日々、あんのん。

からだの育ちの凸凹、学習のスタートラインにつけない人のもっと学びたい、発達したいを応援します。

『たった独りの引き揚げ隊』

2016-01-02 09:56:13 | 本の紹介
 初夢の日。
ああ、これがたぶん、初夢なんだ、と思った記憶はあるのですが、
なんの夢だったかは、とんと覚えていないです。
なんだったかなぁ~。

 途中まで読んでいたのですが、
年末の忙しい時期に掃除も手につかなくなる面白さで封印していた本を一気読みしました。



 サンボという競技の世界王者にもなったビクトル古賀さんが
満州から日本へ引き揚げのため、たったひとりで中国の曠野へ踏み出した話です。

 10歳の子どもが生きて、ひとりで日本にたどり着くための知恵や思慮にも感歎するのですが、
満州という国での話やコサックの話、ソ連が攻めて来てからの満州の話、などなども
とても興味深く、本当に一気に半日で読んでしまう本です。

 コサックの教えにも感心するのですが、
所々で呟かれる、ビクトル少年の日本人観には頷かされるものばかりでした。

 日本人ってとても弱い民族ですよ。打たれ弱い、自由に弱い、独りに弱い。
 誰かが助けてくれるのを待っていて、そのあげく気落ちしてパニックになる


 10歳の少年は、ロシア人と日本人の混血児だったため、
最初に一緒に引き揚げるはずだった集団から外され、
その後も何度か大の大人たちから同じ理由で差別的言葉を投げつけられ、置いてきぼりになります。

 そのたびに、コサック魂とでもいうようなに支えられ、
本人の生きるために何が必要かの判断に導かれ、曠野の中を歩き抜き、生き抜きます。

 この話を読みながら、13歳で空襲の中を独り逃げ回り、
その後も、学費稼ぎか、生きるためか、
鹿児島県内はもとより、佐賀の辺りまで汽車に乗ったり、歩いたりしながら
石けんを売りに行き、売上げがよく仲間の分まで売ってやり、
ときに、地元の元締めのような人に売上げを取られても、
再びお金を作り、石けん屋にお金を戻した、というようなことをしていた、
父のことを思い出したりしていました。

 父も大工の人や働く人によくしてもらっていたけれど、
同じ学校勤めの偉い人たちとはウマが合わなかったことは、
話し振りやら、何やらでなんとなく、私にも伝わっていました。

 たくましい、子どもたち。
生きる力が秀でている子どもとして育ったものたちにとって、
小さな社会で上を見ている人たちは、なんとも幼く映ったのかもしれないな、
そんなことをこの本を読みながら思ったことでした。

 それにしても、
ばてると落ち込む。落ち込んだら生命力が弱る。

など、そうだそうだ!と思う言葉が、曠野を行く少年から出るたびに、
私はとても共感していました。

 落ち込む暇があったら、一呼吸して落ち着いて、
前に進む方法を考えたほうがいいや、と、
楽天的な私はいつも思います。

 私には独りで引き揚げるだけの知恵も力もないでしょうが、
ビクトル少年の話は、どれもこれもそうそうそう!と思うものばかりでした。

 正月早々、力湧く本を読めて、
幸先がよい2016年の幕開けです。


 
コメント
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