赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

ウクライナをめぐるトランプ発言

2023-05-25 00:00:00 | 政治見解



ウクライナをめぐるトランプ発言:230525情報


まだまだ終わりの見えないウクライナ戦争ですが、今月10日、アメリカのニュース番組:CNNで「私なら1日でウクライナ戦争を終わらせてみせる」と大胆な発言をした人物がいました。その人物とは、アメリカのトランプ前大統領です。

トランプの発言にはどんな根拠があるのか? 国際政治の専門家の見解を伺いました。



■反トランプ派のニュース番組に出演

5月10日、トランプ前米大統領がCNNに登場しました。司会者はケイトリン・コリンズ。彼女は反トランプ派なので、トランプに攻撃的な質問をいくつもぶつけました。基本的にCNNも反トランプの姿勢をとっています。

しかし、トランプが7年ぶりにCNNに出演し、70分に渡ってこれが放送されたということ自体、非常に大きなことだと思います。もはやトランプを出さないと視聴率が上がらないのでしょう。そして、反トランプであるにも関わらず、彼に言論の時間を与えざるを得なくなったということは、トランプ運動が力を持っている証です。


■トランプが語るウクライナ戦争

この放送の中で、トランプは色々な政策について話しているのですが、私が一番面白いと思ったのはウクライナ戦争に関することです。

「自分が今、大統領ならば、1日でウクライナ戦争を終わらせてみせる」トランプはそう発言しました。さらに「プーチンを戦争犯罪人として扱わない」とも言ったのです。

確かにプーチンはウクライナ侵略をしたがこれを戦争犯罪人として扱えば和平ができない。まずは戦争を止めることが最優先だとして、プーチンを戦争犯罪人として扱わないと意見しました。

国際法の伝統的な解釈によれば、国家として戦争をするということ自体は犯罪ではありません。しかし戦争中、一般市民を意図的に虐殺する等の罪を犯せば戦争犯罪人ということになります。ロシア側にその疑惑はありますがここでプーチンを戦争犯罪人と断定すれば、戦争は止められず、ロシアがますます激しく戦うことになってしまう、だからそれはしないということだそうです。これは面白い点です。

また、彼は、「自分が大統領であったならば、そもそもウクライナの戦争は起きていない」とも発言しました。なぜなら、彼はプーチンが非常にウクライナ東部に住むロシア人にこだわっているということを認識しているからです。この人たちは国境の中に住んでいて、ウクライナ国籍ではありますが文化的にも、自分のアイデンティティとしてもロシア人であると確信しています。

そういう人たちがウクライナ政府によっていじめられている。これを何とか救済しなきゃいけない。それがプーチンの意図するところです。このことに関しては、ある程度ロシアがウクライナに介入する正当性もあるわけですよね。

トランプもこの問題をよく認識しています。

そして、ウクライナ側もウクライナに在住しているロシア人の人権自由の問題を保証してやらないと、永久に戦争の火種が残るということをわかっています。トランプのこの発言はそういった問題を踏まえてのものだと思います。


■最も望ましいウクライナ戦争の終わらせ方

トランプの発言の中で一番重要なのは、「アメリカがヨーロッパ全体と比べて 8.5倍も軍事支援金を出しているのはおかしい」ということです。

アメリカはウクライナ戦争が始まってから1,700億ドルもの支援金をウクライナに送っています。しかしヨーロッパは全体として200億ドルしか支援をしていません。ウクライナがロシアに占領されてしまえば、脅威を受けるのは東ヨーロッパの国々です。

だからヨーロッパが一生懸命ウクライナを支援するのはわかります。しかし、はっきり言えば、ウクライナがロシアに占領されても、アメリカとしては自国の安全保障に全く関係がありません。それにも関わらずアメリカはこれだけの額を潰している。それはどう考えてもおかしいとトランプは言ったわけです。

先ほどもお話しした通り、今回のトランプの発言の前提には、ウクライナ領に住んでいるロシア人の問題があります。この問題解決について話せたらゼレンスキーとプーチン両者とも納得するだろう。

さらに、ウクライナ戦争に占めるアメリカの支援金は巨大ですから、本当に戦争を止めようと思うならアメリカの大統領が出ていって、ゼレンスキーに対して「言うこと聞かなかったらお金も送らず兵器も売りませんよ」と言えばいいわけです。

そうすればゼレンスキーも戦争ができなくなります。こういった影響力を駆使すれば両国痛み分けといいますか、ウクライナもロシアも完全に勝利しないような形で停戦・休戦ができるだろうということです。

これはまさに私が以前から申し上げていたような、朝鮮戦争型の和平休戦協定になるのだと思います。これが世界にとって最も望ましい形でしょう。



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