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   ある日のできごと、心の呟き、よしなしごとetc

パンチャタントラ物語 ─古代インドの説話集

2023年02月18日 | 遊び・おもちゃ

私の本棚にある『パンチャタントラ物語』を久しぶりに手に取り、読み始めています。

パンチャタントラは、世界で最も古い子どものための説話集です。

 

    

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パンチャタントラ物語 ─古代インドの説話集

シブクマール 著 , 下川 博 翻訳

筑摩書房

刊行年 1996年

ISBN 4480831711

世界中で訳され愛されている最上の物語。人生の知恵の宝庫。

愚かな王子たちが半年で賢くなったといわれる古代インドの寓話28編。


1 友情

2 古井戸の中のライオン

3 首切り

4 カラスの仇討

5 ロバさんは歌が好き

6 口は災の元

7 舌先三寸

8 ヘビと結婚した少女

9 商人魂

10 リーダーシップ

悪い夢

学問は身を滅ぼす

目覚め

ネズミにはネズミ

ごほうびは死

恩知らずはだれ?

修行不足

王様の味

お坊さんをだます法

四人は友達

死んだふり

汚れた顔の天使

お客人

月よりの使者

勝手な王様

三匹三様

おしゃべりなほら穴

約束

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※税込価格 1,540円ですが、在庫切れの店が多く、ネットでは中古品が1,133円、2,498円、4,980円などで売られています。

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 サルさんとワニさんの「友情」には切ないものがあります。

もしワニさんに奥さんがいなかったら、葛藤もなく、翳りのなく、二人は変ることなく楽しく人生を過ごしたでしょうに。

奥さんを取るか、サルさんを取るか…。人生は、こういう究極の選択の連続でもあります。

 

 

2 古井戸の中のライオンには、ライオンとウサギさんが出てきます。

ウサギさんは勇気と知恵があります。

 

 

3 首切りには、コウノトリのおっさんとカニさんが出てきます。

ずるいコウノトリのおっさんには悲しいけれど相応しい最期が待っていました。

 

 

4 カラスの仇討は、ヘビに子どもを食べたられた、気の毒なカラス夫婦が仇討ちをします。

仇討ちは、虚しく、後味の悪いもの…と、しみじみと知り、救われないカラス夫婦です。

 

 

 ロバさんとジャッカルが出てくるロバさんは歌が好き。

どうしてロバさんはこんなに思い悩まずに生きて行けるのか…と、不思議で、羨ましいとさえ思えます。

 

 

 ガンさんとカメさんの友情物語の、口は災の元。

落下することを忘れるほど興奮状態にあるカメさんの、ガンさんたちへのあつい友情。

カメさんは微笑みながら落下して死ねたのではないかしら。

落下していくカメさんをただ見ていることしかできないガンさんたちの辛さは、いかほどでしょう。

 

 

7 舌先三寸は、年老いて狩りができにくくなったライオン、口のうまい、役者のようなキツネさん、善良なロバさんが出てきます。

ずるがしこいが知恵のないライオン、すべてを見通して、生き延びる知恵を持つキツネ、人が好過ぎるて死んでしまうロバ。

何度も舌先三寸(したさきさんずん)のキツネに言いくるめられたライオンの、これから先の生き方が気になる物語です。

キツネにとって、弱り切ったライオンは脅威の存在ではなくなるでしょうから、このかわいそうなロバさんがライオンにとっての最後の餌となり、ほどなくライオンは飢え死にすると想像できますが。

 

 

8 ヘビと結婚した少女は、夫婦と、その息子(ヘビ)、ヘビの妻になった娘が登場します。

呪いが溶けて、ヘビから人間に戻れた息子。

感涙に咽ぶ父と息子。

しかし、嫁は、姑の今後の動きが想像できて、喜べない。

姑は、嫁の予想通りの動きをした、

人間に戻れたことを喜びながらも、息子を巡って始まる嫁姑の争い。

争いに巻き込まれて苦労する息子は言います。

「ああ、これじゃヘビでいたほうが良かった」

こう言わしめるほどの、愛ゆえに哀しい欲のぶつかり合いです。

 

 

9 商人魂には二人の商人ナダックとラクシュマンが登場します。

二人は親友です。

夜逃げをする前に、ナダックはラクシュマンに鉄のはかりを預けました。

成功して戻ってきて、はかりを返してもらおうと訪れたナダックに、返したくないと思っているラクシュマンは「はかりはネズミに食べられた」と嘘をつきます。

その後、ナダックからのお土産を受け取るために、ナダックと連れ立って出かけたラクシュマンの息子が帰ってきません。

「息子をどこへやったんだ!」と言うラクシュマンに、ナダックは「息子さんは舞い降りてきた大きな鷹にさらわれた」と言います。

結局ラクシュマンはナダックを裁判所に訴えます。

「はかりを返すべし。しかる後、息子さんを返すべし。」という判決が出ます。

 

 

10 リーダーシップに登場するのは、一群のハトと、その隊長さん、狩人、ハトの隊長さんの親友のネズミさんです。

一群のハトが狩人の網に絡めとられた時に、リーダーシップが発揮されます。

「命にかかわる、とても大事なことを話すときには、大きな声よりも、小声で話す方が効き目がある」と知っている隊長さんのおかげで、ハトたちは危険から逃れることができました。

隊長さんのハトたちを深く思う心。

上に立つ者の気構え、常に心がけねばならないことが書かれています。

 

 

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【参考】講演会 パンチャタントラ 世界で最も古い子どものためのお話集 

https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_998358_po_2004-11-jafa-j.pdf?contentNo=1


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