台風が不穏な雲と雨を寄せてくる祝日。
久しぶりに何もする気がしないので、小出裕章『隠される原子力・核の真実』(創史社 2010.12)と広瀬隆『福島原発メルトダウン』(朝日選書 2011.7)を読む。小出氏は原発反対を生涯すすめてきた原子力の研究者。広瀬氏は反原発のライター。広瀬氏の著書はかなり反原発に偏ってやや冗漫な印象だが、日本にある原発の地震による危険性についての情報が有益。小出氏の著書は後半で二酸化炭素だけが温暖化の原因ではないことを明確に述べている。
オオカミ少年というのは、イソップ童話にあるもので、wikiでは次のようにあらすじをまとめている。
羊飼いの少年が、退屈しのぎに「狼が出た!」と嘘をついて騒ぎを起こす。大人たちは騙されて武器を持って来るが、徒労に終わる。少年が繰り返し嘘をついたので、本当に狼が現れた時は大人たちは信用せず、誰も救援に行かなかった。そのため、村の羊は全て狼に食べられてしまう。オリジナルでは嘘をつきつづけた少年自身が襲われて狼に食べられてしまう懲罰的な結末だが、近年は残酷さゆえ羊が食べられてしまう話になっているものが多い。また、実際にオオカミが人里で人を襲う事はほとんどない。
二人ともこれまで何度も原発は危ないと言い続けてきたわけで、どこかオオカミ少年に類似したものを感じてしまった。ただし、童話ではオオカミ少年が悪いことになっているが、もしかしたらまったく悪くなかったのではないか、オオカミ少年は退屈しのぎにウソをついたのではなくて、彼にはオオカミが見えていたのではないかと思ってしまう。
ちなみに、wikiの続きでは、教訓を以下のようにまとめている。
人は嘘をつき続けると、たまに真実を言っても信じて貰えなくなる。常日頃から正直に生活する事で、必要な時に他人から信頼と助けを得ることが出来る。嘘をつく意図はなくても、結果的に誤ったものとなる場合も同様に扱われることがある。
だとすれば、教訓の対象は小出氏や広瀬氏ではない。それがだれなのか、どのような村の住人なのかは、もはや言うまでもない。
それでも、どちらが嘘つきなのかは、多くの場合、ことが起きてからじゃないとわからない。ぼくら、普通の人々はそうやって一日一日を生きている。