goo blog サービス終了のお知らせ 

心にうつりゆくよしなしごと / 小嶋基弘建築アトリエ

山あれば山を観る 雨の日は雨を聴く 春夏秋冬 あしたもよろし ゆうべもよろし

おっかけ①

2005年10月23日 | うんちく・小ネタ

超ハードワークと歯の痛みで、一週休み明けの今回は、木組みのお話。

画像は【追っ掛け大栓継ぎ】-おっかけだいせんつぎ-という技法で、大工は『おっかけ』と呼びます。
この木材の寸法は9寸角、つまり27センチx27センチの断面で、長さが7メートルあります。

樹種は杉。大黒柱で使うような寸法ですが、依頼先の設計事務所で2階床梁として使うとのことで、特注材ですね。
接合箇所が2箇所あり、総全長14メートルの連続した9寸角の構造材になります。

木造ではT接合を【仕口】、-接合を【継ぎ手】といいますが、『おっかけ』は継ぎ手で用いる技法です。木組みでは最もポピュラーな技法の一つといえます。

ですが、全自動構造材プレカットでは採用されていない技法で、単発機で追っ掛け加工機があるものの大変少数らしく、ほぼ大工が手仕事で墨付けと工作を行っている木組みといえるようです。

こんな巨大な梁、全自動でなんか、対応出来ないよねぇ…(-_-;



ちなみに全自動構造材プレカットでは【腰掛け鎌継ぎ】-こしかけかまつぎ-という技法を採用していて、金物による補強が必須の木組みです。

《上木先端部が受材芯より150mm内外になるように、下木を持ち出し上端をそろえ、腰掛けかま継ぎとし、短ざく金物両面当て、六角ボルト締め釘打ちとする。》の仕様規定が設けられている【腰掛け鎌継ぎ】に対し、【追っ掛け大栓継ぎ】は金物補強の規定がありません。大地震時、接合部を破壊しようとする力に対して、『おっかけ』は十分な強度があるからです。

【腰掛け鎌継ぎ】に比べて手間がかかる分、強度はかなり出るので、耐震性・耐久性の高い住まいをご希望の方にはお勧めです。こと、耐久性についていえば、梁で通常使用で杉9寸角の【追っ掛け大栓継ぎ】は、まず300年はもちますから。(笑)

次回につづく


最新の画像もっと見る

コメントを投稿