襟裳岬から釧路方面に向かう太平洋沿岸道路を『黄金道路』と言う。なるほど北海道に
あって南東の明るさは際立っ、その名の通りだ。一方で高波洗う沿岸は昆布の道路でも
ある。特に道路中海岸から昆布を引き上げる車両が目立つ。正に黄金を産む黄金道路だ。
夜明けと同時に襟裳岬に。此処からの朝日も又格別。今日は生憎、雲に見え隠れ。
岡本おさみ、吉田拓郎のコンビ?の『襟裳岬』は余りにも有名だ。二人の名曲『
旅の宿』に比べ、この岬のイメージを余りにも決定付ける歌だ。「・・・えりもの春
は何もない春です」これは心象風景なのだが、やはり、歌は誤解を与えてしまう。
全国いろいろ岬があるが、此処ほど見所の在る豊かな岬はない。灯台があり、風の
モニュメント・テーマ館。何よりも眼前の荒々しい太平洋、朝陽、夕陽。バス亭ま
である。後方に自衛隊の監視電波施設もある。歌のイメージで判断してはいけない。
参照#旅の宿(青森県蔦温泉)
落日を楽しんだ後は宿探し平成10年に出来た新冠温泉で今宵は休息。新冠温泉レ・コードの湯!
新冠町はご存知レコードで活性化事業おこなっている。海岸部にはレコードの館があり、66万枚
もの貴重なレコードを収蔵している。勿論オグリキャップをはじめ数々の名競走馬の里でもある。
町長の熱意が温泉を掘り、宿泊施設を兼ねたリゾート施設が出来たのだ。先ずは入湯、眼下に
広がる太平洋が豪華な眺望の露天風呂、周りが牧場という絶景には、循環という物理的な温泉
の制約などはぶっ飛んでしまう。この景観も温泉には大事な癒しの要素なのだ。 (2006.9.4)
【Data】含重曹-食塩泉 17.8℃ PH8.8 源泉:新冠温泉 黄褐色、混濁、石油臭
今日は早朝から走りっ放しだった。日高の地で落日を見るのは何年ぶりだろう。遠い日
を想い夕陽を眺めると人生ってなんだろう?人間ってなんだろう?久しく考えなかった
永遠の命題が頭をもたげる。旅、一人・・・今回のテーマの一つ。愛する人達、守るべき人、
親しい人、懐かしい人、憎増しい奴ら、…太平洋に沈む濃い夕陽は全てを一時覆い隠す。
長万部から高速へ乗る。室蘭、苫小牧を過ぎ一気に門別まで走る。日高路だ!太平洋
の荒波が洗う海岸線を襟裳岬へ向けて辿る。その最初に入湯したのが門別温泉『とね
っこの湯』。健康増進施設としての補助建築物だが、お湯はこの地方にあって数少な
い掛け流しである。日高地方は火山も無く、稚内地方と同様温泉には縁が無い土地柄。
日高10湯と言われているがほとんどが掘削、低温泉で、必然沸し循環となる。ここも
同様だが、掛け流し方式により快適な湯感である。またアルカリ性故のまろやかな湯。
【Data】食塩泉、弱黄褐色、弱カン味、33.4℃ PH8.6 源泉:もんべつ温泉
映像:発売された地球の歩き方・入門「おとなの温泉旅ドリル」の筆者執筆分
温泉評論のトップランナー石川理夫氏が企画・編集してなんとも楽しい温泉本
『おとなの温泉旅ドリル』が出版された。本書は最近人気の『ご当地検定』を
凌ぐドリル&解説を主に問題を解いていくと知らず知らず温泉通になれるもの。
筆者も共同執筆している。おまけとして、温泉の知識〈分析表の見方、温泉四
方山話など)も織り込まれ、温泉観光士お勧めの一冊です。温泉ファンの皆さん、
是非お手にとって秋の夜長、本書で温泉知識を深めてください。
発売日:9月29日、店頭には21日頃出回る
値 段:1000円〈お手ごろ価格)
発売元:ダイヤモンド社
濁川温泉は高温泉、蒸気が噴出する地であり、北海道電力の地熱発電所が稼動
している。発電後の廃熱水は地元民に還元されビニール栽培など豊かな農業も
盛ん。勿論盆地性気候から水稲も栽培。カルデラで小さな集落を形成している。
下北半島へは青森から車で2時間、大間崎まではおよそ3時間半。海岸線沿いに
JR大湊線が通っている。「♪線路はつづくよどこまでも・・・♪」小さい頃こんな歌
を歌ったっけ。遥か彼方むつ湾越しに恐山連山が美しい。秘湯恐山温泉がある。
下北半島を北上しやや疲れた頃、JR下北線と国道が交差する海岸沿いに
幸田露伴の文学碑のそば、大町桂月の句碑が寄り添うように立っている。
その昔この横浜町界隈は馬の放牧地であったらしい。やはり馬がテーマ。
碑文:一沼に 馬群れ十里 尾花かな
映像:幸田露伴の文学碑越しに恐山連山を望む
予定の無い旅を思い立つ、行きの大間発函館行9月4日6時半のフェリ
ーをインタネットで予約したのみ、あとは何時帰るのか、どこへ行く
のか?あるのは「温泉」「知床半島」「一週間」という3条件?のみ。
下北道の真ん中、丁度恐山連山を眺められる地点に幸田露伴の文学碑
がある。文人露伴もこの地で暫し休憩をしたのだろう。下北路を行く。
碑文:「…2歳、3歳以上の馬どもの各がまま
自由に振舞ヘるも我等の目には新し」
(岩波全集第14巻「易心後語」より)
日本の最東端(北方領土を除)の灯台である。とうとうここまで来た。根室地域に来ると
日本の領土が失われたという喪失感が大きいい。この灯台はその意味で北東の希望の灯
でもあるだろう。八角形の木造で北海道で初めての洋式灯台だという。北方四島を望む。
記録:実効光度1万4千カンデラ、光達距離14.5海里、搭高13.5ⅿ、灯火標高23.2ⅿ
指定:日本の灯台50選
襟裳岬の突端に建っている白亜の搭。風の岬としても有名な襟裳岬。歌にも唄われた
最果て感満杯の地は海路の要所でもある。行交う船を導く灯台は存在感が漂っていた。
眼下の海岸段丘にはゼニガタアザラシが生息しているという。日高地方の先端の地だ。
記録:実効光度72万カンデラ、光達距離22海里(41K)、搭高13.7ⅿ、灯火標高73.3ⅿ
指定:日本の灯台50選、周辺日高山脈襟裳国定公園