の心理学者フロイトの影響を大きく受けているそうです。油彩の作品は、色もはっきりしていて明快な作品が多かったです。(テーマは難解ですが…) 興味深かったのは、「カルメン」「ドン・キホーテ」などの挿絵として描かれた組作品の版画たち。筆をたたきつけるような画法が迫力あっておもしろいな~と思いました。表現も多彩で見ていて楽しいです。

もっといろいろとバックグラウンドを知りたくなる不思議な作家でした。これだけのコレクションを築かせてしまう底知れない魅力があるのでしょうね~。

3月30日(日)まで。ぜひたくさんの名品たちに会いに、春の訪れを感じられる緑多き美術館まで足をお運びくださいませ!!

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