よろずよもやまよろずたび

地元の写真と日々の雑感、写真日記です.
最近は陶芸三昧の日々ですが・・・

 『捕食者なき世界』

2011-02-09 | 


「生物多様性が、頂点捕食者(トップ・プレデター)がいることで守られている」ということの研究事例と科学者の取り組みについて書かれたものです。 例えばオオカミを殺しつくした北米の森が鹿の類により木々の若芽を食べるなどの食害にあって植物だけではなく、鳥類など様々な種の減少を引き起こしているとのことです。そこでイエローストーンではカナダからオオカミを連れてきて放したところ、以前の生態が戻りつつあるとのことです。
で、かつて日本でもオオカミがいたそうですが、1905年には絶滅したとのことで、それとの因果関係が明らかになってはいないそうですが、近年シカが増えて、食害が広まっているとのことです。 それは比較的低い山の一般的な木々だけではなく、貴重な高山植物なども被害にあっているのだとか・・・だからといってイエローストーンと同じようにオオカミを放て・・・と、簡単なわけにはいかないでしょうし、とにかく難しい問題です。
ところで、末尾に『シフティング・ベースライン・シンドローム(基準推移症候群)』なるものが紹介されていました。 これは「子供時代に初めて見た世界は、親世代から見てどれほど荒れ果てた世界であっても、その人にとってあるべき世界の基準になる」というもので、我々の世代が異常だと思う環境や何やかやであっても、子供や孫にとっては、それが当たりまえで問題視しないようになるということらしいです。そうなると、いくら口やかましく言ったとしても、「まぁいいじゃないか」ということで・・・夏の白山に登ったとき出迎えてくれる可憐な花々や虫たちがいなくなったとしても寂しさを感じない世代が・・・なんてのはイヤダなぁ~
また外来種の勢力拡大も気になるところです。秋になると黄色い花を咲かせるセイタカアワダチソウも、日本の風景には似合わないと思いますが、生まれたときから目にしている子供たちにとって、違和感はないのかもしれません。