フクロウは夕暮れに

接触場面研究の個人備忘録です

梅雨の晴れ間にドライブ

2011-06-05 11:38:11 | Weblog

 

天気が良かったので朝から久しぶりにドライブに出かける。

最初は、常磐道でいわき市まで行こうと思ったのだけど、千葉からゆっくり北上することにした。

いつもは成田空港へいく東関東自動車道をまっすぐすすんで利根川を越える。利根川を越えた当たりから青いビニールシートを屋根にかけた家が増えだした。北浦の水郷にかけられた橋を渡って田園の中をしばらく走ると、エンジのユニフォームをきた人たちが歩いているのを見かけるようになる。鹿島アントラーズのホームスタジアムだ。国道はスタジアムの横を通り過ぎる。

鹿島灘の海が右に見え始めた。大洗に近づいたとき、大きな建屋のようなものが見えたなと思ったら、二重の鉄条網が延々と左に続いた。これは原子力研究開発機構の大洗研究開発センターで、高速実験炉があるみたい。さすがに厳重だ。

そこから橋をわたって那珂川河口の民家が密集する那珂湊。那珂川は氾濫で有名。岸壁が崩れたままの状態だが、土曜日で釣りを楽しむ家族連れもいる。船が岡の上に見えたのでびっくりしたが、それは水産高校の記念の固定した船だった。

さらに北上して、阿字ヶ浦の海水浴場あたりまでくると何となく雰囲気が違う。砂浜から北のほうを見ると埠頭の巨大クレーンが霞んで見えているし、走っていくと災害工事なのか迂回路になる。そこから国道245号に入ると広々として横のグリーンベルトもきれいに刈り込まれた道ができていて、そのうちに日立や東海村とかがあらわれるのだ。大きな税収のあるところは合併される恐れがない。大洗町しかり、東海村さらにしかり。アトムワールドの横の原子力研究開発機構の門のところには「警備強化中」の立て札あり。そうだろうなあ。東海村のHPで村長さんが、ここの日本原電第2発電所の非常用発電機用海水ポンプ3台のうち、1台は津波で動かなくなったとある。「この件まずはご安心下さいますよう。」と締めくくっている。

このあたりはきれいな砂丘が続いているらしいが、原子力研究と日立製作所がおさえているので、どうなっているか見ることは出来ない。なにより国の権力が鉄条網や「警備強化中」にあらわになっていて、走っているだけで緊張してしまう。国会では菅首相の言った言わないでもめているが、もし彼がこの大きな原発の権力に負けまいとしているなら、たいへんな力を必要とする。それが実感できる。「ずっとウソだった」原発村が「ペテン師」呼ばわりしても説得力はないが、彼は本当にペテンにかけようとしているのかもしれない。

東海村をはなれると日立市に入る。すっかり忘れてしまったが、常磐と言えば明治の時代から炭鉱や鉱山で近代化を支えてきたところなのだ。日立製作所の由来はこの近くの鉱山採掘の機械を修理する工場を立ち上げたことにあるらしい。海岸から山側に10キロほど上ったところには日鉱記念館がある。映画「フラガール」もそんな近代化の役目を終えた炭鉱の起死回生の物語なわけだ。そして今を支えているのが日立市から100キロ北の福島浜通りなのだろう。

もう12時をすぎておなかもすいてきた。しかし、なかなかレストランも決められず、高萩から北茨城市に入って、高台の磯原でラーメンをいただく。食べ終わったのが3時。このあたりの海岸を走る国道6号線沿いは崩壊した古い家屋が散見し始める。

北茨城市の大津港にたどり着き、ここを今日の到着地とすることにする。ここの岸壁は那珂湊が比べものにならないほど崩壊している。港に面した漁業組合も窓が割れた状態で、そのあたりの家も建物は建っているが中は津波が通って使い物にならない。津波にのみ込まれた日常生活品が集められて横に山積みになっている。ようやく家の修復が始まったところらしく、作業の人に聞くと1階は全部水につかったとのこと。

岸壁からまっすぐ岡にのぼる石段があってその上に鳥居が立っている。佐波波地祇神社(さわわちぎ・じんじゃ)の鳥居で、創立はどうやら600年代らしい。荒波に立ち往生していた日本武尊がこの神社の神様に助けられたといういわれがあるらしい。というわけで船を守る神社としてはうってつけだ。写真はその石段の横に生えていたミントのような葉。緑がとても新鮮だ。

岸壁にもどると写真のような白い山が見えた。製氷会社が復活している。もちろん船の魚を冷やすためのものだ。漁が成り立つのかとても心配だが、とにかく動き出している。漁師も網の補修にかかっていた。ゆっくりとだが、人の傷は樹木のスピードでしかなおらない。急いていいことはないのかもしれない。

これが北茨城までの海岸線のドライブの報告だ。

 

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