時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

深刻な日本の食糧自給

2007年07月15日 | 環境・食料問題
食の安全について、国民の不安をかき立てる事件が続いた。中国ばかりか、日本でも、もう何でもありの状態になっており、食の安全に不安が募るが、それ以上に、真剣に考えなければならないのが日本の食糧自給問題である。
世界的な人口の増加、地球温暖化とそれに伴う砂漠化、異常気象による不作、穀物のバイオエタノールへの転用など、人類に必要な食料そのものが確保できない事態が世界的に広がっている。
しかしながら、お金さえ出せばなんでも買えるという現実を見ていると、将来は食料が手に入らなくなるかもしれないということは頭の中では漠然とわかっていても、なかなか差し迫った問題としては捉えにくい。
日本は、世界第2位の経済大国であり、輸出によって稼いだ外貨を用いて、世界中から食料を調達してきた。しかし、前述のような状況の中で、必要な食料そのものが不足したり、高騰したりする可能性も生まれている。今は、気前良く日本に食料を輸出していても、もし自国の食料が不足する事態になれば、直ちに日本に食料が入らなくなるだろう。
日本政府は、食糧自給率の向上を目標に掲げているが、ここ数年を見てもまったく改善しておらず、カロリーベースで約40%である。
主食の米は自給できるが、他の穀物はほとんど輸入に頼っている。さらに豆類、野菜、果物、肉、魚などありとあらゆる食料を外国からの輸入に頼っているのが実情である。しかも、外国産の果物、野菜などから基準値を超える農薬や有害物質が検出されたとの報道も多い。少々価格が高くとも安全な食料を確保することは、国の責任である。
人口増加や地球環境問題もあるが、同時に深刻なのは、金融情勢の変化、たとえば円の暴落などで十分な食料を調達できなくなることも考慮しなければならないだろう。
自国で消費する食料は、自国で供給できる体制を整えることは国家百年の計である。
自給率を早急に引き上げられるように、農家に対する必要な補助や農作物に対する価格保証、農業をめざす人たちへの支援などは当然必要だ。その際、果物などの価格の高い商品に生産が集中することがないように、日常の食卓に乗るような普通の野菜や食品に適切な価格保証を行う仕組みが必要であろう。楽をして稼ぐという社会的な風潮の中で、経営の成り立たない農業に身を投じようという若者が少ないのは当然である。適切な価格保証は必須である。
しかし、今までのような農協を通じた補助金のばらまきや諫早湾などで行われているような無駄な干拓事業などを見直すことも当然である。
さらに、緊急の事態になっても落ち着いて対策を講じられるように、食料の備蓄などにも、もっと多くの予算をつぎ込むべきであろう。加えて、新たな食料の保存方法の開発などにも取り組むべきである。
個人的にもできることは多い。廃棄される食品を最小限度に押さえ、日本と世界の食糧問題に正しい知識と関心を持つことだ。また、1週間分程度の食料を確保しておくことは、災害時の対策としても有効である。
自国の食料の現状にぜひ多くの読者が関心を持っていただけることを願っている。


最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お邪魔します (ブロガー(志望))
2007-07-15 14:09:28
お邪魔します。

>自給率を早急に引き上げられるように、農家に対する必要な補助や農作物に対する価格保証、農業をめざす人たちへの支援などは当然必要だ。

 お言葉ですがそれをするにはそのための元手が必要
です。今は貿易で稼げていますが、今後は中国やイン
ドといった途上国との競争が激しくなりそれも難しく
なっていくでしょう。ですから自給率の引き上げのた
めには今までとは全く違うアプローチが必要なのでは
ないでしょうか。

例:海草を養殖してバイオエタノールを作ろうという
  構想があるらしいが、バイオエタノールよりもそ
  れで食料が作れないか?
返信する