赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

イランの介入は、イスラエルの「望むところ」か? 

2023-10-24 00:00:00 | 政治見解




イランの介入は、イスラエルの「望むところ」か?:231024情報


10月7日に勃発したイスラム武装組織ハマスによるイスラエルへの奇襲的な大規模攻撃は、全世界を震撼させました。その際、テロ組織のハマスの裏には「イランがいる」とささやかれ始めました。

実際、イランのイスラム政権は、イスラム教徒が大半のパレスチナ人を同胞と見なし、彼らを迫害するイスラエルや、同国を支援する欧米を不倶戴天の敵とみなしています。これらを背景に、ハマスやイスラエルの北隣にあるレバノンやシリアを本拠とする別のイスラム武装組織「ヒズボラ」(神の党)を、イランは物心両面で援助。両組織はイスラエルに対してテロ・ゲリラ活動を繰り返していると言われています。

そこで、当ブログでたびたび登場する国際問題の専門家である北野幸伯氏にご登場いただき、イランとイスラエルの関係について語っていただきました。



皆さんご存知のように、ガザ地区を支配するイスラム組織ハマスは10月7日、イスラエルに大規模攻撃をしかけました。そして、イスラエルは今、地上作戦の準備を進めています。ハマスを壊滅させることを決意しているのでしょう。

ところで、「案の定」というか、イランが介入する可能性に言及し始めました。

『テレ朝ニュース』10月15日付。:〈イスラエルとハマスの衝突を巡り、イランがイスラエルに対し「ガザでの攻撃が続けば介入せざるを得ない」と警告したとアメリカメディアが報じました。アメリカのニュースサイト、アクシオスによりますと、イランのアブドラヒアン外相が国連の中東和平特使ウェンズランド氏と14日、レバノンのベイルートで会談しました。アブドラヒアン外相は、戦火の拡大は望まないとする一方で、「イランにはレッドラインがある」「イスラエルがガザへの地上侵攻を実行に移せば対応せざるを得ない」と介入を示唆したということです。〉

これは、イスラエルにとって、イランの介入は「望むところ」なのでしょう。なぜでしょうか?

「毎度」という感じで申し訳ないですが、これまでの経緯に触れておきます。

・2018年、トランプが核合意から一方的に離脱し、 イランへの制裁を復活させた。 イランは、原油輸出が困難になった。
・イランは、それまで核兵器を保有する意志はなかったが、路線を変更し、ウラン濃縮濃度をどんどん上げていった。
・今年3月時点で、ウラン濃縮濃度は83%に達していた。@@@核兵器製造に必要なのは90%以上。
『時事』2023年3月5日。:〈イランを訪問した国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は4日、ウィーンの空港で記者会見し、イラン中部フォルドゥの核施設で核兵器級に近い濃縮度83.7%のウラン粒子が検出された問題について「その水準の濃縮ウランは蓄積されていない」と述べた。〉
・9月、イランはIAEAの査察を拒否した。これは、「イランが核兵器保有後一歩のところまできているからではないか?」と推測できる。
『日経新聞』9月17日付。:〈国際原子力機関(IAEA)は16日の声明で、イランからIAEAの一部査察官の受け入れを拒否すると通告があったことを明らかにした。査察官はウラン濃縮などを検証している。グロッシ事務局長は「強く非難する」と述べ、査察に深刻な影響が出るとして再考を求めた。国際社会の懸念が一層強まるのは必至だ。〉
・そして、イスラエルは、「イランが核兵器を保有する前に先制攻撃をかける」と 公言してきた。
・核兵器保有が迫るイランは、 当然「近い将来イスラエルが攻撃してくる」と予想する。
・そのため、影響下にあるハマスに、イスラエルを先制攻撃させた?
『朝日新聞DIGITAL』2023年10月9日付。:〈米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は8日、イスラム組織ハマスがイスラエルにしかけた大規模な攻撃はイランの関係者が準備段階から協力し、最終的なゴーサインを出したと報じた。ハマスと、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの幹部の話として伝えた。〉
〈WSJによると、イラン革命防衛隊のメンバーは8月から、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するハマスと、イスラエルに向けた陸海空の侵攻について協議した。レバノンの首都ベイルートで革命防衛隊やハマス、ヒズボラらのメンバーによる会議が重ねられ、攻撃の詳細が計画されたという。最終決定の会合は2日にあったとしている。〉



今回の戦争に関する私の見解です。

イスラエルは、イランの核施設を攻撃し、イランの核兵器保有を止めようとするでしょう。しかし、イスラエルがイランの核施設を攻撃するためには「口実」が必要です。

「真珠湾攻撃」、「ロシアのウクライナ侵攻」、「今回のハマスによるイスラエル攻撃」などなどを見てもわかるように、「先制攻撃は評判が悪い」のです。だからできれば、「イランがイスラエルを先に攻撃したので、イスラエルはやむを得ずイランを攻撃した」という形にしたいでしょう。

イスラエルの同盟国アメリカの立場はどうでしょうか?

ウクライナとイスラエル、「二正面作戦」を強いられるアメリカは、イスラエル、イラン戦争を望まないでしょう。しかし、北朝鮮の失敗例もあるため、イランの核兵器保有を見逃すわけにもいかない。だから、アメリカは、まずイランと交渉します。

・核合意を復活させよう!
・イランは、ウラン濃縮濃度をこれ以上上げるな。IAEAを入れて、核開発を制限しなさい。
・そのかわり、私たちは制裁を解除しよう。
・イランは原油輸出を自由にできるようになり、 経済が大復活するだろう。

しかし、イランは、「アメリカと核合意を結んでも、トランプが戻ってきたらまた破棄されるかもしれない」と懸念を表明することでしょう。

どういう決断が下されるかは、アメリカ政府とイラン政府高官の判断によりますが。交渉決裂 
→ イランがハマスを守るためにイスラエルを攻撃
→ イスラエルが報復としてイランの核施設を爆撃
といった事態も大いにあり得ます。

そして、以前の記事にも書きましたが、ウクライナ戦争、中東戦争が、習近平に影響を与える可能性がある。「ロシア、イランと戦うアメリカに、台湾を守る余裕はないだろう。今が台湾侵攻のチャンスなのではないか???」と。さらに金正恩も、「韓国を併合するチャンスなのではないか?」と考えるかもしれない。

というわけで、私たちは今、「第3次大戦勃発か否か?」の歴史的瀬戸際に立っているのです。大げさではなく。



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