時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

あきれた文部科学省のやらせ質問

2006年11月11日 | 政治問題
教育基本法の「改正」に執念を燃やす安部内閣は、早ければ来週中にも衆議院での採択を企てている。
ここに降って湧いたのが、教育改革タウンミーティングでのやらせ質問である。質問内容をあらかじめ文部科学省が作成を、これを内閣府を通じて、都道府県、市町村の教育委員会になどに送られ、タウンミーティングの際に、PTA会長など有力者に質問させたという。その後の調査では、やらせ質問は多くの自治体のミーティングで行われたことが判明している。
ミーティングの前に、あらかじめいくつかの質問が記載された用紙が手渡され、質問して欲しい項目には○印が付いていたという。そして、この文書には、ご丁寧に「依頼されて」、「お願いされて」などと言わないこと、「原稿をそのまま読むのではなく、自分の言葉で」、「棒読みはしないで下さい」などと書かれていたという。
いじめ自殺、履修不足問題などで教育現場が混乱している最中に発覚したスクープである。
教育行政の頂点に立ち、教員や生徒に対しては「規範意識」を持てなどと指導している文部科学省が、このような馴れ合いを指導してきた責任をどのように感じているのだろうか。「規範意識」がないのは、文部科学省ではないか。恥ずかしいと思わないのだろうか。
もう一つは、以前に書いた「狂気は静かに、そして確実にやって来る」の記事の中で述べたように、こういう政府による世論誘導の恐ろしさである。安部首相は、教育基本法と憲法「改正」の2つを目玉にしている内閣であるが、そのいずれも、「愛国心」を養い、日本を戦争ができる国にしようという政治の流れの中に、今回のやらせ事件が存在していることである。
ことは単純なやらせで済むことではない。町の有力者や教育関係者などが、今回の「改正」案について賛同する意見を述べれば、少なくない聴衆も、「なるほどそうなのか」、「それはいいことだ」と思ってしまう。立派な世論誘導、思想操作である。
先に述べたように、今の教育現場には、他に議論しなければならない問題が山積みしている。政府、文部科学省がこういう問題に正面から取り組むことこそが求められているのである。
同時に、読者諸兄もこういう政府の世論操作に惑わされずに、現在、国会でごり押しされようとしている教育基本法の「改正」の本質を見極めていただきたいと願うものである。

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