無線室

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読売新聞が交信を誤訳

2014-03-13 11:09:59 | 航空無線
 3月8日に、クアラルンプールから飛び立ったマレーシア航空370便北京行きが行方不明になりました。今日で6日目を迎えますが、いまだに発見に至る手がかりすらつかめていません。

 そんな中、読売新聞は中国のニュースサイトを引用する形で、3月12日にこのような記事を掲載しました。
了解、おやすみ…不明機パイロット最後の交信

 中国紙「新京報」(電子版)などによると、マレーシア民間航空局の当局者は12日、消息を絶ったマレーシア航空機の中国人乗客の家族らと北京で対面し、同機と地上管制との最後の交信内容を公開した。

 同機が消息を絶つ直前、ベトナムの管制域に入る際、マレーシアの管制が「間もなくホーチミンの管制域に移る」と伝えたところ、パイロットが「了解。おやすみ」と応じたのが、最後の交信だったという。
 この記事だけを鵜呑みにすると、パイロットが操縦中に寝ようとしていたのが消息を絶った原因と受け取られかねません。管制を引き継ぐときに交わされる「good night」という挨拶を誤訳しているのです。
 読売新聞が名前を挙げた新京報では確認できませんでしたが、人民網(人民日報電子版)に英語の交信が掲載されていました。
 それによると、読売新聞の「了解。おやすみ」としていた部分は「Alright, good night」とされ、中国語で「好的,晚安」と訳されています。「晚安」は日本語で「おやすみなさい」という意味になるので、読売新聞はそのまま訳してしまったのでしょう。

 エアバンドリスナーなら、交信を終えるときに使う昼間の「good day」と夜間の「good night」は非常にポピュラーな挨拶なのはご存知かと思います。あえて訳すなら、さしずめ「さようなら」程度の意味しかないでしょう。
 それなのに、「おやすみ」とさもパイロットが就寝するかと思われそうな交信をしていたと誤解されかねない翻訳は問題です。記事を編集する段階で、「おやすみ」は不自然ではないかという内部の論議は起こらなかったのでしょうか。

 忽然と姿を消してしまったマレーシア航空370便。今後の動静が気がかりですね。