
自分が50代になってから少しずつ走るようになった。
走るようになったら、改めて多くの人が走っていることに気付いた。
ところで、そういう人たちは、なぜ走ろうと思ったのだろうか?
近ごろ、そういう思いを抱く。
それで、そういうRUN仲間(勝手に仲間にしている)の動機を知りたくて、書店に行ったり大型古書店に行ったりしたときには、関係した本をよく探している。
そのような類の本は、大型古書店(「ブック○フ」など)に案外多く見つけることができる。
標記の本は、まだ新しい(2019年7月1日初版発行)ので、「○屋書店」で見つけた。
定価だと1300円+税と、古書に比べ少し高額で買わなくてはいけないのだが、立ち読みして、もっと読みたくなったので買ってしまった。
走る奴なんて馬鹿だと思っていた。
本気でそう思っていた。
…という表現で、本書は始まる。
走ることが嫌いで走らないと決めている側にいる人からみると、この書名のとおりの思いとなることだろう。
そんな40代の筆者が、体調不良が年々悪化することによって、医者に行くと、内科でも外科でも精神科でも、必ず同じことを言われた。
「太陽を浴びて運動してください。」
そこで、45歳にして、走ってみようと固く決意して走り出してからの記録やら変化やらのいろいろが書かれたのが、この本だ。
最初は100mも走れなかったところからの始まり。
本気で始めようと思った日には、2.8㎞を23分30秒かかり、平均8分19秒/㎞のペースであった。
そこからが楽しい。
だんだんのめり込んでいく。
走った後、居酒屋でランアプリを見てニヤニヤしたり、身に着けるものにこだわったりしていく。
そして、走る場所をいろいろかえることによって、しだいに走る距離が増えていく。
それを楽しんでいることが面白い。
「走る奴なんて馬鹿だ」と思っていた筆者が、マラソン大会に申し込んだり、大会ではなくても42kmを走り通したりするようになるのは、2年に満たないときだった。
しかし、順調に距離を延ばしたのではなく、よく故障している。
自律神経失調症を再発させて、指先のしびれ、背中・腰の張り、めまい、むかつき、悪寒、発汗などにさいなまれたりもする。
走る距離や速さを伸ばす喜びや、体のあちこちに出てくる症状や不安などが、私自身も経験をしたことがあるものが多かった。
そうそう、そうだったなあとか、そうなんだよとか、いちいち納得しながら読んだ。
しかも、書いてあることが、イチローの受け売りだったり、懐かしい曲名だったり、剃り毛講座など脱線も多いが、体験をユーモアたっぷりに描いている。
さすが、物書きで生きている人だけあって、文章が実に楽しかった。
50歳現在、筆者は全くの我流で走っていて、マラソン大会の自己ベストを4時間3分にまで伸ばしている。
きっかけはどうあれ、走ることが楽しくなっているのがいい。
やっぱり、「自分に合わせて、楽しく」がいいな、と再確認。
楽しく走ろう。
そう思いながら、昨日も今日も、走るのを避けていた私であった…(反省)。