荒川三歩

東京下町を自転車で散策しています。

真冬の鬼子母参道と上川口屋

2022年01月29日 | 散文

欅がすっかり葉を落としました。空の青さが目に染みます。真冬の空の青です。

 

参道を行きます。

 

すっかり葉を落とした参道は、木漏れ日がありません。

 

風が無いので暖かいです。

 

欅並木の冬景です。

 

欅を見上げます。

 

冬空を見上げます。

 

陽射しが注ぎます。暖かい参道です。

 

振り返ります。冬なのにホッコリします。

 

さて、やって来ました上川口屋です。今日は営業しています。居ないのかな?

 

左の隅に小ごまって居ました。お婆ちゃんに「日陰は寒いでしょう?」と聞きます。「寒いわよ。今日は上着7枚と、靴下を4枚履いているわよ」「衣装持ちですね」とツッコミます。「そんなに着込んだら動きづらいでしょう」「そう、靴下を4枚履くと、4枚目は踵が入らないので男物を履いているわよ」ひと笑いして注文します。

「アラレとピスタチオ味キャラメルと暖かいお茶を下さい」「飲み物はラムネだけ、暖かい飲物はそこのコンビニにあるわよ」「ここで買いたいのよ。これは何」「カルメ焼きよ」「わあ懐かしい!でも小さくて分からないよ」カルメ焼きを親指と人差指を丸めた大きさに切って、爪楊枝を刺しています。全部で283円です。お金を払いながら聞きます。

 

「先日から、硬貨の両替に手数料を取るようになったので大変でしょう」「そうなのよ!この商売は小銭の商売だからね。毎月2万円ずつ銀行に預けていて、仕入れの為もあってね。年末に少し下ろして孫のお年玉の為に5千円札に両替を頼んだら、手数料が要りますって言うのよ。頭にきて、『じゃあいいです』と帰ってきて、千円札でお年玉を渡したら、孫が言うのよ。『お婆ちゃん5千円札で頂戴』って。言ったのよ。教育だから。『お婆ちゃんの商売を知っているだろう?1円玊・5円玉・十円玉・百円玉を握りしめて買いに来る子供相手の商売に5千円札はありませんっ!』って」「これからは預けるにも手数料が要るね」

カルメ焼きを齧りながら聞いています。思いの外硬いです。空気が冷たいせいでしょうね。「こう寒いと子供も来ないでしょう?」「そうなの、コロナのせいもあるしね」「足元に暖房器具を置いたら?」「狭いからぶつけて危ないのよ。ここは北向きなのよね。もう大変、そこの日溜りとは3度くらい違うわよ。でもね、夏は涼しいのよ。両方上手く行くことは無いのよ。何でもね」人生訓ですね。

アラレを口に放り込みながら聞いていると、足元を茶トラの猫が無愛想に通り過ぎます。「マイケル?」「そう、3日に1回くらいやって来て、朝餌くれってこの戸を引っ掻かいて私を起こすのよ。彼女ができてね。気が弱くて心配してたのよ」

・・・北向きの日陰は底冷えがします。次の客が来たら帰ろうと思っていますが、この真冬の寒さに参拝者も居ません。こうとなったら、帰るタイミングが難しいぞ・・・。


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6 コメント

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Unknown (ベル)
2022-01-29 08:29:40
おはようございます
婆ちゃん元気で商売してますね
人が来ないと退屈
駄菓子屋さん特有の戸が閉まらない店構え余計寒いでしょうね
次のお客来ないと帰れない売る方も買う方もしっかり防寒対策しとかないと大変です(笑)
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Unknown (ニノッチ)
2022-01-29 11:10:22
硬貨の両替手数料は困ったものですね!
私は現役時代から500円硬貨を貯めていました。
5年位前ゴルフクラブを買うために手数料なしで両替しました。(20数万円有りました。)
その後も、500円硬貨を貯めています。
手数料は、郵便局で通帳に預金すれば手数料なしですヨ。但し 50枚までで数量を確定して持ち込む必要が有ります。(50枚有りますので預金お願いします、としなければなりません。)
 何れにしても弱者いじめですね!
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ニノッチさん (荒川三歩)
2022-01-30 12:09:40
凄いですね。塵も積もれば山となるですね。
貯金は日本人のたしなみというか、美しい習慣でした。
小銭を軽視するみたいで、この方針嫌です。
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ベルさんも (荒川三歩)
2022-01-30 12:16:23
気になるお婆ちゃんは、着膨れでコロコロの身体です。
この時期は、正月明けと寒いのとコロナ禍で参拝客も有りません。
人が来ないと商売になりません。店を維持するのが大変です。売り上げに貢献したいけど、駄菓子の売上は知れたものです。
それにしても、金融機関が小銭を軽視するのはけしからんと思います。
駄菓屋等の零細商店イジメです。
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Unknown (sakanoue)
2022-01-30 20:42:17
こういう昔ながらのお店貴重ですね。
昭和時代が懐かしくなります。
貧しいけれど、活気があり、未来への希望があふれていた気がします。
今はコロナが人間としての楽しみを奪ってしまったみたい。。。
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sakanoueさん (荒川三歩)
2022-01-30 21:23:55
今晩は。
商店街とか銭湯とか、今後繁栄しないものを惜しんで散策しています。
昭和中期の日本は、貧しいけれど明日の希望がありました。今日より明日は良い時代になるという確信がありました。言わば健康的な貧しさでしたが、今は希望が無いですね。
若者が気の毒です。
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