映像:季節外れの雪舞に、落合温泉「花禅の庄」露天浴室から中庭に湯煙が漂う。
黒石落合温泉地区にひと際高く優雅な建物がある。津軽伝承工芸館の真向い、湯の里
にお互い補完し合うような施設。名物女将と名物温泉仕事人がこの温泉地域を牽引し
ている。泉研が考えている「黒石温泉郷活性化プログラム」に欠かせない両人、両施設。
【Data】単純温泉 55.9℃ PH8.09 源泉:落合温泉1号泉、2号泉の混合泉
考察:花禅の庄館内は「綺麗」そのもの、ガラス一点、曇りがない。温泉観光士が先
ず着目するのが玄関そして館内の窓ガラス。
①玄関はお持て成しと歓迎の表現。お出迎え、お見送りの心が玄関に凝縮。
②窓ガラスピカピカは普段からのお持て成しの心が持続している事を示す。
お客様は到着して、先ず安堵し、そして窓から景色・景観を楽しむ。
映像:津軽伝承工芸館(落合温泉)の戸口即席ステージで講演する泉研T隊員(画面右)
4月26日は思い出深い一日となった。黄金週間の初日、私たち温泉地活性化研究会メンバーは黒石落合温泉:津軽伝承工芸館に終結。なんと、みぞれ混じりの天候となり、寒い日であった。昨年の同時期は酸ケ湯温泉の出前講座、今年は黒石落合温泉の出張講座。設定は黒石温泉郷カタクリ祭協賛「黒石・南津軽温泉座談会」。
生憎の雪の天候でカタクリ祭は勿論、本講座も中止かな?という思いで臨んだ。場所は、館内のりんご村、即席のステージに持参のスクリーン、プロジェクターを設置、もう手慣れたものだ、いつでも、どこでも出前講座は出来るのが泉研の心情。先ずは、弘前城桜満開の映像スライドショーで客待ち様子伺い。地元の先立ち津軽伝承工芸館館長が観客を引率、飛び込み客を含めて総勢15名での座談会となった。
内容:黒石・南津軽温泉座談会 IN 津軽伝承工芸館
①「温泉&癒し&健康」講演=T隊員(看護師)
②「日本温泉地域資産」講演=隊 長(温泉テラピスト)
考察: 春の嵐にも関わらず、観客が来て、熱心に聞いてくれた事、何よりもどんな場所、どんな状況でも講演する隊長、隊員のたくましさ、今日はそれに尽きる。寒かった!勿論、講演後は向かいの「花禅の庄」で温泉を楽しむ。この天候で飛行機が欠航となりお客様が来れないと心配顔のホテル女将に同情。ガンバレ落合温泉。
青森県青森市の昔からの公園といったら合浦公園。今日も潮風が吹き抜ける、青森
市民の憩いの場所である。その一隅に世界の版画家棟方志功の変わった石碑がある。
碑文:清く高く
美事に
希望の大世界
を進み抜く
考察:棟方志功という人は邪心の無い人だ。絵も、版画も、文章も正直・真心で溢
れている。だからこそ、見過ごしそうな作品でも人を惹きつける画力がある。
道南の秘湯「平田内熊の湯」を探査の途中の道沿い、八雲ICから国道277号線
を日本海側に抜ける手前の見市川渓流の一軒宿。道南の湯治宿として歴史も古く、
その発見は熊に由来する。赤褐色の色がなんとも味わいのある道南の名湯と認識。
【Data】含重炭酸土類ー食塩泉 59.8℃ PH6.4 源泉:見市温泉1・2号混合泉
映像:低温なので加温・循環・消毒の3点セットは免れない。
アイヌ語で「熊の多いところ」を意味する“カムイウシ”か
ら「俄虫」と言う地名になったと言われる。道南地方八雲
より江刺方面に抜ける山間部、厚沢部川の支流沿いの温泉。
【Data】単純温泉 30.7℃ PH3.7 源泉:上里2号源泉
