時々新聞社

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法人税を納めずに、政治献金は再開?

2006年12月09日 | 財界
三菱東京UFJ銀行が、経団連の要請に応えて政治献金を再開するとのニュースが流れた。これに続いて、みずほ銀行も政治献金再開の方向で検討に入ったという。
とんでもない話である。
銀行はいまバブル期にも達成できなかったような空前の利益を上げているにもかかわらず、法人税は1円も払っていないのである。
三菱東京UFJ、みずほ、三井住友、りそな、住友信託、三井トラストの6行の2007年3月期決算では、合計で2兆9600億円の利益を上げているが、それまでの赤字を翌年以降に繰り越せる「繰越欠損金制度」のおかげで、ここ数年間は1円の法人税も納めていない。
りそなは2003年から、三菱東京UFJとみずほは2002年から、三井住友と三井トラストは2001年から、そして住友信託にいたっては1995年から10年にもわたって、法人税をまったく支払っていないのである。
この「繰越欠損金制度」は、当初は、赤字を翌年度以降5年間にわたって繰り越せる制度であったが、銀行、財界応援団の政府与党により、繰越期間が7年間に延長されたため、上記のように、もうけを上げながらも税金を払わなくても済むようになったわけである。
納税は、国民にとって、また企業にとっての義務であるが、この義務を放棄する一方で、政治献金(自民党や民主党への献金)だけは復活させようという今回の銀行側の対応は到底納得できるものではない。
もし、2007年3月期の決算に従って納税すれば、この6行だけでも9000億円近い税額となるはずだ。それを免除しておいて、政治献金を復活させることは、日本の財政運営に大きな損失を与える一方で、特定の政党に資金を還流させる行為であることは明瞭であり、党利党略の最たるものだ。
しかも、銀行の個人株主や利用者へのサービス無視の行動である。
溜め込んだ利益を納税という形で国に納めることを基本としながら、株主や利用者にサービスの拡大などの形で還元することこそ、いまの銀行に求められていることはないだろうか。


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