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▲廃棄物の『捨て得』を許してはならない!静岡市吉津の焼却灰放置問題

 フェロシルト問題では、石原産業が「廃棄物だけど安全だから撤去しない!」と愛知県を提訴しました。こんな事を認めれば、『捨て得』が横行。
 同じような臭いを感じたので、吉津の問題をご紹介します。こちらは、物は焼却灰でダイオキシンも検出されている。そして、何故か行政が業者側を擁護しているように感じてしまいます。

■静岡市吉津の野焼き焼却灰放置問題。地元の方から相談が来ました。

 現場には、何度かお伺いしました。

 家屋解体業者が建築廃材等を野焼きし、その焼却灰が民家まで押し迫っている現場をみたり、井戸水を使っての生活がされている様子などをお聞きしました。

 その後、地元の皆さんも頑張られ、現在、静岡市を相手に静岡県に公害調停を起こされています。そんな状況下、お便りを頂いたので、了解を得て紹介させて頂きます。

▲おたよりの概要と私の感想

 昨年4月、当地問題が日本テレビのニュース特集「憤激リポート・放置17年焼却灰の山」として、首都圏1都6県で大きく放映されましたが、肝心の静岡市では、なぜか放映されませんでした。

 その後も静岡市は「環境条例」「清流条例」を矢継ぎ早に施行し、市の広報紙では毎回「清流の街・環境都市静岡」の美辞麗句と市長のにっこり顔がカラー写真で全戸配布されます。ほとんどの市民は吉津問題を知りません。

 こうして 静岡市は、一貫して臭い物に蓋をして終らせるつもりなので、去る4月10日、わたしたち市民181人の申請人は、吉津地区A,B,両地点の有害産廃の行政代執行による完全撤去を求め、静岡県公害審査会に公害調停を申請しました。被申請人の静岡市長から、6月7日、以下の内容の答弁書が出されました。

  今までの静岡市が行ってきた立入調査等の公文書では、「野焼きの事実」や「ゴミ処分場なみの状況」であることが記載されているにもかかわらず、市長答弁書は、煤塵の存在と土に混ぜ合わせたことを否認するなど、今までの事実を無視しその論旨はほぼ以下の7点です。

  1. 市長が産廃業者を指導監督すべき立場であることは認める。
  2. しかし、市長は指導監督義務に違反しておらず、大橋解体の違法行為に加担もしていない。
  3. なぜなら大橋解体は、不法投棄はしておらず、自己所有地に保管しただけだから。
  4. A・B地点の現状も、不法投棄でなく保管である。
  5. 市は大橋解体を指導し、大橋解体も市の指導に従ってきた。
  6. 生活環境の保全上の支障が生じまたは生じるおそれが認められなかったし、今後も認められない。
  7. 以上から改善命令や措置命令を出す必要はなく、市長は指導監督責任を果たしてきたので、本調停に応じない。

というものです。

  なお、ご参考までにお忘れかもしれないので付け加えると、当該廃棄物は、家屋解体物をそのまま野積みしたものではなく、O解体業者が自己所有地に、大規模な野外焼却を繰り返した結果生まれた燃え殻(焼却灰)を中心とする有害産廃であるということです。

 環境総合研究所による住民側検査で、A地点土壌から3326pg―TEQ/gのダイオキシン類が検出されています。(市がO解体業者にやらせた検査ではA地が600ピコ、B地が150ピコです)

 また、本件A・B両地点の約6000立米(市推計)の産業廃棄物は一朝一夕に堆積したわけではなく、情報公開された文書に限っても住民が約40回以上、10年以上にわたり、指導改善の訴えの努力を被申請人に対し継続した結果で、市の産廃課の出動日録にもちゃんと毎回記録が残っています。

 7月27日に第二回調停が開かれましたが、市の態度は極めて強硬で、「付近の井戸水6井の年二回の水質検査だけは続けるが、基準値以下安全なのでそれ以外のことは一切しない。」とのこと。

私の感想:現場に伺ったとき、一滴の水も通さないようにと、現場には大きなブルーシートが掛けられていました。その理由は、雨ざらしでは危険との判断が、静岡市にあったからではないしょうか。業者によるダイオキシン600ピコの検出値も大変問題な数値であると思います。
 以前、愛知県廃棄物対策課で聞いたのは、土をかけた段階で「不法投棄」となるということ。私は、今まで「土を掛けた保管」の事例など聞いたことがありません。また、静岡市が、現状を保管と定義しているならば、近い将来、廃棄物の処分場への搬出が必要と考えていることになります。静岡市が、廃棄物処理法をどう解釈しているのか、どう考えても理解できません。
 廃棄物の保管基準である「業者の運搬能力の7日分」の限度を超え、かつ、覆土をした廃棄物の状況を「保管」と解釈するならば、この世の不法投棄は、すべて保管で片づけられてしまいます。
 このような間違った解釈が認められるなら、全国のゴミ問題へ与える影響は多大。今後の静岡県の調停と静岡市の答弁には、目が離せません。

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静岡市と静岡県の対応 (松葉)
2006-08-07 23:09:50
 同じ県内で起きた静岡市・吉津の問題は、平成14年頃から「静岡ゴミゼロネット」のメルマガで知り、経過を注目していました。静岡市の担当者は、当初から住民の訴えに背を向けて、平成15年3月に開かれた住民説明会では、当時話題になっていた「ダイオキシン神話の終焉」と言う本を示し、「(環境基準を大幅に超えた事実は認めたものの)住民の訴えは根も葉もない。」と退けて、会場を埋めた住民の怒りをかっています。