廃業報告:(2012年(平成24年)7月に廃業した
映像:日本海、弁慶の刀掛岩を望む「ホテル観光かとう」展望風呂
【過去の記録】
北海道ニセコ・蘭越から日本海へ抜ける。ここ雷電の地も、義経伝説が残されていた。源義経は津軽半島三厩から松前、そしてこの雷電温泉、さらには蒙古へ渡りヂンギス汗となったという伝説。悲劇の英雄伝説は人々の願望伝説でもある。義経ゆかりの静御前の社(静神社)を辿り、遂には北辺の地、義経のゆかりの温泉に浸かるとは…我温泉探査は、伝説を辿る旅でもあった。
【Data】石膏泉 53.6℃ pH7.4 源泉:雷電温泉一号、二号混合泉
伝承:義経は平泉から青森県三厩より本州を脱し、この地にしばし休む。そしてアイヌの酋長チパの娘メヌカと別れる際に「来年戻る」と言ったとされ、来年が訛って雷電となったと伝承される。
内裏湾から国道230号泉を抜け、ピリカダムを超え日本海に至る。その山中、今金
町の温泉施設で大浴槽、無料休憩がある。北海道では珍しい食塩泉だが、此処も又、
泉温が低い、加温・循環・消毒の3点セット。お湯が溢れでないのは寂しい限りだ。
【Data】食塩泉 32℃ PH8.0 掘削390m 自噴200ℓ毎分 源泉:種川温泉
映像:温泉地跡には徳川慶喜公からの拝領とされる黒松が寂しく残されていた(2005.05)
五厘沢温泉の跡地にはかつての庭の跡が残されていた。バブルの崩壊と温泉ブームに乗り切
れない結果だ。しかし温泉ファンにまだ望みが残されていた。その後Resort Hotel Twinreef
(温泉ラブホテル)として温泉が提供されてた。客室限定の24時間掛け流しの露天風呂もある。
休憩6500円、宿泊12000円・・・気軽に楽しめる値段ではないが。新しい温泉利用形態である。
⇧ ラブホテル時代の五厘沢温泉
【Data】含重曹・食塩-芒硝泉 46.6℃ ph7.5 源泉:五厘沢温泉4号井
現況:徳川15代将軍慶喜公から拝領した松が庭に植えられたので慶喜温泉とも呼ばれていた。
昭和57年(1982年)5月、北海道振興㈱が「五厘沢温泉ホテル緑館」を取得改修し経営
、その後経営破綻で撤退。㈱宏栄建設が買収して男湯・女湯合わせて9つあったとい
う岩風呂も含めて全館取り壊し2005年6月にラブホテル「ホテルツインリーフ」開業
しかし、その後閉鎖、現在は廃墟化しつつあるという調査結果であった。
温泉に浸かりながら絵画を楽しむ?タイル絵画が特徴的。
「温泉美術館」という新しい造語が似合う温泉、道南
の変わり湯だ。「乙部温泉光林荘」と渡り廊下でつな
がっている。湯元が同じだのだろう。久々の高温湯だ。
【Data】 含食塩ー芒硝泉 74.5℃ PH7.2
源泉:乙部町館浦源泉2号泉
映像:まるで映画のロケセットのような佇まいの湯小屋が断崖絶壁の上にあった。
虎杖浜温泉から長万部方面に向かい、登別漁港を左に折れる。一寸した空き地に車を止めて
海へ向かって崖を迂回すると視界が開け湯小屋が建っていた。中に2、3人の男女が温泉を
楽しんでいた。バラック仕立て小屋には脱衣場と湯船がこじんまりとあり時計やら絵画やら
が雑然と掲げられ生活感が漂っている。無料混浴共同風呂。登別の海手にこの様な自然湯が
地域の人々に守られており、街中秘湯名湯と認定。朝陽が眩しく差し込み桃源郷の様な光景。
