
著者の呉善花氏は、略歴によれば1956年・韓国生まれの女性で、大卒後軍隊生活を4年経るなどしたあと1983年に渡日されている。
本書は1991年出版とこのことで、8年間の日本及び他海外での生活経験を基に、日本と韓国の文化について書かれたものである。
当然、韓国女性の視点から書かれているわけだが、日頃TVなどでみる 反日的な内容ではなく、日本人が不可解に思う韓国人の行動や言動について、そして行き違いになる原因について、冷静に客観的に自体験を踏まえながら、両者の心理面から説明している。 それにしても隣の国であり、ほとんど一緒な顔をしているというのに、文化・考え方の違いが大きいことに驚かされっぱなしの一冊だった。
ただし、本書は今から20年ほど前のものであり、今では現代自動車・サムスンなど世界有数の大企業もあり、変った面も大きいのではないかと思う。
それでも、いまだに色んな問題が提起されることを思うと、心の中は何も変っていないのかもしれない。
尚、著者はその後も毎年のように新本を出されているようなので、最近出されたものについて目を通すのがいいかもしれない。
ところで、副題の「恨を楽しむ人びと」というのがある。 恨は「ハン」と呼ぶのだそうで、日本語のウラミ とは少し違うとのこと・・・読んでもなかなか理解しにくい感覚だ。 とにかく全体を通して感じる、ぼんやりとしたイメージは、"病的なナルシシズム" に辿り着いたりする ・・・