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赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

ウクライナの悲劇を早く収束させるためには コラム(406)

2022-04-05 08:32:26 | 政治見解



コラム(406):
ウクライナの悲劇を早く収束させるためには


テレビを見てもウクライナ問題は解決しない

テレビメディアはウクライナの悲劇を心配そうに報道するのですが、内心では喜んでいるように思えてなりません。軍事作戦の模様や、凄惨な映像を流すことで視聴者を引き付けることができると思っているからです。

専門家の解説は別として、アナウンサーやコメンテーターの実際の話しぶりを見ると、まるでテレビゲームを見ているかのような錯覚に陥りますし、深刻な表情でロシアを非難する顔も、テレ朝の玉川さんや大下さんは笑っていたり、はしゃいでいるように見えるのです。テレビメディアにとって、人の生き死にや、国家の生き死に、にかかわる問題は、視聴率を取るための手段にしか感じてはいないように思います。

「テレビというメディアは非常に低俗なものであり、テレビばかり見ていると人間の想像力や思考力を低下させてしまう」という危機感で語られた1957年の流行語「一億総白痴化」が一層、実体化してきているようです。

これでは、テレビメディアを情報源とする総理大臣や日本の国会議員に影響を与えるはずがありません。テレビ情報を頼りに条件反射的に施策をつくることはできても、ウクライナの悲劇をどのように収束させ、今後の世界秩序をどう構築していくのかの明確なビジョンをもっていない彼らにとって、国際社会は日本を財布代わりに使われるだけで、日本は国際社会に何の貢献もしていないことになります。それだけに、国際秩序の正常化を目指し国際社会から称賛を浴びた安倍外交から大きく後退したと言えると思います。


中国に問題解決能力はない

メディアや評論家の中には、中国の動静がウクライナ情勢に影響を与えると言う人がいるのですが、それは基本的にありえません。なぜなら中国および中国人は本能的に利害打算で動くことと、ウクライナ問題は中国の利害関係があまりに多くの分野でからんでいるため、中国自身、身動きが取れない状況になっているからです。

中国があてにならない理由は三つあります。

その第一は、ウクライナと中国が切り離しがたい密接な利害関係で結ばれていることです。中国人にとっての最大の関心事は金儲けです。ウクライナは中国の覇権戦略、一帯一路はヨーロッパへのハブ拠点になっています。2020年には武漢からキーウ(キエフ)にむけて国際貨物列車「中欧班列」が、その翌年にはキーウから西安市向け直通列車がそれぞれ運行を開始していることからもわかります。したがって、ロシアがウクライナを破壊し続けることは、中国の本音では耐えがたいことであるのは間違いありません。

しかも、軍事関係も密接で、中国の最初の空母「遼寧」はウクライナからスクラップ名目で購入しましたし、旧ソ連製の武器も中国は手に入れて装備の基準にしています。その上、ウクライナが親露政権時代、「ウクライナが核攻撃をされたら中国が核の報復をする」との条約まで結んでいます。

これはおそらくアメリカを意識したものであったようですが、これが皮肉にも現在のロシアに適用されることになります。それを知っているロシアはウクライナに核を使えません。また、ロシアが核を使った場合、中国はどうするのか、条約を守るのか、ロシアに肩入れするのか中国は迷走を続けることでしょう。要するに、中国はウクライナからの利益を失うことは避けなければならないし、かと言って、反米で利害が一致するロシアとも敵対したくないという矛盾撞着に陥ってしまうわけです。

第二の理由は中国の軍用品の殆どがロシア基準ですが、ロシアのウクライナ侵略状況から判断して、ロシア製の武器への信頼性を失ってしまったことにあります。仮に台湾を内戦と主張して攻め込んでみても、ロシア製の武器では、米軍から武器供与されている台湾に簡単に押し戻されそうに感じているはずです。

その上、ロシアの侵略に対する国際社会の風当たりは凄まじさを実感した気の小さい習近平氏にはプーチン氏ほどの厚かましさはありません。Quad(日米豪印戦略対話)に加えて欧州諸国も加わって対中包囲網を形成されたいま、事を構えることも、またロシアと積極的に組むことも得策でないと分かった以上、口先だけの対応をすることしかできないのです。

第三の理由は、国際社会における経済関係が多角化し、中国自身が最先端技術や食料の輸入分野で欧米諸国との縁を切りたくても切れなくなっているからです。つまり、欧米諸国から中国が切り離されれば中国は確実に崩壊します。したがって、中国が経済大国であることを威張ってみたところで、所詮は欧米諸国の手のひらで泳がされている孫悟空みたいな存在にすぎません。それを無にしてまでロシアと手を組むことはあり得ません。

中国好きの一部評論家は「中国に仲介を頼めばいい」という気楽なことをいっていますが、中国は自分の利益を最大にしたがる損得勘定の国ですから、どちらに転んでもメリットがない以上、積極的に動くはずはありません。結局、中国にとっての正義とは「損得勘定」で、躊躇逡巡をしながら日和見を続けるだけなのです。


ウクライナ問題解決にインドの力を

そうなると、必然的に頼りにできるのは将来の大国インドになるということは自明です。しかも、ソ連時代から現在のロシアと友好関係にあったインドが、ロシアとの利害関係を断ち切るだけで、すぐに日米欧の側に立つことができるはずです。しかも、ロシアの侵略戦争後の新しい国際秩序を構築するのに、高齢化中国を青年のインドに置き換える府が国際社会の発展に大きく寄与するように思えます。

したがって、国際社会はインドをいかに日米欧側に組み入れるのか、その説得に全力を尽くした方がいいのではないかと考えます。

この際、インドのモディ首相に対し、同首相が心から敬愛していた安倍元首相に説得してもらい、Quad(クアッド)のようなロシア包囲網を形成することがウクライナ問題解決の近道になると思います。



一方、現状の日本政府にはウクライナ問題に対しての解決能力はありません。いつも「重大な懸念持って注視する」と言うばかりで明確なビジョンはないのです。注視している間にもウクライナの事態は深刻化しています。

また、注視しているだけで日本の国防や憲法改正の動きも見えてきません。結局、日本政府は何もしようとはせず、変革を求められているのに現状維持を強く望んでいるようです。この危機感のなさこそ、戦後日本の最大の危機であるように思えてなりません。




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