【Data】含石膏-芒硝泉 41~42℃ PH7 ・・・(目・舌・鼻・肌で推測) 源泉:フンベ山温泉
⇧ フンベ海浜温泉の湯殿景観
記録:その後の情報では、2014年に海岸の浸食により消滅したとか。この地は浸食により
車が転落したり湯小屋そのものも移したり、危険地帯であった。記憶に残る幻の湯
登別温泉を楽しんだ後、海岸部に来ると清浄な出湯に遭遇。南北海道の明るい海に呼応
する様に湧く虎杖浜温泉。北海道の地下熱源が道央、道東、道南に豊かにあるのを体感。
好きな温泉の一つ。登別温泉の硫黄泉を洗い流すに丁度良い。今回「湯本ほくよう」利用。
【Data】単純温泉 49℃ pH8.5 源泉:竹浦5号泉(地下1000メートル毎分1700㍑)
考察:虎杖浜とはアイヌ語のクッタリウス(イタドリの多い地)由来、近辺に多様な温泉井戸有。
映像:旭温泉の2種類の施設の内、洋風の湯:男と女が日替わりで使用。
オロロンラインR232号を遠別市街から留萌方面に走ると、左手に"旭温泉"の大きな看板が見え、そこから山側に6km進むと旭温泉がある。トドマツ材を使った木造2階建て、えび茶のトタン屋根は山小屋を思わせる。昭和47年に天然ガスとともに発見され、湯の色は鮮やかな赤褐色、ヨウ素が匂う。天然ガスを利用しての加温で道北の名湯としてふさわしい。
考察:道北にはおよそ15の温泉地が存在するが、そのほとんどが冷鉱泉である。しかし、冷涼な土地にあって一定の温度を有する資源は貴重なものだ、加温も湧出した天然ガス、木材資源、石炭などを利用するもので北海道ならではのエコ資源の利用も多い。長い冬を考えると循環・加温であっても「名湯」を体現する場合がある。
北海道在住の有名な某温泉教授は「源泉至上主義」を展開し本州・九州で、もてはやされているが、ご自分の足元のこういう地域環境に根差した冷鉱泉をおろそかにしてはいけない。温泉は商売の具で無いことを戒めたい。温泉は論ずるものではなく大事に、大切に利用すべきもので、貴重な地球の贈り物だ。
映像:歌登温泉うたのぼりグリーンパークホテルの男子浴室ガラス越しの自然景観が良い。
宗谷岬からオホーツク海岸線を南下、道北の内陸部、歌登町にある公営の宿泊施設。ご覧
の湯船は真水の沸かし湯。 温泉は隣の楕円形の湯船。湯元の 「朝倉旅館 」 から引湯する。
炭酸成分が圧倒的に多い重曹泉であるが鉱泉の悲しさで加温・循環・塩素消毒という措置
で北海道らしいワイルドな温泉ではない。しかし凍てつく大地にあっては貴重な温浴施設。
【Data】炭酸・土類ー重曹泉 12℃ PH5.9 100ℓ/m(自然湧出) 源泉:朝倉温泉
映像:全体が舟形の施設稚内温泉「童夢」の正面入り口
日本の最北端の温浴施設。車でひた走りのドライバーには有り難い施設。ここで一休み。
しかし、道北の温泉に見られる低温少量では、加温・循環・塩素消毒は避けられないの
だが、ここは『最北の温泉入湯』で満足する。疲れは身体を温める事で吹っ飛んでいく。
【Data】含重曹-食塩泉 34℃ pH7.6 源泉:稚内ノシャップ温泉1号 51L/m(自噴)
(稚内温泉童夢の浴室景観(公式HPより)童夢は稚内埠頭のドーム型岸壁を想像)
考察:施設は健康ランドを新しくしたようなものだが、日本最北端の温泉という貴重
な位置付けから推奨湯に認定。この認定を機に施設関係者は、名湯に恥じない、
塩素臭が感じられないなどの、快適な湯環境&湯管理に、励んで欲しいと願う。