アートの周辺 around the art

美術館、展覧会、作品、アーティスト… 私のアンテナに
引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

白洲正子「神と仏、自然への祈り」@滋賀県立近代美術館

2010-11-13 | 展覧会
楽しみな展覧会が始まった!と思っていたら、あっという間に来週は最終日。期間が一カ月しかないので短いです。まわりの木々も色づき始めた今日、やっと訪れることができました。白洲正子人気はやはりスゴイ、たくさんのお客様が来館されていました。

展覧会の構成は、「自然信仰」「かみさま」「西国巡礼」「近江山河抄」「かくれ里」「十一面観音巡礼」「明恵上人」「神と仏の仲立ち 修験の行者たち」「道」「古面」と10の区分に沿って、主に滋賀県の寺社に納められている仏像などが展示されています。こうしてみると、滋賀県やるやん!って感じで、お宝がいっぱいあるのだなあ~と感心しました。

「十一面観音巡礼」(講談社文芸文庫)は、私が唯一持っているエッセイ本で、そこに白洲さんがこの観音像に魅せられ各地を訪ねるさまが著されています。本展にも十一面観音が多く展示されていましたが、時代もいろいろ、同じ11の顔を頭に頂いてはいますがその表現は多様で興味深いものがありました。ここで、おーー円空さんに初めて出会う事ができました。円空さん作の十一面観音像(滋賀県・太平寺観音堂)は、超素朴。お腹が少しでっぷりしているようでしたが、白洲さんは「自然の樹木のよじれのように見え」ると書かれていました。
円空さんの他の作品には、観音像群像(岐阜県・千光寺)があり、31体のうちの10対ということでしたが、円空さん独特の木の木目を生かした仏像が集団で眼に飛び込んできたとくは、「おっ!」という衝撃がありましたよ。みなさんソフトクリームみたいなものを頭に抱いて、表情は同じような横に引いたラインだけなのだけど、何だか全部違う表情に見えるもんなんですね~。柔和でユーモラス。ずっと見ていたい気持ちになります。

そもそもこの白洲さんの本を買ったのは、10年ほど前に滋賀県は渡岸寺を訪ねて、国宝・十一面観音像の素晴らしく優美なお姿に感動!!したからでした。今もかどうかわかりませんが、その時は、国宝というのに、直に拝見でき、前から後ろからと、小さなお堂で観音様との濃密な空間を堪能できたことも感激の理由だったと思います。十一面観音は不思議な魅力をたたえていることに共感いたします。

展示の後半には、けっこうこの館では見たことないような、大きな立像が展示されていました。もっとも巨大だったのは、4メートルほどの高さがある「軍茶利明王像」(栗東市・金勝寺)。準備のときに寝てはったのはアナタですね~、きょうはしっかり怖い顔で立っておられなかなかの迫力でした。もっと天井が高くて、東京国博みたいに照明とか凝れば、オモシロイのに~と思ったりしました。

展示品には、白洲正子さんが実際に手元に置いて愛でていた品物もありました。お顔が擦れてなくなったような十一面観音と一緒に住んでおられたとのこと、他にも白洲さんの美意識がうかがえるような品々でありました。

今回は私たちサポーターによる企画展の解説はありません。なぜなら女優・真野響子さんによるイヤホンガイドがあるからです!この機会に白洲さんの書籍ももっといろいろと読んでみたいものだと思いました。11月21日(日)までです。未見の方はぜひ!

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