まいにちはなたば

キレイな花、枯れた花、トゲだらけの花。
毎日いろんなことがあるけど、遠くから見れば、やっぱりきれいな花束だと思うよ?

『どうぶつえんのいっしゅうかん』

2007-11-06 11:46:41 | こども
昨晩、もうパジャマに着替えて、
あとは寝るだけというときに

突然、ユの朗読が始まりました


どうぶつえんには、人間のこどもたちが、さくの中にはいって、
そこにいるどうぶつと、あそべるようになっているばしょがあります。
そこには、ヒツジとかウサギとかアヒルやヤギというような、
おとなしくて、ひとなつっこいどうぶつたちが、たくさんいます。

ひと月ほどまえのことでした。五つくらいの、
頭に大きな赤いリボンをつけた女の子が、
そこで、ヒツジのせなかをなでていたのです。
それを見ていたヤギが、じぶんもせなかをなでてもらおうと思い、
女の子にちかづきました。
でも、女の子はそれに気づかず、あいかわらず、
ヒツジのせなかをなでていました。

「メエー」

ヤギは、じぶんがそばにきていることを知らせるために、
女の子のすぐうしろでなきました。
でも、ヒツジのせなかにむちゅうになっていた女の子は、
それでも気がつきませんでした。
女の子のまえにいってなけばよかったのですが、
ヤギはちょっと、はずかしかったのです。

「メエー」

ヤギは、もういちど、女の子のうしろでなきましたが、
やっぱり女の子は気がつきません。
そこで、ヤギは、女の子のせなかを、
鼻でちょっとおしてみることにしました。
せなかをおせば、じぶんがせなかをなでてほしいことを
わかってもらえるかもしれないと思ったのです。

ヤギは、かるくおしたつもりだったのですが、ちょうどそのとき、
女の子はせのびして、ヒツジのせなかのいちばん高いところをなでていたので、
おされたひょうしに、まえにつんのめり、ころんでしまったのです。

しかも、ただころぶだけではなく、足もとにいたアヒルにつまずき、
なにかにつかまろうと手をだしたところに、
ちょうどウサギがいたものですから、
女の子はウサギの耳をつかんでしまったのです。
けとばされそうになったアヒルは

「ギャ、ギャ、ギャーッ」

とわめき、ニンジンをかじっていたウサギは、
いきなり耳をつかまれたものですから、赤い目をもっと赤くしておこりました。
びっくりしたヒツジは、いきなりかけだすし、アヒルはギャーギャーわめくし、
女の子はなきだすし、さくの中は大さわぎになりました。


しいくがかりのおじさんが、いそいでかけつけ、どうぶつたちをおとなしくさせ、
女の子がけがをいないかどうかをしらべました。
さいわい、女の子もどうぶつたちも、だれもけがをしていなかったので、
さわぎはしずまりました。


このじけんを見ていた、一わのハトがなかまのハトにおしえました。

「さっき、すごかったんだぞ。さくの中で、
 ヤギのせなかをなでていた人間の女の子がヒツジにおされて、
 アヒルにつまずいて、ころんで、ウサギの耳をつかんだんだ」

じけんを見たハトは、こうふんしていたので、
ヒツジとヤギをまちがえて、おしえてしまいました。
そして、それをきいたハトはまたべつのところにいって、
なかまのハトにいったのです。

「さっき、すごかったんだって。
 さくの中で、ウサギのせなかをなでていたアヒルが、 
 人間の女の子におされて、ヤギにつまずいて、 
 ヒツジの耳をつかんだそうだよ」

さいごにそのはなしをきいたハトは、あおむけになって、
せおよぎのれんしゅうをしていたシロクマに、それをおしえにいきました。
そのハトは、シロクマとなかよしだったからです。

「ねえねえ。シロクマくん。のんきに水あびなんかしているばあいじゃないよ。
 たいへんなことがおきたんだ。
 さっき、あれ、なんだっけな。
 あ、そうそう。さっき、すごかったんだそうだよ。
 ええとね、なんだっけな。
 そう、耳だ。ウサギの耳のなかで、ヤギが、
 人間の女の子のせなかにのって、さくをとびこえて‥‥
 あれ、おかしいな。
 でも、とにかく、ヒツジがアヒルの耳をつかんだんだ」

しろくまは、なにがなんだか、わからなくなって、
あやうく水におぼれそうになってしまいました。
         (斉藤洋『どうぶつえんのいっしゅうかん』より)



二わ目のハトの話あたりから、もう、ユは吹き出しちゃって、
何を読んでるんだかよくわからないのに、
本を読んで話を知っているタは、
ひーひー言いながら、転げまわって笑ってるし‥

ほとんど絵のない「本」で、
そんなに楽しめるだなんて‥

アンタたち、
かなりちゃんと本が読めるようになったっていうことやね~
ユの音読も、完璧やったし

ハハはそれが嬉しかったのよ~