癒し系獣医師の動物病院開業日誌

アニマルセラピー団体で活動している癒し系獣医師。農業団体職員から脱サラし、動物病院を開業しています!

口腔衛生

2010年02月28日 | 動物医療
もう、オリンピックも終わりですね。
寂しいですね。
日本も頑張ったのですが、今回は金はありませんでした。
女子団体パシュートも惜しかった。何センチかの差でしたね。

昨日犬の歯周病のことを書きましたが、ホームケアが大事です。
よく偶に生野菜のでかいのを与えると歯磨きにいいだとか、蹄がいいとかいいますが、やはり歯磨きにはかなわないのです。
僕は毎日犬の歯磨きをしてあげます。犬が小さいときから行なっているのでだまってさせてくれますね。それと意識的にではなかったのですが、無糖の生のヨーグルトも与えます。
乳酸桿菌は口腔衛生にとてもいいのです。
それと、ビタミンCも歯周病にいいっていうのですが、犬は肝臓でアスコルビン酸を作りますからどうですかね。

ところで、認知症の方にとって口腔衛生はとても重要だということをよく聞きます。

認知症の方の食べることは健康、そして元気と笑顔を取り戻すことにあります。
口から食事をすることは、食べる楽しみや喜びを感じてもらうひとつの手段です。
しっかりとした噛み合せが回復することで、体の働きが良くなってきたり、様々な病気の改善や予防に繋がります。

・お口のお掃除(口中を清潔に保つ)
・口腔機能の維持、改善(噛む力や飲込む力を治します)
・認知機能の維持と回復(認知症の予防)
・虫歯・歯周病の予防など
・お口の中の病気予防(歯性病巣感染予防)
・リハビリやマッサージになどよる嚥下(えんげ)障害の改善と予防
・お口の健康回復による日常生活の向上
・誤嚥性(ごえんせい)肺炎の予防など。

正しく噛むことで運動能力の保持や認知症の進行を遅くするなど「いい歯で噛む」ことは想像以上に大切なことなのです。

ちなみに、僕も口腔衛生のために定期的に歯医者に行きます。
特に歯磨き指導を守ることで、歯周病の恐れを減らしたいと思っています。

「一般人も歯が命!」


歯周病は恐ろしい

2010年02月27日 | 動物医療
最近は、動物の口腔疾患の重要性を感じている。
それはケアのない3歳以上の犬や猫の80%以上が歯周病にかかっているからです。
歯周病は歯肉と歯周靭帯、歯槽骨からなる歯周組織、つまり歯を支える構造の病気ともいえます。

歯周病の最大の原因は歯垢です。
歯垢はバクテリアと集まりと考えていいでしょう。
歯垢は正しい歯ブラシしていれば取れますが、一度つくと簡単にはとれません。
よく歯垢、歯石はピンのようなもので弾き飛ばせばいいと言う方もいますが、それは表面をとっただけであり、歯周病の成り立ちを理解するとそう簡単ではないことが分かります。

歯垢は放置されると、歯石になります。
歯石は上顎裂肉歯、つまり上あごの犬歯にできやすいのです。それはここの近くに耳下腺の開口部があり、唾液の無機質の多くが集まるからです。

歯石が溜まりやすい要因としては
・残存乳歯の存在:永久歯との間に歯石が溜まりやすい
・歯磨きをしない
・不正交合
・全身性疾患
・口腔内の唾液の減少
・その他
口腔内にはもともとかなりの数のバクテリアが存在していて、口腔内の防御機能が減少した時に一気にそのバランスが崩壊して歯石が爆発的につきます。ですから、口の衛生は健康のバロメーターなのです。

歯垢の初期は好気性のグラム陽性球菌や桿菌ですが、これらが刺激になって歯肉辺縁の炎症を起します。
これが酷くなり浮腫を起すと、歯肉溝を開き歯肉縁下に歯垢が侵入してポケットを形成し始めます。歯肉縁からは免疫グロブリンを含む浸出液を出して炎症が進行して出血するようになります。
しかしこのくらいまでなら2ヶ月以内の歯のホームケア開始でなんとか治癒させることが可能です。
これからさらに進行するとホームケアでは難しくなるのです。ここから治療を怠りますと、歯肉は退縮して歯肉縁上と歯肉縁下の歯垢が下にもぐるとバクテリア叢は嫌気性グラム陰性桿菌や糸状菌になり、これらの持つ菌毒素により歯槽骨まで破壊され歯根が露出することにもなります。

