時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

対北朝鮮外交をめぐる争い

2008年06月23日 | 政治問題
対北朝鮮外交をめぐり、強硬派で知られる安倍前首相と対話重視派で超党派の日朝国交正常化推進議員連盟会長を務める自民党の山崎拓氏の批判合戦がやまない。
山崎氏らの活動は二元外交に当たるとして、安倍氏は「百害あって利権あり」と批判。これに対し山崎氏は、「私は利権政治家ではない。誹謗中傷する政治家の人格を疑いたい」とやり返し、舌戦が熱を帯びている。
口火を切ったのは安倍氏で、内外ニュースの講演で「百害あって一利なし」と指摘。即座に山崎氏が「制裁一辺倒では前進がなかった。(安倍氏は)幼稚だ」と応戦。これを知った安倍氏が別の講演で「政府以外の人が甘いことを言って交渉するのは百害あって利権ありと言いたくなる」とたたみかけた。
ただ、「利権」とまで言われたことに、山崎派会合では所属議員からも「名誉棄損だ」との批判が噴出。山崎氏は「取り消しと謝罪を求める」として、申入書を安倍氏あてに送付したと報じられている。
国民世論から言えば、「北朝鮮など潰してしまえ」といった意見が多く、安倍氏に賛同する人が多いのではないかと思われるが、制裁、制裁では、北朝鮮側もますます態度を硬化させるだけだろう。
北朝鮮が言うように、もし、拉致問題で再調査を行い、日本側の納得がいく結果が出れば、経済制裁を解くことが望ましいのではないかと思う。
まず、日本として、独自の外交ルートを確立し、可能な限り話し合いによって問題を解決するという方向をめざさないと、それこそ泥沼になり、解決はますます遠のくことになるだろう。
安倍氏の主張は、一見威勢が良く、家族会のメンバーや世論の賛同を得るかもしれないが、結局は、家族会の意向に反して、拉致問題をますます彼方に追いやってしまうだろう。制裁を続ければ続けるほど、北朝鮮側の反発を招くことは火をみるよりも明らかである。この数年間、まったく事態の進展を見なかったことが何よりの証左であろう。
同時に、山崎氏の動きは、政府の正式ルートとは別のルートで交渉を行っており、交渉相手の北朝鮮側だけでなく、日本国内でもわかりにくいものになっているが、同時に、北朝鮮側でもそのように受け止められているのではなかろうか。
山崎氏の行動は、この問題に対する政府の基本方針が座っていないことの反映であるが、とにかく、時間がかかっても、正規の外交ルートを確立して、話し合いのレールに乗せることが最も早い解決の道であることは間違いない。


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