ちくわブログ

ちくわの夜明け

鮮度

2006-03-08 14:34:59 | お仕事
「カメラの前でコメントしたら、その後あそこまで走ってって」と指示したら、可愛くコメントした後、思いっきり徒競走走りで疾走したのです。「おりゃー!」とばかりに。ズギャンと。
「あの娘、可愛い顔して、走り方がすごく不細工だなぁ」そう呟くと、隣にいたスタイリストさんが「ナチュラルにそういうキャラなんでしょうね」と苦笑していました。


そんなキャラの日美野梓さんのイメージDVDを先日、撮影してきました。
お手伝いでなく、一人で任されるのって初めてだったので、緊張のあまりいつもの太田胃散すら飲み忘れる始末。
おまけに前日までそちらの会社が作ったイメージDVDやらを見たり、予定表読んで進行を組み立ててみたりと、ほとんど徒労に近い悪あがきを朝方までやっていたので、ろくに寝てないというマヌケっぷり。

はたしてイメージDVDなんて何をどう演出したら良いのやら?そもそも何故俺はここに?なんでアイドルのイメージDVDを撮っているん?
謎が謎を呼び、鳥並の脳味噌しか持ち合わせていないわたしは、今にも頭がパンクしそうに。しかし鳥なので三歩歩いたらまた忘れるのです。だから悩んでる暇なんてないのだ。

しかし自分が今、この現場にいることの不思議。
ありがたいのです、実際すごく。こんな俺ごときにお仕事を下さって。でも、オタクでありながらもちょっと陰のある社会派を気取ろうと画策していた俺様にとってみれば、どこでどう間違ったのか、いつのまにやら3次元アキバ系の現場にいることが、何というかすごく・・・・「?」なんです。
人生はかくも・・・・まぁいいや。とりあえず目の前のありがたいお仕事をこなすのみ!今、この目の前にいる、この娘を可愛く撮るのだ!それに徹しろ!!

と、そういう、うっとうしげなしょいこみも程々に、けっこう楽しく撮影が出来ました。
というのも、前述のとおり、日美野さんのキャラクターが少女独特の天真爛漫さというか、そういう「汚れなさ」みたいな無垢さにあふれており、こっちのしょいこみをいい意味で「かる~く」してくれたんですね。
15歳の女の子に、このオッサンが緊張をほぐされたんです。情けないことに。逆だろ、普通。

通常、可愛い女の子を撮影した後、わたしは独特の自身への嫌悪感に悩まされちゃうんですよね。自分の存在がすごく汚らしく見えるとか、そういった相対化しきれない、くすぶった劣等感にさいなまれるんです。
でも彼女はそんなこと思わせず、とにかく周りにいる人間を気持ちよくさせる、そんな魅力にあふれていました。こういう「少女っぽい女の子」って久しぶりに見た感じがします。

「気負いがない」

こう表現すればいいのかな?
自分が可愛いことに対する気負いとか、大人になる過渡期で身につけていくプライドのようなもの。そういうのって、女の子の場合、身につければつけるほどシステムというか、処世術を手に入れ、代わりに少女らしい「鮮度」のようなものを失っていくと思うんです。もちろん、円熟した美しさのためにはこの「鮮度」を捨てなければならないので、一辺倒に鮮度が良ければいい、と言っているのでもないのですが。

話がそれますが、個人的に好きなのは、その、まさに「過渡期」真っ最中の女の子です。17~20歳かそこらの。この時期って美しさが不均等で、女の子自身に自覚がない分、とても無責任で、見るものを傷つけるような美しさを持っていると思います。痛いんですよ!見ると。チクリと。

日美野さんは、そういった美しさの功罪みたいなのを感じさせず、一緒にいることを雰囲気が許してくれているような、少女らしい、とても澄んだ空気感を持ち合わせている女の子でした。
こんな娘って、すごく稀なのでは?


また週末、2回目の撮影があるので頑張ってきます。
それこそ、自分がここで吐露したこの感情を、DVDを買って見る人に伝わるような撮影が出来ればな、と思います。
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