地元の方から聞いた秘湯を求め、道東内陸部へ向かう。標津町の山の中にある無料の露天風呂。
昔は保養所があったそうだが、今は露天風呂があるだけ。国道に川北温泉の入り口から温泉迄
約5kmと表示、深夜1キロぐらい進んだろうか恐怖感が増してきた。山には中羆がいるのだ。
このまま進むのは可能だが、闇の中、一人で露天風呂に入り切れるだろうか?非常に道が狭い、
路肩が弱く、落石も考えられる、厳しい状況・・・決断した。明るい時に出直そう!決めたら早い
、脱兎の如く国道に抜けた。夜明けまでは未だ間がある。川北温泉は今回、幻の温泉と化した。
再訪:その後、再訪し、入浴を果たした。映像はその時の入浴映像
【Data】含ホウ酸・食塩ー硫黄泉 56.9℃ PH6.1 源泉:川北一号泉
午前1時、未だ真っ暗い中、小雨降る漁港に海の男達が集まってきた。
こんな時間にカメラ構えている小生を別に気にするわけでもなく漁船
に乗り込む。聞いたらこの手の漁船は一隻、8~10千万円するそうだ。
小雨ながらもシケていないので今日は出漁。男達は無言で出航の準備。
この前、根室漁港の漁船がロシア警備艇に銃撃され、死亡事件が発生。
国境の海でのリスクを承知で漁をする。生活を守らなければならない。
今日こそ美味しいものを食べ、グッスリ眠りたい。昨夜は斜里町宿泊、今日は羅臼でダウン。
「道の駅 羅臼」の前に寿司屋があった。ここで豪華に食事。刺身盛り合わせ、散らし寿司、
ビール、最後鉄火巻き。・・・これで6千円安いか高いかそれぞれの価値基準があるだろう。
筆者にとって見れば、食うや食わずのツーリングの中、知床自然センターで使ったバス代
1,200円以来の高額出費。街で買ったカメラメモリ5,000円と合せて11,000円の出費は痛。
ご覧の映像、寿司ネタ刺身盛り合わせ、左はキンキンの刺身やたらと薄い!やっぱ高い
参照:熊の湯(知床半島羅臼温泉)
映像:知床半島から間近に、北方領土国後島が視える
相泊のお湯から上がる頃、沖の国後島の上空にぽっかり満月。この月の下では
国境紛争は小さな事だ。月灯かりに導かれ羅臼の町に戻る。『ひかりごけ事件』
を惹起した、悲惨で悲しい、北辺の厳しい環境も今日は感じられない程静かだ。
平和、情景は心を安らかにする。あと3ケ月もするとオホーツクの海は荒れる。
暫しの平安なのかも知れない。 しかし上空の月は消滅しない。きっと極寒の
頃でも等しく月光は地上を照らす。平和も又、守らなければ成らない事の一つ。
ひかり苔を見た後、海岸の温泉を目指す。沖には国後島が付いてくる。この海岸線
は走っても走っても北方国土が付いて回る。しばらく走ると右手海岸に岩で湯船を
作った海中温泉が現れる。辿り着いた時は夕刻、満潮入浴制限のバーが降りていた。
残念、なんとか撮影だけでもと、管理している近くの方に頼んで許可を得た。温泉
の目の前に住んでいる方は非常に迷惑そうな顔をして『悪さをするんじゃないよ!』
とはき捨てるように言った。心外である。まるで何かいたずらをするような口調だ。
たぶん、心無い観光客がマナーを守らないのだろう。一方では、自分達の入浴用の
小屋はしっかりキープしている。一体、自然の恵みは誰の物なんだろうという疑問
が沸く。…………このような共同風呂の保全は何処も管理の面で、面倒な問題が多い。
その後:何回か訪問し、満ち潮に関係なく入浴禁止の看板がたっていたが。入湯を
果たした。子の入浴で地元の観光行政の適切な対応が必要と感じた次第だ。
