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◆今後更に深刻になる「建物解体で飛び散るアスベスト」

Ⅰ.アスベスト問題に関わって思うこと。

 トーヨーボールアスベスト問題に関わってから、数年経ちました。毎日、工事現場周辺をパトロールして,少しでもよい工事がされることをめざして市民のみなさんと活動を続けました。でも、これでこの地域のアスベスト問題が終わったわけではありません。

 アスベスト問題は、過去の問題と思っている方が多いかもしれません。確かに使われたのは、過去ですが、それが建物に使われたままになっており、その建物の老朽化がはじまり、アスベスト飛散は、これからがピークとなります。

 現在、日本の法規制は不十分であり、使用の実態にみあった法規制はされていません。解体に関し、工事者および自治体は、市民に対し情報をオープンにすべきです。

Ⅱ.アスベストって何?

非常に細くて胸膜まで  非常に細かい天然鉱物繊維で、防音・耐熱に優れているので,建物に多く使われた。非常に細い繊維なので、肺の奥の方までたどり着き、胸膜も付け抜けてしまいます。

目に見えない  環境中に充満していても見えない

具体的な健康被害は・・・  悪性中皮腫(90%以上がアスベストが原因)、肺がん、アスベスト肺、胸膜肥厚斑などですが、肺がんの場合、アスベストが原因であることを立証するのが困難です。潜伏期間は、中皮腫の場合、約40年と言われています。(早いと10年くらい)

屋根、壁、天井裏に使われてきた 特に気を付けなくていけないのは、天井裏・空調機械室・エレベーター室・ポンプ室・機械室・倉庫などですが、一般家屋のスレート瓦やPタイル、壁材にも使われてきました。

Ⅲ.アスベストが大量に使われた建物が、大量に解体・改修の時期になる
~ 全国でアスベスト使用建物は280万棟。
       
アスベスト問題は、これからはじまる問題 ~

 解体においては、事前のアスベスト調査が重要であるが、調査者制度が作られていません。レベル3のアスベスト調査が更に不十分。工事関係者による説明会が必要。欧州では当たり前に制度化されていることがされていないのが現状です。

学校のアスベスト被害  環境再生保全機構による職種別の統計から、教師の発症がめだちます。教師の罹患が多いということは、子どもへの影響はどうなのでしょうか?(2015年の英国の報道によると、年間20人の教員が中脾腫で死亡しており、過去の生徒たちが中脾腫で200~300人亡くなっているそうです。)
 日本でアスベスト使用の規制がされたのは、欧州国より遅いので、後追いで欧州のような現実がやってくることが予測されています。  

今後の課題は
● アスベスト建材が使われた建築物を放置しても違法にならない!
 日本でアスベスト建築物に厳しい規制がかかったのは2006年です。しかし、建物が放置されていても違法になりません。(日本では、これだけ法に不備があるのです)
● アスベスト建材を使用した建築物の解体・改修がピークになる!
 しかし、★調査者制度が作られておらず、★レベル3の建材については調査が不十分。工事関係者による説明会も、欧州では制度化されているのに日本では制度化されていない

法を守っているからといって「安全」とは言えない
 公共施設でも、アスベスト飛散の事故があちこちで起きている。こうした報道から、自治体では独自の条例や要綱などを整備し、法以上の対策をとっている自治体も増えてきました。
 工事業者には、発注者に報告義務があります。しかし、その報告が適正化否かの判断をできる職員を抱えている自治体はどれくらいあるのでしょうか?適正な工事がされているか否かの判断ができる職員がいる自治体はどれくらいあるのでしょうか?
 職員で担いきれないのであれば、第三者関与のしくみをつくっていかなければなりません。

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