歯周組織の50%以上が破壊されると歯はと容易に抜けるようになります。
こうなると抜歯して歯根部から炎症がさらに波及しないよう治療する必要があります。
サイアク全身に菌がいくこともあるのです。

病院では歯垢、歯石の除去と歯周ポケット内の歯垢の除去とポピドンヨード剤による消毒。歯周病が酷い場合は嫌気性菌に効く抗生剤であるアンチローブを用います。この薬は最近動物用としてでました。

口腔衛生、とりわけ歯周病について書きましたが、結構恐ろしい病気なのです。




日高の馬産

2010年02月26日 | 動物一般
今日は日帰りで日高方面に出張でした。
凄い霧で釧路を思い出しました。でも、釧路の霧の方が凄かったなぁ。
日本全国そうだったと思いますが、お昼過ぎからの1時間は女子フィギュアに皆さん釘付けだったのでは。私は車のラジオで観戦ならぬ観聴?でしたが・・・・・
しかたないというか、浅田さんの銀は挑戦しての銀!すばらしい。
キム・ヨナさんは心・技・体ともすばらしかった。(相撲じゃないですがね)
スタイルの違いが、今回の大会においてキム・ヨナさんにずっと有利に働いたとしかいいようがありませんね。
ソチも楽しみです。

日高の馬産も景気の動向に影響を受けて大変そうですが何とか大変な時代を切り抜けてほしいものです。
2月も末になってくると、そろそろ馬のお産の時期到来です。
一時期は7月のセールに向けて早い時期の分娩も増えた時期もあったようですが、最近はそうでもないようです。
ただでさえ、この時期に子馬が生まれると寒さ対策で管理が大変ですし、慌てないでもう少しいい時期にお産させようという考えが戻ってきたのでしょうか?
今でも放牧している所もありますが、馬が寒そうです。馬服をばっちり着こんでいますがね。馬に着せる防寒用の服を「馬服」といいます。結構かわいいですよ。
今日みたいな霧の日は余計に寒く見えます。午後3時ころまで離しておくんでしょうか。
日高も中小の馬生産農家は大変だと思います。
大手の牧場は勢いがあり、もっぱらそれらの管理馬を扱う人も増えてきたようです。

日高は今日のような濃霧発生地帯であり火山灰地が厚く被覆しています。そのため、農業としては普通作物よりむしろ畜産に適切であり、古くから馬産地として位置づけられてきました。

「文化年間(1804~1818)の駅逓(駅馬)の配置に始まります。1858(安政5)には、幕府が元浦河に馬牧を設置しました。馬牧は明治になってから廃止されましたが、収容馬約500頭は三石・浦河・様似などの民間人に貸与されました。その後、1872(明治5年)には、小型馬を大型化して広い用役に適応する改良を認めた当時の開拓使・黒田清隆によって「新冠牧場」が開設されました。新冠・静内にまたがる約6700町歩のその土地にはミヤコザサなどの野草が繁茂しており、放牧にも好都合だったのです。新冠牧場が整うまでに約16年を要しましたが、この間に大きな役割を果たしたのが、開拓使雇いのアメリカ人エドウィン・ダンです。」
以上抜粋ですが、戦後は日高の馬産は全国的にみてもそう大きくはなかったようですが、千葉や東北の馬産が徐々に減り、一方で日高の占める割合が大きくなってきました。今では9割は日高ではないでしょうか?それなりの、技術、人材、施設となにより馬を生産する風土が定着しています。生産地に行くとそのことを肌で感じます。

日高の馬産には頑張ってもらいたいのです。

捻じれる病気

2010年02月25日 | Weblog
今日は暖かい日でした。雪解けが急激にきましたね。
国立大学の二次試験、その後の高校受験と春が近くなってきました。

捻じれる病気が沢山あるのをご存知でしょうか?
一番知られているのは「腸捻転」ですね。
それだけでなく、生体に存在するあらゆるぶら下がった臓器や器官は全て捻じれる可能性があります。

