阿部ブログ

日々思うこと

イスタンブールの総合開発プロジェクト

2013年06月12日 | 雑感
ゲズィ公園を含むタクスィム広場に集っていた人達は、警官隊に排除されたが、トルコのイスタンブール開発が阻害される事はない。

アジアとヨーロッパを結ぶイスタンブールの第三ボスフォラス大橋は「ヤヴズ・スルタン・セリム(Yavuz Sultan Selim)」と命名された。Yavuzとは「冷酷」と言う意味。これについては後述する。
第一大橋は「ムスタファ・ケマル・アタテュルク」、第二大橋は「ファーティフ・スルタン・メフメト」と市民も納得の名前だが、この第三橋の名称には異論が相次いでいる。

トルコ野党の共和人民党(CHP)のケマル・クルチダルオール党首と平和民主党(BDP)のセラハッティン・デミルタシュ党首が、ヤヴズ・スルタン・セリムの名称に反対を示している。スルタン・セリムは、冷酷王と呼ばれ、オスマン朝唯一とされる「アレヴィー(Alevi)」と呼ばれるイマーム・アリーを崇拝する人々をの宗教弾圧を断行し、後顧の憂いを断つとの判断で、イスラム東方遠征を行い、最終的にマムルーク朝エジプトを征服。オスマントルコは一躍イスラムの盟主の地位を得た。

アレヴィーの人達は、トルコ国内にいるシーア派といえる。イスラーム教スンニー派が多数を占めるトルコにおいては、宗教マイノリティーであるが、人口は最大2000万人とも推測される。この「アレヴィーの虐殺」を実行したスルタンの名前を第三ボスフォラス大橋につけてしまった。決して人口が少なくないと思われるアレヴィー人々はどう思うのか、と言うことだろう。

しかしオスマン帝国最大版図の栄光を築いたのは、確かにスルタン・セリムと言う事実は変わらないし、第三ボスフォラス大橋「ヤヴズ・スルタン・セリム」の名前に相応しい巨大プロジェクトだ。第三大橋は自動車道8車線、高速鉄道も上下2線路が走る規模で、橋の幅は59メートルで世界最大級。因みに第一大橋と第二大橋の幅は40メートル。橋の長さも1875メートルに達するし、建設費用は25億ドルから30億ドル以上と推測されており、これまた巨額。
これだけでなく、「ヤヴズ・スルタン・セリム」大橋の建設に併せてヨーロッパ側のエユプ・オダイェリと、アジア側のサンジャクテペ・パシャキョイを結ぶ高速道路60キロの建設も開始されており、19カ所のジャンクション、9つの橋梁なども整備される。

イスタンブール=アンカラ高速鉄道とボスポラス第三橋

トルコは、マルマライと呼ばれる首都アンカラと結ぶボスポラス海峡横断鉄道は予定通り10月29日に開業に向けて準備に余念がないし、イスタンブルー市内の7か所の丘陵地帯の大規模な再開発プロジェクトも計画されており、第三イスタンブルー空港を含むイスタンブール地域へのインフラ投資は、800億ドルを超える規模に達するだろうと言われる。またまだ日本企業にもビジネスチャンスがある。

イスタンブール西部開発と第三空港プロジェクト
イスタンブール西部開発プロジェクト

オーストラリア戦略政策研究所が中国のサイバー戦に関する報告書を発表

2013年06月12日 | 雑感
オーストラリア戦略政策研究所(Australian Strategic Policy Institution:ASPI)が、中国のサイバー戦に関する報告書を発表している。
Enter the Cyber Dragon ~Understanding Chinese intelligence agencies’cyber capabilities~

このレポートの著者は、トビアス・フェイキン氏で、要領良く中国のサイバー戦に関する活動状況をまとめている。フェイキン氏によれば、サイバー戦の実態に関して、多くのメディア報道は、問題を単純化し過ぎるとしており、オーストラリア政府は、国際的な関係を尊重しつつも、長期的な国益を毀損する事を防ぐために、重要な政策要素としてサイバー戦に対処する必要があるとも指摘している。