心にうつりゆくよしなしごと / 小嶋基弘建築アトリエ

山あれば山を観る 雨の日は雨を聴く 春夏秋冬 あしたもよろし ゆうべもよろし

開放的な間取りのヒント

2012年06月11日 | うんちく・小ネタ

京都鴨川の納涼床】に見る開放的な間取りのヒント。大工仕事の次は設計仕事。


前々回記事【やわらかな建築・私が残したいもの】での立面図。上段左・東、上段右・北、下段左・西、下段右・南。

 

平面図があると理解し易いのだけれど、プライバシーの問題から掲載していません。
立面図だけで想像出来ますか?この住宅の敷地は北側道路。なのでファサードは北立面図、上段右の画像がそれです。


京都鴨川の納涼床】(Google画像検索より)の画像とこうして比べてみると、どことなく似ていますね。

 

北側車庫の階上をバルコニーデッキにして、室内と段差の無いバリアフリー床で連続させてあります。更に西側には完全に屋根が架かったルーフバルコニーデッキ、南側には1mの軒の出の下に納まるようにバルコニーデッキ。いずれも室内床とは段差の無いバリアフリー床として設計。


つまり、2階は室内の居室から北・西・南側の3方向にデッキを張り出して、空間の広がりを持たせてあります。


私が提案する【2006.05.21坪庭のすすめ】のバリエーション。つまり、これらデッキ群は空中庭園的空間。あくまで建築を外部環境と有機的に関連付けしたい発想から計画しました。建ぺい率の有効利用といった消極的発想からこのデッキ群を計画しているのではないのです。


こうする事で、とても大きな開放感が生まれ、通風が期待出来る間取り・空間を計画する事が出来ました。『夏にエアコンに頼らないで済む、開放的な間取り』を要望されたお施主様も、気に入ってくれています。\(^o^)/


一般に住宅地では南側道路敷地に比べ北側道路敷地は陽当りの面で不利ですが、この住宅では、平面だけでなく高さ関係の計画にも工夫を凝らして陽当りも解決してあります。矩計図は平面図同様掲載しませんので理解しずらいとは思いますが。


【開放感】【陽当り】【通風】など、性能として数値化しにくい要望ですが、お施主様と一緒に要望をフォルム化して出来上がった設計図は、鴨川の納涼床と、結果的に大変共通する環境共生住宅を設計する事になりました。


小嶋基弘建築アトリエのパンフレットから。




この住宅建築の設計基本理念はパンフレットの通リで、『環境共生住宅をデザインするということ、そのヒント』のバリエーションによる造形です。お施主様から『この、”環境共生住宅をデザインするということ、そのヒント”良いですよね』と気に入って貰い、設計者に指名していただいた経緯があります。


私は原則として、環境共生住宅こそが、豊かな住文化を育み、家族に幸せを呼び込む住宅のスタイルだと思っています。


環境共生住宅とは、高気密+高断熱という、性能に誘導される現在の大量生産型住宅の間取り・空間の真逆を行くものだと私は考えています。


でも、だからといって隙間風ピューピューで断熱性能の劣悪な前時代的建築で良いとは考えていません。もちろんお施主様の要望を踏まえた設計になりますが、サッシや断熱材の断熱性能、耐震性、耐久性など、フラット35S基準をクリアする性能は必要であると考えます。誤解なきように。


建築と外部環境とをピシャッと遮断しないで、おだやかに溶け合う緩衝空間をまとわせる発想は、開放的な間取りを実現するヒントのひとつです。


例えば、【京都・鴨川の納涼床の建物・町並み】が、現在日本でもてはやされる高気密高断熱大量生産型住宅になってしまったらぞっとしませんか?


京都以外にはこういう風情ってないのでしょうか?
こういう建築からも、環境共生住宅のヒントが得られるのです。


さて、これからEURO2012フランスVSイングランドのTV観戦です。)^o^(


最新の画像もっと見る

コメントを投稿