阿部ブログ

日々思うこと

ロシア軍の軍改革と軍人の待遇改善

2012年07月18日 | 日記

プーチン氏は、大統領に就任後、相次いで大統領令を出している。
その中でも重要なのが、ロシア軍の再興を期す『大統領令第603号「ロシア連邦軍及び他の軍事組織の建設及び発展並びに軍需産業の近代化に関する計画の実現」』である。

プーチン大統領は、満を持してロシア軍の装備品の更新に着手する。目標は、2015年までに陸海空軍の30%を最新鋭型に更新し、更に2020年までに70%の装備を更新する。
特に、サイバー戦能力を高め、指揮・通信・諜報・偵察能力を向上させ、米軍が多用する無人航空機と遠隔操作によるロボット兵器の開発を進め、勿論、核抑止力の新鋭化などを行う。
また地球温暖化で重要性を増している北極海や極東方面の海軍力増強が注目される。

北極海におけるロシアの動向は、過去ブログでも書いている。

ロシアの北極域での防衛力強化 ~ロシア北極軍~

北極海におけるロシア海軍の動向と原子力発電プラント船&原子力機関車

軍装備品の更新作業を続けつつ、新たに国家的脅威を予測する戦略企画部門を新設するとある。
この組織がどのような形で組成され運用されるのか個人的には非常に高い関心を持っている。

また兵器などの装備品調達については、欧米流に競争原理を働かせ、品質を維持しつつコスト削減にも着手する。また兵器の新規開発についてライフサイクル全般を網羅するプロセスを明確化し、効率的に基礎研究から、開発製造、運用・廃棄までを管理する具体的手法を2016~2025年の期間に確立する事となっている。

それと軍人の待遇改善についてもプーチンは、『大統領令第604号「ロシア連邦における軍務の更なる改善について」』を発令している。

ソビエト連邦崩壊後、軍人住宅の劣化と不足、及び軍人給与の低さが大きな課題となってい久しいが、最近になって軍人官舎の建設が大規模に進んでいる。官舎建設の目標は、2013年中には全ての軍人への官舎が提供する事となっており、政府は目標達成に邁進している。また継続的にメンテナンスをし、老朽化して官舎を廃棄し新規建設する基金を2014年以降に制度を確立すると言う。

また給料も2012年1月以降、一挙に2.5~3倍に引き上げられ生活に支障の無い程度に昇給が実現している。また退役軍人の年金支給も継続して行いつつ、インフレで過酷な生活を強いられた経験から、ロシア国内における物価上昇率より2%高い割合で増額することが規定されている。
中国人民解放軍も同じだが、退役軍人の年金や医療に配慮しないと社会不安の要因となるので、この手当は必須のものだ。

最後になったが、徴兵拒否超や逃亡が絶えない為、米軍と同様に志願制による兵力整備を検討するとしており、段階的に毎年5万人ずつ増加させたいとの意向だ。

いよいよ、ロシア軍が再興する事となりそうだ。