【Data】食塩泉 64℃ PH不明 源泉:瀬石温泉
武田泰淳の代表作『ひかりごけ』の舞台となった知床東端にある北海道指定天然記念物、
ひかり苔は自家発光ではない、明りを浴びて光る。もうすっかり暗くなって誰も居ない
闇の洞窟は、明るい時に来たのとは違う、なんともいえない、底知れない怖さがあった。
人肉を喰う粗筋が脳裡をよぎり更に恐怖は倍増する。小説の至る所にマッカウス洞窟に
群生する「ひかり苔」の妖光が描かれている。元となった食人事件はここが冬季極限の
世界である事を認識させられる。こわごわとカメラのフラッシュを焚いたのが上の映像。
怪しく光る黄金色。闇の中に人魂なんぞなかった。神秘の輝きは目の前で一瞬に消えた。
知床を代表する山が硫黄山 、羅臼岳である。知床五湖から
この山が望めれる筈が生憎の曇りで見えない。しかし景観
はそれでもなかなかなもの。昨日は弟子屈の硫黄山に居た
が、御存知北海道には2つの硫黄山がある。区別する為に、
本ブログでは知床側を『知床硫黄山』と呼ぶことにしよう。
カムイワッカからまた五湖に戻ってきて五湖めぐり、湖というには小さく、
池といった感じであるが、その様は幽玄そのもの。素晴らしい景観が随所
にある。危険を伴うので熊よけの鈴を自然管理センターで貸し出している。
知床半島の観光はカムイワッカで制限もあるが、結局5湖の周辺トレッキ
ングが主。後、ウトロ港から海側の観光遊覧だ。世界遺産の自然体感を目
的の人はやや不満足かも。もっと羅臼側に人を誘導するとか工夫を必要だ。
北海道の大型動物の一つエゾ鹿、知床五湖を周遊中バッタリ出会った。
小鹿のバンビとはいうものの真近で観ると結構危険を感じる。勿論先方
も恐怖でコッチを見ている。雌?で幸い、オスは角を突き立てる事がある。
入浴後更に上流を目指す。しかし2の滝手前でガードマンに遮られた。ここまでだ!
帰りは登りと違う困難があった。それなりの装備が必要なのがこの時判った。滑落
しやすい状態で降りる姿勢だ。画面からも急な坂しかも湯滝である事が判るだろう。
軍手、リュック、海水パンツは必携。靴は脱いで素足がいい。岩は酸性の湯で苔が
生えないので素足を密着して下るのがベター。勿論両手を岩につきながらゆっくり。
今日は休暇を取り、青森県支援事業十和田乗馬クラブカンファレンス。柳谷委員と一
緒に十和田乗馬クラブ、北里大学講師らに中間ヒアリングを行った。嘗て軍馬の産地
であった十和田・七戸地域の『馬という家畜を活用した活性化事業』のあり方を探る。
帰り、久しぶりに酸ヶ湯温泉に入った。懐かしい硫黄の香り、千人風呂の開放感、
至福の一時である。この混浴で突撃アンケートを挙行した。一人目は群馬の方、
草津温泉とは違った雰囲気に満足そうだった。混浴で一緒にいた奥方も色っぽい。
問題は二人目の突撃アンケート。東京の中年男性、場所取りも女性がチラチラ見れるところなので嫌いではなさそう?単なるエロ男かな?と思ったら、なんと柄(小柄ややハゲ)に似合わず登山男、日本アルプスを諦めて今回は八甲田高田岳から下山し入浴との事。昨日の夜行バスで来て今日は酸ヶ湯温泉に宿泊、明日街へ降りて三内丸山遺跡見学、チラシでシャガール展を知ったので美術館行けたらとの事。
私街中案内人に変身!是非青森県立美術館を見て欲しい、シャガール展はあと一週間、上野の森で見たらこんな展示、人で大混雑、此処ではユックリ観れるお得ですよ…と。ところがこの御仁シャガールが大好きだそうで、それでも行こうと言わない。実は足が無い、三内丸山遺跡から遠いのか?と聞かれた。
