田舎の倉庫

Plala Broach から移植しました。

日本文藝家協会編「代表作時代小説」

2012年09月02日 | 読書三昧

「重なる心、触れ合う身体、ただ温かく」とのキャッチが記された掲題の本を読みました。H23年度中に発行された文芸誌に掲載された短編時代小説の中から編者のお眼鏡にかなった16編を収めています。

印象に残ったのは、やはりすでに直木賞などを受賞した作家の作品で、頭ひとつ抜けていると思いました。具体的には、葉室麟の「牡丹の咲くころ」、火坂雅志の「馬上の局」が面白いと思いました。

一方、葉室麟と直木賞(第146回)を争った伊東潤が「毒蛾に刺された男」を書いていて興味深い。上記はいずれも史実を題材にしているのですが、時代背景がはっきりしているだけに、純然たるフィクションものより説得力があります。これも時代小説の面白さと言えます。

収録作品

・「毒蛾に刺された男」 伊東潤
・「船饅頭」 小池昌代
・「高麗(こくり)討ち」 東郷隆
・「平家の光源氏」 高橋直樹
・「馬上の局」 火坂雅志
・「勝ちは、勝ち」 松井今朝子
・「別式女」 好村兼一
・「シュニィユ 軍神ひょっとこ葉武太郎伝」 荒山徹
・「蚊帳のなか」 池永陽
・「金丸家の関ヶ原」 岩井三四二
・「夏芒(かぼう)の庭」 澤田瞳子
・「夕すずめ」 杉本章子
・「牡丹咲くころ」 葉室麟
・「チャーリーの受難」 皆川博子
・「たもと石」 山本一力
・「天竺の甘露」 吉川永青