 この問題については、「環境行政改革フォーラム」が写真入りで詳細なレポートを出していますので紹介します。



http://www.eforum.jp/yoshizu1/yoshizu-rep1.htm



 実は、私が住む磐田市を流れる今之浦川では、平成10年に環境庁(当時)が実施したダイオキシン類の全国調査で、(旧福田町)於福橋付近の水質中のダイオキシン類が2.5pgTEQ/Lと全国ワースト8位にランクされました。

 その後も、わずかながら環境基準を超える県内ワースト1位が続き、住民の注目を集めていました。毎年調査を実施した静岡県の見解では、「底質中のダイオキシン類の値が高いことから、恒常的に汚染が続いている。」としていましたが、発生源についての言及はありませんでした。

 住民の中からは、計測点の1kmほど上流にあるJT(旧専売公社)のたばこ工場に30年近く前に設置された自家用焼却炉から排出された冷却水に混入した焼却灰が川底に堆積したのでは?と言う推測が浮上して来ました。

 (現在、焼却施設は廃止されています)



 平成14年になって、静岡県は調査結果を公表し「様々な原因が考えられるが、主な発生源は流域の水田から流入した農薬と思われる。」とJTを発生源とする考えを否定しました。

 農薬を原因とする根拠として、県は「除草剤に含まれるCNPやPCPが検出された。」ことを挙げていますが、この川の流域が他の地域よりも格段に大量の除草剤を使用して来たとは考えられず、住民には不満の残る結果となりました。



 この調査の中で、高い値が検出されたため後日再調査をして低い値を採用した例があったことがわかりました。

 素人の私が説明するのはおこがましいのですが、ダイオキシン類は脂溶性(油に溶けやすく、水に溶け難い性質)を持つため、単体で水質中には存在し難く、水中の浮遊物質に付着する形で移動します。

 降雨直後は流量が増えて川底の堆積物が撹拌されて水質中の浮遊物質が増え、付着しているダイオキシン類の値が数倍に跳ね上がることもあります。このため県では、晴天が数日続いた後に上澄みをサンプリングするように決められているそうです。

 確かにこの方法では、住民が心配するほど高い値は出難いのかも知れません。



 最近ニュースになった、社会保険庁が加入者に無断で免除手続きをして、加入率を高く見せようとした事件とダブって感じるのは、私だけでしょうか?
 
 
 
静岡市の環境行政 (スルメ)
2006-08-08 14:35:36
静岡市に、吉川さんのような環境問題・ゴミ問題に詳しく熱意ある政治家がいてくれるといいのですが。

 松葉さんが注目してくださっていたように、静岡市は看板は「清流の街」を掲げていますが、実体はひどいものです。「ダイオキシン神話の終焉」のとんでも本をバイブルにして、住民説明会で市の幹部が「ダイオキシンはそんなにこわいものじゃない。騒がないように」と何も知らない町民を洗脳してきたのはまだまだ序の口です。

 とにかく、町民が40回以上も訴えつづけたにもかかわらず、収集運搬業者に二〇年近く建築総合ゴミの野外焼却と不法投棄を遣りたい放題にさせ続けたのですから。藁科川の上流から下流まで、10数箇所もこのような違法な産廃の山がピラミッドを築いています。しかも現場付近の住民は水道が引かれていず、井戸水しか飲料水がありません。もっと大問題なのは、下流域に市民の水道の取水口の大半が散在していることです。この取水口の地図を裏面に印刷し、産廃撤去の署名活動を始めただけで、市長の側近市議は、「こういうことをされると僕も当局も迷惑だ」と運動つぶしの脅しにやってきました。翌日には市の水道局課長さんらが「営業妨害だから、白地図に変えるか、署名用紙を回収しなさい」とやってきました。市民の環境が守られていない街には民主主義もないことを実感しました。名古屋市などでは水道局の職員は率先して環境保全に取り組んでいるということをお聞きし、彼我の差が哀しくなりました。
 
 
 
こんばんは (みつこ)
2006-08-09 02:37:02
◇松葉さん こんばんは



> 当時話題になっていた「ダイオキシン神話の終焉」と言う本を示し、



 この書籍、行政の言い訳に良く使われますね。この書籍への反論、某月刊誌に書かせて頂きたことがあります。



> 主な発生源は流域の水田から流入した農薬と思われる。」とJTを発生源とする考えを否定しました。



 以前、名古屋市の大江川でも基準を大幅に越える事件がありましたが、更に調査ポイントを設定し、東レ工場からの排水が原因と特定した事件がありましたよ。

 私としては、満足した終わり方とは言えないとおもっていましたが、静岡と比べれば、名古屋市は頑張ったといえるのかもしれませんね。



◇スルメさん こんばんは



> 吉川さんのような環境問題・ゴミ問題に詳しく熱意ある政治家が・・・・



 市町村議員って政治家なんだろうか?議員と名が付けば

やっぱり政治家なのかな~?と思っている私で、有権者の方々に、お叱りを受けるかもしれませんが、どうも政治家という肩書きは、自分自身座り心地の悪いものに感じています。



 頂いたコメントだけでは詳細はわかりませんが、廃棄物処理法や環境省の今までの通知文に従って行政が対処していたならば、スルメさんがおっしゃるような事態になることはないと思います。



 私の住む愛西市にも、平成10年頃まで行われていた野焼きの焼却灰の放置問題がまだ残っています。ともに頑張っていきましょう。
 
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