大谷翔平が負うリスクについて

2024-03-23 11:12:19 | 司法試験関連
「MLBルール21」による処罰の可能性としては、①永久追放処分、②1年間の出場停止処分、③罰金処分が考えられる。気になる人も多いと思うのでまとめておく。
 
①になるのは「自分がかかわる義務のある試合」に関して「野球賭博」に関与した場合に限られる。今回で言えば、水原氏が「エンゼルスの試合」に賭けて、かつ、「大谷がその事実を認識して肩代わりをした」場合に初めて適用可能性が出て来る。水原氏が、そもそも「野球賭博」をせず、「ただの違法賭博」止まりであれば、①の可能性は「ゼロ%」だ。
 
②になるのは、2つある。1つは、「自分がかかわる義務のない試合」に関して、「野球賭博」に関与した場合だ。水原氏が「エンゼルス以外の試合に」関して「野球賭博」をして、かつ、大谷が「野球賭博に関する認識をもちつつ肩代わりした場合」に適用可能性が出て来る。
 
2つ目は、「野球賭博」以外の「違法賭博」に関与した場合」で、「違法なブックメイカーを営んだ」ないし、「違法なブックメーカーの為に協力した(働いた)」と言える場合である。今回、大谷に適用可能性があると言われているのがこれ。水原氏の借金の肩代わりをしたことが、違法なブックメイカーの「債権回収を助けた」ことになり(金額がデカいから)、「その営業のために協力した」と評価される可能性があるからである。連邦法には、「違法賭博業者の債権回収を手伝えば、賭博業を営んでいることになる」という規定があるからだ。今回の「肩代わり」が「債権回収の手助け」と評価できるかは争いがあるところ。ただ、最終判断はコミッショナーの裁量判断になるので相場が読めない。なお、この場合は「最低でも1年」の出場停止処分になる。
 
③になるのは、それ以外の「違法賭博」に単純に関与した場合だ。選手自身が「違法賭博」をしても、MLBの処分前例によれば、罰金処分で済むとみられる。大谷が「関与した」場合、罰金処分を受ける可能性はある。
 
①~③はどちらにせよ、大谷が「関与」していることが適用の大前提だ。「関与」していなければ、大谷は「窃盗or横領」のただの被害者に過ぎない。弁護士が水原氏を告訴したのは、そもそも「ルール21」の適用を排除するためだろう。
 
仮に「大谷が肩代わりした場合」、「贈与」と見なされる可能性が高い。この場合、贈与税を支払うのはアメリカでは「贈与側」なので、大谷に納税義務が生じる。これが脱税になる危険性もある。アメリカの国税庁(米内国歳入庁)は賭博捜査と同時に常に動いている。
 
以上まとめると、大谷が「関与した場合」のリスクは、①ルール21による「1年間の出場停止or罰金処分」、②脱税、③賭博に関する連邦法違反と結構ゴツイことになる。
 
なお、日本では「大規模な窃盗事例」と報道されている。これは弁護士が、「massive theft」と言う声明を出したからだが、どうもカリフォルニア州で刑事告訴する際に、「theft」は「窃盗・横領」の意味で用いられる慣行があるようで、だとすれば横領で告訴した、と言う文脈もありうるところ。
 
MLBがこの件に関して調査を開始した。
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