阿部ブログ

日々思うこと

むしろで長期保存する、超絶「利尻こんぶ」 

2011年11月07日 | 日記

ある重電メーカーの研究開発部門の偉い人が、更に偉くなったと言う事で、お祝いをしようと言う事に~
場所は、当時解体の始まっていた歌舞伎座近傍の品の良い和料理屋。
そのお祝いの会にはスペシャルお客様をお呼びしていた。
今はとある大学の教授だが、定年退職までは、その重電メーカーに所属し、プロジェクトXにも取り上げられる偉業を達成した方。勿論、NHKにもご出演。

その方の話は、とても面白く、ふと昔話から出たのは、シャトー・ムートン・ロートシルト1939年物のワインの話になった。やはり、幅広い研究開発を手がける先生だけあって海外との関係も深く、とある会議で南米のお金持ちと仲良くなり、自宅訪問の際にプレゼントされたのが、あのシャトー・ムートン・ロートシルト1939年の赤ワインだったと言う。
この年のロートシルトは希少で、かつ高価で知られるが、1939年はドイツ軍がポーランド侵攻し第二次世界大戦が始まった歴史的な年。パリも翌年には陥落し、ボルドー地方メドック地区のポイヤックにあるシャトー・ロートシルトもドイツ占領となった。

連合軍のノルマンディー上陸後、パリは解放され、1945年にはドイツ降伏となるが、この時以来、熟成され続けてきたのが、スペシャルなお客様がお持ちの赤ワインで、熟成期間は70年を超える。今は銀座のとあるワインセラーで保管されていると言う。

何故、こんな話を書くかと言うと、やはり時間を掛けた「熟成」は、極めて重要だと考えるからだ。
今まで「かめびし」の醤油、徳島の「かねさ味噌」などについて書いたが、両者に共通するのは「むしろ麹」と「熟成」だ。かめびしの醤油には20年物や30年物の超熟成を経た醤油させ存在するが、これと同じ期間「むしろ」で「熟成」された第三の食材がある。それは「昆布」。

京都の料亭が好んで使うという利尻産の昆布を築地で買って作法通りに出汁を取って見るが、以前料亭「瓢邸」で食した味にはほど遠い味にしかならない。これは自分の未熟だから、と思っていたが、違う事がNHK「ためしてガッテン」で分かった。
昆布自体の素材がそもそも違うのだ。この番組にだされた昆布は、福井・敦賀の昆布加工会社「奥井海生堂」の昆布。
ここの昆布は、湿度60%に維持された保管専用の部屋で「むしろ」をかけて熟成させる。この部屋はまるでワインカーブをイメージさせるが、昆布もワインと一緒で、収穫された年によって出来不出来があり、更に寝かせて熟成させるのもワインと同じ。放送では、「平成元年の利尻香深(カフカ)浜産」が最高としていた。香深とは礼文島にあるが、極めて希少な昆布で、我々には手に入らない貴重なものだ。

京都の料亭が使うのは利尻産昆布で2年から3年「むしろ」と一緒に熟成された物が使われるという。料理によっては5年、15年、20年と言う長期「むしろ」熟成昆布が使われるのだろう。

いや、これで究極の「醤油」と「味噌」、そして「昆布」を知る事が出来た。キーは「むしろ」で熟成だ。
あと残るは「塩」ですな。

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