フクロウは夕暮れに

接触場面研究の個人備忘録です

言語政策学会研究大会に出席

2008-06-15 23:34:52 | research
昨日は早稲田で行われた言語政策学会の関東地区研究大会に初めて出かけました。
出かける前に震度3の地震に驚きましたが、東北が震度6強と分かってこれは被害が心配と思いながら家を後にしたのです。

研究大会では懐かしい顔が何人もいて、しばし歓談できたのがよかったです。

講演、シンポジウム、それぞれ興味深い内容でしたが、とくに国際移住機構(IOM)駐日代表を務めている中山氏の話はとても明快で勉強になりました。

スイスに本拠を置くIOMに長く勤めている方だけあってEUの政策や情勢にとても明るいのです。最近のEU内では社会統合が試みられており、移民と国民の双方向の統合化が考えられてきているが、それは日本の「多文化共生」のスローガンと似ているかも知れないという指摘は面白かったです。なぜならそれは多文化共生の良い面も照らし出しているかもしれませんが、弱い面もまた明らかにしていると考えられるからです。統合政策にはおそらく「市民」の普遍的なリアリティを再構築しようとする姿勢があるのだと思います。しかし、日本にモダンな市民概念がない以上、多文化共生と統合政策とは似て非なるものとも言えるのではないかと危惧します。

中山氏はさらに双方向性の象徴的な政策として、出身国別に移民の代表者を集めた政策会議を設置して、移民政策に対する提言や議論をする場を法的につくったドイツの例を出していました。

アイヌの人々と日本政府との円卓会議も、まんざら絵空事ではないのだと思った次第です。
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