時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

驚くべき大企業の経常利益

2008年06月08日 | 経済問題
財務省が発表した2007年度の法人企業統計によると、資本金10億円以上の大企業の経常利益が過去最高を更新した。
2007年度の経常利益は、合計で33兆3725億円となっており、バブル期の1990年度と比べると、額にして約14兆6000億円も高く、率にして180%、1.8倍にもなっている。日本の1年の税収が約50兆円であることを考えると、資本金10億円以上のほんの一部の大企業だけでこれだけの経常利益を上げているということは、とんでもないボロ儲けというほかはない。
庶民の生活が原油高や食料品の値上げで四苦八苦している時に、企業は人件費を極限にまで押さえ込みながら、自らの利益だけはチャッカリと確保してきた構図が伺える。
一方、帝国データバンクが発表した5月の景況感をみると、3ヶ月連続して悪化しているようだ。
確かに原油高や原材料費の高騰などの諸要因があり、経済の先行きは決して明るくはないが、先の利潤を見る限り、企業経営が立ち行かないといった状況ではない。
要するに、大企業は、口先では「景気の先行きが不安である」などと言いながら、他方では、しっかりと儲けているということである。
日本経済全体を俯瞰すると、大企業が人件費を削減しているため、国民の所得が増えず、国内の消費が冷え込んでおり、その結果、企業が将来の国内での売上げに不安を感じているということになるだろう。
とすれば、大企業がこの巨大な儲けの一部を賃金や下請け単価の増額として吐き出し、内需を拡大することによって、日本経済の将来は明るいものとなるだろう。
しかし、残念なことに、個々の企業にこれを期待しても仕方がない。国が法人税としてこれらの利益を召し上げて、国民生活を支える必要があるだろう。
法人税率は、バブル期(1989年)の42%から徐々に減税され、現在は34.5%まで引き下げられている。これを元に戻せば、財政再建なども簡単にできるではないか。
残念なことに、現在の政権は、財界の意向に沿って、この法人税をさらに引き下げることを画策している。
こういう政策が実行できる政権をつくる以外に解決の方向はないのかもしれない。