えんえんと続く新青梅街道。
青空が続くと、やがて遥かに見えてくる山々。
原付トコトコやって約30分。ああ、俺すごい田舎にすんでんだなあ、やっぱり。しかし、いい。すごくいい。
突然ですが、原付バイクを買いました。
映像を食い扶持として約2年。
工場でセッセとやっていた時期は「チャリンコのみ」で通える場所だったので特に問題なかったのですが、こうして毎日都心の方に行くようになると駅まで15分の自転車が極めてキツク感じる。
休みの日だって、同じ交通手段で同じような道を行く。
「フ」と、うんざりとした時に「ああ、やばい。本格的にうんざりすると取り返しつかんなあ」と思い、ここはひとつ、交通手段に革新的変化をもたらす公道デビューが必要、と感じたわけです。とは言っても車を買う金も気力も技術も無いので、お手軽な原付を購入することにいたしました。
まあお客さん、何より撮影の日がええです。重たいカメラバッグをしょってもすいすい行きます。寒いのに汗ダラダラの人、という珍妙な気配もありません。
あれ、『2001年宇宙の旅』で猿が道具使うっていう感動的なシーンがあるんですが、それ思い出しました。
さて。
こうなったら遠出しない手はありません。とはいってもあんまり遠いのは無茶だし、何より怖い。
なので以前から行ってみようと思っていた「日原鍾乳洞」へ行くことにしました。
ナビタイムで調べてみると、車で約2時間。ちょうど良い距離ではないか。
日原鍾乳洞は奥多摩の奥にある都内一の鍾乳洞。
手元のシオリ(入場切符)によると「洞内は石筍、石柱の発達著しく 金世界、銀世界特に乳石の乱立は豪壮雄大記念物の豊富さと其の美観の素晴しさは正に関東第一と激賞され、ここを訪れる探勝者総ての心を奪い恍惚夢現の境に誘うのであります。」
と、無闇にそそる文句が乱立しており入場者の期待を煽ります。
当日は快晴。
前日激しい雨だったため、期待通りの青空。
朝9時に出発し、渋滞も無い道路をトコトコ行きます。
風に舞う枯葉と共にカーブを曲がると、坂の上から向かいに山々が見られ、「おお」となります。
そこからしばらく行くと、もう「街道」という感じの田舎になります。
そういった道々を味わいながら、もう少し走るとたちまち御岳山に到着。
渓流と山に抱かれて、もはや都内という事実はどうでもよくなってきます。
ここまでで約2時間。途中、実はガス欠したんで(ほんと馬鹿)、ちょっと遅くなりましたが一応の第一目標地点に到着。
ドライブインで朝食兼昼食。蕎麦を食いました。
実は「もうここで満足するようだったら山登って帰っちまおう」と考えていたんですが、思ったより走り足りない。目標は目標地点としてあるのであって、真の目標は走ることにあったので、やはりまだその先にある鍾乳洞を目指すことを再決心したのであります。
カッコイイ。
再決心したはいいけど、いかんせん馬鹿なので、調子に乗って地図を確認しないため曲がるべき大事な道を曲がらない。
しばらく行くといくつものトンネルがお出迎え。極めて恐ろしい思いをするはめになる。
原付でトンネルって怖いのです。寒いし。
おかしいなーと思っていると道の横に奥多摩湖が見えるのでシャレになりません。
間違えたと思ってドライブインでおしっこし、Uターン。
ここらへんの道に来ると、バイクのお兄さんたちがすこぶる怖い。怖い人たちじゃないんだろうけど、原付でここまで来てる人いないんで、剣持ってる人たちの中に一人棍棒持って入ったみたいで怖い。
戻って曲がるべき道を曲がると、ほとんど車も通らないような静かな山道となります。
これは非常に楽しかったです。車もスピード出せないから、アセる必要もないし。
いい気分でしばらく行くと、さあ到着です。
ああ。いいすね。
「ゴール」って感じだ。何もないや。
あとは普通に入って出てきました。けっこう歩き甲斐ある道です。
んで水がしたたっているのでよく濡れます。
