一つ

例えば、春の風が吹いて僕を通り抜けて、目の前の木々を揺らす時

風を感じるのと同時に君を思い浮かべる
そんな出来ごとがある度
『色んな出会いがあるけれど、きっとこれは大きな出会いなんだね』と考えては
６０億分の１の奇跡を
風の中に、小さな結び目を淡く乗せて感謝する

だって
一瞬の風に顔を上げて思い出す存在なんて
そうそうないだろう？
だから、

目で追った風の中に
僕を彩ってくれる、その息吹を鮮烈に喜べるのは
それはそれは確かに

奇跡と呼べる一つなのです