絶句!三内丸山遺跡の隣に青森県立美術館があるとは青森県人の常識だが外から来た人は判らないのだ!・・・チラシにたとえ表示があったとしても(死角!)。
そう、ネーミングの問題。ありふれた『青森県立美術館』など誰が考えたんだ。月並み、当たり前、誰からも異論がでない。しかしそれでいいんだろうか。たとえば、『三内丸山遺跡美術館』とすれば、県外の人は三内丸山遺跡と美術館の両方をイメージする。そして行きたい!観たい!と思う筈。
お金が無いんならもうすこし頭を使って欲しい。ネーミングだけで宣伝出来るじゃないか
…小生の説明でこの方やっと納得、明日は美術館と三内丸山遺跡を見学して、ついでに「さんふり横丁』で郷土料理を食べ、また夜行バスで帰る事になった。
小生、この観光案内で湯疲れした、途中美形の若い女性が入浴したというのに・・・
最終目的地知床半島。もう二十年前だろうか斜里町から船で知床半島を一周した記憶がある。
今回は『世界遺産知床半島』を体感する為に来たのだ。昨夜は飲まず喰わずのドライビング。
この滝は遠音別岳西斜面からオホーツクに瀑落する。海上からはモット大きく見えたのだが。
この不思議な名前はアイヌ語で「エゾマツが群生するところ」だそうだ。日本の滝百選に選定。
記録:落差50m、幅30m、チャラッセナイ川水系、知床八景、現在近く(映像)に立入り禁止
参照#日本の名瀑&涼感 厳選40滝(2020.12月現在)
日本には自然が絡む世界遺産は屋久島、吉野熊野、白神山地があるが、秘境としてはこの知床が最初で最後だろう。徹底した環境管理も日本唯一と思われる。吉野・熊野、白神でも規制はあるものの常時保護要員が監視する訳でも無いし、車の乗り入れも自由だ。この知床方式を本州の世界自然遺産に適用すべきと思う。
もともと知床は100坪運動(全国からの寄金で買い取り、土地の保全と植林による森の復元を目指し、イギリスのナショナルトラスト運動と成田空港の一坪地主運動をヒントに発案)など古くからの環境保護活動が『知床財団』組織の下地にあったのだ。 さあ、これから知床を体感するぞ!
映像:知床横断道路羅臼岳中腹から望むオホーツクの海、北方国土国後島
川湯温泉から闇を突いて網走へ。網走は意外と大きい街だ。駅を見物し、
能取湖、能取岬を回り、オホーツクの海を左手に観ながら斜里町に至る。
どうらや今日は晩御飯は望めない。いい湯に入った後は一杯飲んで寝る
のが旅の楽しみなのだが。 ・・・今日は空腹のまま野宿目的地はまだ遠い。
記録:2面3線地上駅、乗車客350人/日、釧網本線、石北本線
映像:『川湯公衆浴場』という温泉銭湯、東京の学生と混浴!彼らはレンタカーで
来て、網走から知床へ抜けるとか。筆者とまったく同様のコースで意気投合。
哀愁の街釧路を離れ、温泉に浸かりたい!・・・との思いで根釧原野を突っ走る。
釧路湿原・摩周循縦貫ラインだ! 川湯温泉は地図上、摩周湖と屈斜路湖との
間に在る。此処までくると温泉銀座だ。しかし今宵は川湯温泉と決めていた。
生憎の雨、摩周湖なんか見える訳もないだろうし、阿寒湖へ廻ると知床が遠く
なる。…途中の道草が旅を窮屈にする。硫黄山を見学し結果的に夜に川湯温泉
到着。もう何年前だろう。今回別に予約などしていないから温泉銭湯を利用す。
【Data】含鉄・食塩-明礬・緑礬泉 46.1℃ Ph1.98 源泉:川湯温泉(御園ホテル混合)
浴感:左湯船は源泉と水の混合、右湯船は源泉掛け流しで交互浴が堪らない。