中の様子はこんな。
ところどころ、岩やプチ名所があったりして、ことごとく名前がつけられ、解説がなされております。
やや歩くと、素晴しく広い洞穴に出くわします。
スケールが伝わりにくいですが、階段の大きさで察するとよい。
手すりの無い階段もあったので、下手をすると硬い岩場に頭を打ち付けて死にはしないだろうか、と心配になる。
その全てが濡れしめっており、暗く閉ざされた中をわずかな光が照らし出すさまは、女体のエロスを彷彿とさせるものがあります。
入場料¥600では安いくらい。シオリの文句も納得の充実。このような景観はそうそう拝めないので、興奮することしきりでありました。
ではお帰ります。
来た道を戻ればいいだけなのですが、来た道とは言っても来た道と景色が違うわけではないですか。そこのところの勘定が出来ていない点が、わたしが方向音痴で馬鹿であるゆえんであろう。
大きく道をそれ、あやうく高尾山まで行って遭難して死ぬところでした。
しかしピンチを脱したはさすが男の子。
地図、買っといてよかった。
さて、わたしは今回の旅で、こうして鞄ひとつにカメラぶら下げ、原付でトコトコ行くのはたいへんいいものだなあ、と思ったのですが、世の中はこういった行為をどう見ているのか、とても気になるのです。
というのも、知人に「見てくれ。かわいい相棒さ」と自慢の原付君を写メで撮ったものを見せたら「あはは。恥ずかしい」と言われたのです。
相手は100ccに乗っているため、このような軽口をたたいたのかもしれません。
また、帰り、駐車場でバイカーのおっさん二人連れとすれ違った時なぞ「うわここまで原チャとかww」って草はやしてましたので、法定速度30キロで轢き殺すところでした。
そんなに原付って笑える乗り物なのか。
キミタチはあれか。ちんちんの長さに誇りを持つタイプか。
俺はなあ。
俺はなあ。
ちんちん長くないけど、指が長いので重宝してます。
(了)
青空が続くと、やがて遥かに見えてくる山々。
原付トコトコやって約30分。ああ、俺すごい田舎にすんでんだなあ、やっぱり。しかし、いい。すごくいい。
突然ですが、原付バイクを買いました。
映像を食い扶持として約2年。
工場でセッセとやっていた時期は「チャリンコのみ」で通える場所だったので特に問題なかったのですが、こうして毎日都心の方に行くようになると駅まで15分の自転車が極めてキツク感じる。
休みの日だって、同じ交通手段で同じような道を行く。
「フ」と、うんざりとした時に「ああ、やばい。本格的にうんざりすると取り返しつかんなあ」と思い、ここはひとつ、交通手段に革新的変化をもたらす公道デビューが必要、と感じたわけです。とは言っても車を買う金も気力も技術も無いので、お手軽な原付を購入することにいたしました。
まあお客さん、何より撮影の日がええです。重たいカメラバッグをしょってもすいすい行きます。寒いのに汗ダラダラの人、という珍妙な気配もありません。
あれ、『2001年宇宙の旅』で猿が道具使うっていう感動的なシーンがあるんですが、それ思い出しました。
さて。
こうなったら遠出しない手はありません。とはいってもあんまり遠いのは無茶だし、何より怖い。
なので以前から行ってみようと思っていた「日原鍾乳洞」へ行くことにしました。
ナビタイムで調べてみると、車で約2時間。ちょうど良い距離ではないか。
日原鍾乳洞は奥多摩の奥にある都内一の鍾乳洞。
手元のシオリ(入場切符)によると「洞内は石筍、石柱の発達著しく 金世界、銀世界特に乳石の乱立は豪壮雄大記念物の豊富さと其の美観の素晴しさは正に関東第一と激賞され、ここを訪れる探勝者総ての心を奪い恍惚夢現の境に誘うのであります。」
と、無闇にそそる文句が乱立しており入場者の期待を煽ります。
当日は快晴。
前日激しい雨だったため、期待通りの青空。
