心にうつりゆくよしなしごと / 小嶋基弘建築アトリエ

山あれば山を観る 雨の日は雨を聴く 春夏秋冬 あしたもよろし ゆうべもよろし

パネル工法ではありません

2013年07月15日 | 日記・エッセイ・コラム

【2013/07/10外壁準真壁(室外側)】【2013/07/11真壁(室内側)】の、下地施工段階。
ご覧の通り、N邸ではパネル工法を採用していません。
005
大工さんが下地であるにもかかわらず、とても丁寧に作り込んでくれています。

パネル工法不採用の理由は2つ。
・軸組みと真壁パネルとのクリアランス(隙間)が少なくとも3mmはあり、断熱欠損箇所である点。
・工務店のパネル工法不採用の決定。

多くの施工会社がパネル化による省力化・合理化を採用していますが、クリアランスの断熱欠損箇所については ”必要悪” として見て見ぬふりをしている様に思います。

その点、画像の様に下地から作り込む方式だと、受け材と柱や横架材との間に隙間は発生しないので、この部位での断熱欠損は生じません。

つまり、断熱欠損箇所での結露(しかも最も大敵な壁内結露)が発生しにくいメリットがあります。

コスト的には、軸組みがパネル工法対応設計な事もあり、パネル製作会社に発注した方が却って割高だったのかも知れません。

耐力壁でもある事から、施工管理もより一層、的確に行ってくれています。

 

 

追伸:2023年1月4日

断熱欠損箇所についての ”必要悪” の可視化。⇒ 黒の楕円内がそれ。

金属部位が室内と室外を直接結ぶ完全なる熱橋(ヒートブリッジ)となってしまっている。

つまり、アルミサッシ同様の結露を、構造の要で発生させる事になる。

更に、柱のスリット加工も室内と室外を完全に連続している。

白い部分が発泡プラスチック系断熱材。

隙間を現場発泡ウレタン等の吹き付け断熱材で塞がないと、上記とダブルで結露を発生させる事になる。

つまり木部の腐食を加速させ、構造強度・耐久性・断熱性が極めて劣る工法となる。

しかも金属部は断熱の施し用が無いので、結露については完全にお手上げ状態。

結露の程度によっては数年で木部が完全腐食して、構造として体を成さない事がハッキリ目に見える。

 

 

施行の為の”必要悪”により、柱と白い発泡プラスチック系断熱材の間に発生する隙間。

製品パネルを既存の軸組みに建て込むには、どうしてもこの隙間が発生してしまうのだ。

この事実を看過しない正しい断熱の技術のある会社、設計士、施工管理者、そして職人(技能者)は、

この隙間に現場発泡ウレタン等による吹き付け断熱材を施工して、断熱欠損を生じさせない。

 

 

発泡プラスチック系断熱の下部にも断熱欠損箇所が発生している。

パッと見でメリット大に見えるパネル工法なのだが、施行の為の ”逃げ” を設けなければならないがゆえ、

細部を覗くと、ここ減点⇒ここも減点⇒またまた減点・・・∞で、Made in japan品質のレベルにはない。

 

つまり、断熱や気密の正しい知識を持った者にしか見抜けないのである。これらが何を意味するかを。

一級建築士であっても。

 

 

結論

断熱欠損箇所の”必要悪”は、単刀直入に言って、現場の労務量削減によるコストダウンと大量生産化が主な目的である。

よって、断熱欠損部位を断熱補強しない会社のパネル工法は、決して高品質高性能ではない。

つまり『ローマは一日にして成らず』なのである。

 



ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村



 

 

 

 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