時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

説得力のない環境大臣の提案

2008年05月28日 | 環境・食料問題
神戸市で開かれていたG8環境相会合は26日、議長の鴨下環境相が、温室効果ガスの排出を「世界全体で2050年までに半減する」という長期目標について、7月の北海道洞爺湖サミットで合意するよう求めることを盛り込んだ議長総括を発表し、閉幕した。
議長総括は、G8と中国、インドなど主要排出国を含む18か国の環境相の共通認識をまとめたもの。昨年のドイツ・ハイリゲンダムサミットでは「真剣に検討する」との表現にとどまった「50年半減」について、「多くの国は、洞爺湖サミットで(ドイツでの)合意より踏み込み、長期目標に関する共有ビジョンに合意することについて強い意志を表明した」とし、主要国首脳が議論を進展させることを強く求めた。
その上で「先進国が大幅な削減を達成することによって主導しなければならない」として、先進国は「50年半減」より高い目標を掲げる必要性を表明した。
長期目標を達成するために「現在の社会経済構造を変え、低炭素社会に移行することが不可欠」とし、すべての国が革新的技術に加えてライフスタイル、生産、消費のパターンを改革する必要があるとも指摘した。
鴨下氏もずいぶんと立派なことを発言するものだ。
京都議定書で決めた2008年から2012年の間に、1990年時点の排出量から6%削減するという目標すら達成できておらず、逆に現時点では6%も温暖化ガスの排出量を増やしている日本がそんな大それたことを言って大丈夫だろうか?
42年後に半減するという目標よりも、当面現在の水準よりも12%削減することのほうが重要である。この12%削減の徹底的な実施の中で、50%削減の展望も見えてくるはずだからである。
2008年から2012年の間に、日本は現在からさらに12%も削減しなければならないのに、その擬態的な方法さえ環境省は明らかにしていない。
どうせ、あと1年すれば政権も崩壊し、環境大臣も変わるだろうから「どうにでもなれ」と思っているというのが本音であろう。
地球環境という、この大問題について、残念ながら日本は十分なイニシアチブを発揮できていない。それどころか、積極的な取り組みを続ける西欧諸国の取り組みから見れば、むしろ足を引っ張る存在に成り下がっているというべきであろう。
ところで、2050年までに50%削減の目標については合意が得られたが、2020年へ向けた中期目標に具体的な数値を盛り込むのは見送られた。
議長国がこの有り様だから、当面の目標が決まるはずがない。自公政権得意の「先送り」の結論となった。


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