時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

とんでもない財界の要求

2006年11月14日 | 財界
日本経団連の御手洗冨士夫会長は13日の記者会見で、税制改革の焦点になる法人税の実効税率(現行約40%)について、「欧州など各国の状況をみても30%をめどにして考えるべきだ」と強調し、政府・与党に対し年末にまとめる2007年度税制改正大綱に引き下げ方針を明記するよう求めたという。
大企業は、バルブ期にも達成できなかったようなものすごい収益を上げており、国税庁によると、法人申告所得は14年ぶりに50兆円を突破しており、史上4番目の好景気に浮かれているのである。
そして、二言目には、日本企業が「国際競争力を失っては困る」と言うのであるが、それは企業の勝手であろう。
御手洗氏のキヤノンは、本紙でもたびたび報道してきたように、偽装請負という違法行為にまで手を染めて、労働者を搾り取り、現在問題になっている格差社会を作り上げて張本人ではないか。
そして、減税の具体的な実施時期に関しては「(消費税率の引き上げなど)税制全体の抜本見直しのタイミングに向けてになる」と述べ、08年度以降に段階的に引き下げるべきだと述べたという。
一方で、弱者に負担の大きい消費税の増税を主張しながら、自分には都合の良い法人税率の減税を主張する。とんでもない話だ。
更に許せないのは、これに対して、財務相が実効税率について「イコールフッティング(公平な条件)という面から見てこの辺は課題だ」とも述べ、改めて引き下げの必要性を強調したという。そして、御手洗会長が来年度税制改正で引き下げの道筋を示すべきだと語ったことに関しては「経団連がそういう意見を出していることはしっかり留意しなければならない」と物分りの良さを示していることである。
今までに何度も述べてきたことであるが、日本という国は、大企業や財界への規制が極めて不十分な歪(いびつ)な資本主義国である。
せめて、現在制定されている法律を守らせるだけで、偽装請負などで苦しんでいる何十万人もの労働者の生活を世間並みに引き揚げることができるのであるが、それさえも不十分な対応に終わっている。
安倍政権は、しきりに「セイフティーネット」という言葉を口にするが、一方では、財務相がこういう財界応援団のような発言をして憚らないのである。
この政権のめざす国作りの本質を垣間見た気がした。


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