映像:青森県蔦温泉の旧館の和室天井は蔦細工であった。
いい湯に入り、柔らかな光を受けて、畳にゴロリと横になる。日本の家のあずま
しい(気持ちのよい)一瞬だ。そして天井を見るとなんと繊細な木造細工。裸電球
の光がこの模様に導かれる様に、放射線状に走る。こんな部屋で名曲が生まれた。
♪浴衣の君は 尾花(ススキ)の簪(カンザシ)
熱燗(アツカン)徳利(トックリ)の首つまんで
もういっぱいいかがなんて
妙に 色っぽいね♪・・・・・・・
‘70年代フォークの旗手吉田拓郎のヒット曲「旅の宿」の詩はこの蔦旅館で生まれた。
新婚旅行で宿泊した作詞家岡本おさみ が旧館客室のイメージを元に一篇の詩をした
ため、後に吉田拓郎がこの詩に曲をつけ“旅の宿”と発表したのだ。名湯名曲を生む。
💛部屋の灯を すっかり消して
風呂あがりの髪 いい香り
上弦の月だったっけ
久しぶりだね 月見るなん💛・・・・蔦温泉は旅の宿、僕達の青春が甦る。
蔦温泉本館の最上階(4階:別館2階)の踊り場がロビーの様な空間。大きい長方
形の囲炉裏が備えつけられて実に懐かしい空間となっている。柱の大時計も現役。
木造建築の温もりが伝わってくる。窓からは八甲田山中のブナ林が展望できる。
温泉街の空き店舗を如何に利用するかは何処の温泉地でも悩みの種。温泉街の魅力が
半減するからだ。この悩みを湯原温泉は知恵と実行力で解決。空地は即席足湯、空き
店舗では懐かしの射的遊戯場を復活させた。浴衣姿の観光客の歓声が聞こえ楽しそう。
大露天風呂しかなかった回遊の施設がさらに増えた。何も決めれない温泉地の方々は
見習うべき。今までと同じ事を繰り返してはいけない、景気の良い時悪い時、客層が
変化した時敏感に機敏に対応しなければ気が付けば誰もいない温泉地になってしまう。
活性化事業:旦那衆が危機感を持ち、温泉指南役、手湯足湯、遊技施設、お祭りなど
様々な事業に着手、二代目が実行隊となり成功してきた。さらに、天ぷら油を
利用したエコ運動を展開、今では送迎車20台が天ぷら油で走り回る。同じく天
ぷら油の蠟燭で大露天風呂をライトアップ。湯の魅力と温泉街の魅力で溢れる。
人々はこんなエコで、優しく元気な湯の里に集まる。(2019.9.6映像再掲)
映像:即席の足湯で観光客を歓迎。これなら簡単、廉価、移動も可。こんなアイデアが必要。
湯原温泉は今熱い。若旦那衆が温泉街の活性化に一生懸命だ。行政が何もしてくれない、やれ資金を出してくれ、やれボランティアは?ととかく人頼みの温泉地とは違う。行政や支援団体は金も人手もない。自分達が金も、力も、知恵も、汗も出さなくてはその温泉地は淘汰される、消滅する。その点、湯原温泉は本気。多分ここまで来るには紆余曲折があったのだろう。旅館・ホテルの経営者自身が温泉客への精一杯の『おもてなし』で溢れている。
温泉地活性化研究会はこの様に汗をかく温泉地を応援する。
苦言:家業が忙しいからと言って、実は自分の旅館の売り込みに奔走している方々へ苦言!今の時代は、先ず地域に魅力が無いと観光客は集まらない!もう「面」での勝負なのだ。著名、有名、老舗の旅館ホテルが廃業に追い込まれるのはこの事を理解していないからだ。観光客は温泉地の風情、人情、食材、そして『おもてなしの心』を求めている。
影像:温泉宿のご主人、二代目が中心となり、温泉指南役として観光客を歓迎。
今日の宿、「たねや旅館」に到着した時の事。先ず玄関で驚いた。いきなり若旦那の口上が始まった。
『当温泉の特徴はアルカリ性単純泉にて、美肌効果は入浴時には心臓から遠い部位から掛け湯して。
どうぞごゆっくり湯原温泉をお楽しみください』荷物を持った儘で、この若者の情熱溢れる歓迎に感心。
温泉指南役:全般的な温泉知識と湯原温泉の特徴、温泉療法、気候療法、物理療法など
や健康増進の為の基礎知識、救急法、ご当地の歴史や周辺観光地のガイドも
出来る『ご当地温泉プロフェッショナル』として認定する湯原温泉郷独自の資格
保有者。温泉指南役の養成事業には.日本健康開発財団と国民健康保険湯原
温泉病院及び、真庭広域連合消防本部湯原分署、郷土史研究家などが協力。
影像:湯原ダム下流に広がる共同浴場・露天風呂『砂湯』
岡山県には美作三湯といわれる代表的3つの温泉地がある。湯原温泉、奥津温泉、湯郷温泉。
今回は、鳥取県三朝温泉から国道179号線を南下、県境を越え国道482号線経由で湯原温泉。
湯原温泉は単純温泉(アルカリ性)で湯量豊富が魅力。 西日本の最大の混浴露天風呂『砂湯』は
圧倒的な景観で観光客が立ち寄り入浴する。余りに敷地広大で何処に入ればいいか迷う位
【Data】単純温泉 48~51℃ PH9.2 源泉:湯原温泉砂湯 推定毎分6000ℓ(15源泉)
問題:混浴なので覗きが後を絶たない。ここでも混浴文化が危うい。青森県酸ヶ湯温泉
では『混浴を守る会』があるくらいで全国的な混浴文化の保護・保全が望まれる。
又、悲しいお知らせを伝えなければならない。岩木山麓を逍遥する時、汗を流すに
最適の公共浴場『あすなろ荘』が閉鎖となる。湯量といい、湯質といい、景観とい
い大好きな施設だった。閉鎖までまだ間がある。未入湯の方は是非味わって欲しい。
(2008.3月30日で閉鎖)
岩木山麓、岩木総合運動公園手前にある温泉。実際は地方職員共済組合が経営して
いる公共の宿である。しかし、その温泉力は素晴らしい! 源泉は町営いわき温泉。
お山のトレッキングで疲れた心身を癒すには十分。壁に掲げられた岩木山の写真絵
も開放感溢れる雰囲気を醸し出す。隊長、激賞の一湯である。
【DATA】含土類ー弱食塩泉 55℃ PH7.3 60ℓ/Ⅿ 源泉:岩木町営いわき温泉