◎山中襄太の『国語語源辞典』を読む
先月末、高円寺の古書展で、山中襄太の『国語語源辞典』(校倉書房、1976)を入手した。本文638ページ、函入り、定価8000円、古書価は200円だった。
ときどき、拾い読みしているが、実におもしろい。以前から私は、この山中襄太という学者とその語源学は、もっと注目されてよいと感じてきたが、今回、この辞典に接して、その感を強くした。
本日は、この辞典の紹介を兼ねて、項目のひとつを引用させていただきたい。
くる-ぶし【踝】 大言海――枢節(クルルブシ)の約。[考]―→くるくる(回転)。なおクルブシとは「クルクルするフシ」の意と解するよりも,「足のフシ」と解するほうがいいか。それはクルに近い音で「足,脚」を意味する語が,次のように多く見られるからである――アイヌ語 kiri;モーコ語 kul,köl,hul,xül;スメル語 gir;サンスクリット khura;ムンダ語 kuüri;タミル語 kal;メラネシア語 galin;インドネシア語 kaleianなど。くびす(踵)のクもあるいはこれらと関係あるか。〈206ページ〉