朝9時に出発し、渋滞も無い道路をトコトコ行きます。
風に舞う枯葉と共にカーブを曲がると、坂の上から向かいに山々が見られ、「おお」となります。
そこからしばらく行くと、もう「街道」という感じの田舎になります。
そういった道々を味わいながら、もう少し走るとたちまち御岳山に到着。
渓流と山に抱かれて、もはや都内という事実はどうでもよくなってきます。
ここまでで約2時間。途中、実はガス欠したんで(ほんと馬鹿)、ちょっと遅くなりましたが一応の第一目標地点に到着。
ドライブインで朝食兼昼食。蕎麦を食いました。
実は「もうここで満足するようだったら山登って帰っちまおう」と考えていたんですが、思ったより走り足りない。目標は目標地点としてあるのであって、真の目標は走ることにあったので、やはりまだその先にある鍾乳洞を目指すことを再決心したのであります。
カッコイイ。
再決心したはいいけど、いかんせん馬鹿なので、調子に乗って地図を確認しないため曲がるべき大事な道を曲がらない。
しばらく行くといくつものトンネルがお出迎え。極めて恐ろしい思いをするはめになる。
原付でトンネルって怖いのです。寒いし。
おかしいなーと思っていると道の横に奥多摩湖が見えるのでシャレになりません。
間違えたと思ってドライブインでおしっこし、Uターン。
ここらへんの道に来ると、バイクのお兄さんたちがすこぶる怖い。怖い人たちじゃないんだろうけど、原付でここまで来てる人いないんで、剣持ってる人たちの中に一人棍棒持って入ったみたいで怖い。
戻って曲がるべき道を曲がると、ほとんど車も通らないような静かな山道となります。
これは非常に楽しかったです。車もスピード出せないから、アセる必要もないし。
いい気分でしばらく行くと、さあ到着です。
ああ。いいすね。
「ゴール」って感じだ。何もないや。
あとは普通に入って出てきました。けっこう歩き甲斐ある道です。
んで水がしたたっているのでよく濡れます。
中の様子はこんな。
ところどころ、岩やプチ名所があったりして、ことごとく名前がつけられ、解説がなされております。
やや歩くと、素晴しく広い洞穴に出くわします。
スケールが伝わりにくいですが、階段の大きさで察するとよい。
手すりの無い階段もあったので、下手をすると硬い岩場に頭を打ち付けて死にはしないだろうか、と心配になる。
その全てが濡れしめっており、暗く閉ざされた中をわずかな光が照らし出すさまは、女体のエロスを彷彿とさせるものがあります。
入場料¥600では安いくらい。シオリの文句も納得の充実。このような景観はそうそう拝めないので、興奮することしきりでありました。
ではお帰ります。
来た道を戻ればいいだけなのですが、来た道とは言っても来た道と景色が違うわけではないですか。そこのところの勘定が出来ていない点が、わたしが方向音痴で馬鹿であるゆえんであろう。
大きく道をそれ、あやうく高尾山まで行って遭難して死ぬところでした。
しかしピンチを脱したはさすが男の子。
地図、買っといてよかった。
さて、わたしは今回の旅で、こうして鞄ひとつにカメラぶら下げ、原付でトコトコ行くのはたいへんいいものだなあ、と思ったのですが、世の中はこういった行為をどう見ているのか、とても気になるのです。
というのも、知人に「見てくれ。かわいい相棒さ」と自慢の原付君を写メで撮ったものを見せたら「あはは。恥ずかしい」と言われたのです。
相手は100ccに乗っているため、このような軽口をたたいたのかもしれません。
また、帰り、駐車場でバイカーのおっさん二人連れとすれ違った時なぞ「うわここまで原チャとかww」って草はやしてましたので、法定速度30キロで轢き殺すところでした。
そんなに原付って笑える乗り物なのか。
キミタチはあれか。ちんちんの長さに誇りを持つタイプか。
俺はなあ。
俺はなあ。
ちんちん長くないけど、指が長いので重宝してます。
(了)