阿部ブログ

日々思うこと

インドの衛星測位システム「IRNSS」 と 海洋監視能力向上、それと新明和US-2飛行艇

2013年06月04日 | 雑感
過去ブログ「着々と海軍力と沿岸防衛監視能力を強化するインド」でも書いたが、インドは沿岸監視能力と海軍力整備を続けており、日本もインドとの連携を強めるべき。
そんな中、5月29日にシン首相と安倍晋三首相の会談で、新明和工業US-2」飛行艇の輸出に向けて、合同作業部会を設置する事が決定した。インド海軍は、飛行艇の調達に関するRFI(Requset For Informattion)を出している。このRFIは、新明和工業以外に、ロシア・ベリエフ(Beriev)、カナダ・ボンバルディア(Bombardier)にも提示されている。これは世界で飛行艇を製造し運用しているのは、日本、ロシア、カナダの3カ国だから。

日本は、前述の新明和工業「US-2」、ロシアはベリエフ「Be-200」、カナダはボンバルディア「CL-215/415」。この3機種の中でも「US-2」の性能は群を抜いている。殊に航続距離、着水可能波高で高い性能を有し、更に戦前からの飛行艇開発を続けて現在まで至っていることから、海上自衛隊による救難活動は950件以上、救助した人員は930名以上にも達する。アントニー国防相は「武器を輸入に頼っていては(技術の蓄積が行われず、)大国になれない」と発言している通り、飛行艇は、インドとの共同生産となるだろうが、インド海軍は必ずや新明和の「US-2」を調達するだろう。
何故なら、2012年6月に海上自衛隊とインド海軍東部方面艦隊が共同訓練を行った際、日本側は、3年前から導入の打診を受けていた飛行艇US-2を投入。艦隊司令官のアジット・クマール海軍少将以下、幹部将校は、US-2の性能の高さを直接確認しているからだ。

因みにロシア海軍も、ベリエフのBe-200飛行艇を調達する。飛行艇 Be-200ChS×2機、消防飛行艇 Be-200PS×2機。総額84億ルーブル。蛇足ながら2010年12月、当時イスラエルで猛威を振るう山火事の消化活動に消防飛行艇Be-200PSが派遣されている。確かに飛行艇を消火活動に使うのありだ。

本題に戻る。
インド海軍は、インド洋を広域にカバーできる統合海洋監視システムの導入を検討している。土俵に上がっているのは、衛星を全面的に活用したWindward社の「MarInt–Next Generation Maritime Analytics」。Windward社は、イスラエルのElbit Systems Ltd. が持つ無人偵察(観測)機「Hermes 900」と組み合わせてインドの排他的経済水域全域の海洋監視と認識分析ソリューションを提案している。

このインドの統合海洋監視システム導入の背景には、インド独自の衛星測位システムIRNSS(Indian Regional Navigational Satellite System)がある。我が国も「日本版GPS」である準天頂衛星システムの完成に向けてようやく重い腰が上がったが、インドのIRNSSは、来年2014年に完成し本格運用を始める。
IRNSSは、7機の静止軌道にある航法衛星から構成されるが、Indian Space Research Organization(ISRO)は、5月28日「ISRO Navigation Centrer」をバンガロール(Bangalore)から約40kmの Byalalu にあるIDSN (Indian Deep Space Network) 内に開所した。いよいよインドの衛星測位システムの本格稼働に向けて着実に準備が進んでいる。

海軍の艦艇も、対中国を意識した動きを見せており歓迎。5月下旬、インド海軍東部方面艦隊が東南アジア海域に向けて出航した。インドの艦隊は、フリゲート艦「Satpura」を旗艦として、ミサイル駆逐艦「Ranvijay」、コルベット艦「Kirch」、補給艦「Shakti」で編成され、マレーシア、ベトナム、フィリピンを回航して、6下旬に帰国する予定。

今後もインド軍陸海空軍戦力の更なる充実を願うものだ。

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