例えば、「胃捻転」。犬では胸の深い大型犬で年齢と共に発症のリスクが高くなります。
これは年齢と共に胃を支えている靭帯が緩んで捻じれやすくなるからといわれていますが、本当のところはどうか分かりません。一度にご飯や水をたっぷり食べてその後運動するとなりやすいとも言われています。僕自身は胃や下部消化管のガスも影響するのではないかと考えています。
人間では赤ちゃんがなるのですが、原因は逆に胃を支える組織が幼弱で捻じれやすいからだといわれています。ウーン「どっちやねん!」。
犬の場合はエマージェンシーの病気で数時間内に昏睡するかもしれません。
人間の赤ちゃんの場合はそんなに怖い病気ではないようです。ガスを抜き、ぐずれば抱っこしてあげるといいようです。そういう意味では捻転というより胃の軸ずれですかね。ほら、ミルク飲んだ後背中をとんとんしてげっぷを出せていますよね。

動物、とりわけ牛では「子宮捻転」が怖い病気ですね。妊娠末期に起きることも多く、疝痛症状がでます。どちらかの方向に捻じれます。
整復は母牛を固定して胎児を回転させるか、その逆に胎児を固定して牛を回転させるかのどちらかです。最近では後肢をトラクターで吊り上げて、母牛を回転させるという技も紹介されています。

牛の場合は四胃も捻じれますし、稀に脾臓も捻じれます。
何でも捻じれるのですが、原因は器官により様々のようです。

人間では精巣も捻じれた話も聞きますね。
これも緊急を要します。この捻じれも若い方に多いのです。
まあ、組織固定が幼弱で重量が増えるからだと・・・・・
その点、僕らじゃ捻じれようがありません。

ACTとSPEED 心臓疾患栄養学

2010年02月24日 | 動物医療
バンクーバーオリンピックの女子フィギアは面白いですね。
浅田さんはキム・ヨナさんに僅かに及びませんでしたが、ショートプログラムはあれで充分でしょう。真央さんは以前からショートは苦手のようです。
フリープログラムではどうなるか?安藤さんにもまだまだメダルの可能性があります。
感じとしては安藤さんの方が調子いいなと感じていたくらいです。
とにかく、メダルの色よりすばらしい演技を見せて欲しい。

心臓シリーズ第三弾?
心臓疾患では初期の栄養管理が大切です。
その前に、やはり体重のコントロールは必須です。
適正体重にするだけでかなり改善します。

心臓疾患の予防と治療において
・適切なエナルギーの供給
・酸化ストレスからの解放
・炎症の低減
・電解質の改善
・心筋機能の改善
を目的に治療薬意外に栄養学的介在は重要であると言われています。

最新の心臓栄養学では具体的にはACTとSPEEDといわれています。
A:アルギニン
  正常な血管緊張に寄与していると言われています。つまり、心疾患における循環を改善
  すると言われています。
C:カルニチン
  簡単に言えば、心機能を改善するといわれています。現在も心臓サポート用の療法食に  は含まれています。
T:タウリン
  抗酸化作用が強く、欠乏症で拡張型心筋症になるばかりか、与えることで心不全の改善  になるとのエビデンスもあります。

S:ナトリウム(sodium)
最近は闇雲に制限してもかえってマイナスであると考えられています。心疾患初期では
  重度に制限することでレニンーアンギオテンシンアルドステロン系の反応を刺激して臨  床症状を悪化させることがあります。ACE阻害剤の登場もナトリウム制限の必要性を  減じています。
P:タンパク
  制限することで心臓疾患悪液質を進行させます。高消化のタンパクは必要といわれてい  ます。
E:エネルギー
  過度の制限は病気を悪化させます。過肥と痩せすぎのどちらでもいけません。本来のエ  ネルギー要求の80%前後は必要。
E:エイコサペンタエン酸
D:ドコサヘキサエン酸
  この両者で前炎症性メディエーターの低減を図れます。不整脈の改善にも言いといわれ  ています。

いずれにしても、療法食の早期の介在が有用であると言われてきています。
心臓疾患は奥が深いですわ・・・
  

インターベンション治療

2010年02月23日 | 動物医療
オリンピックのジャンプ団体の日本は検討したと思います。
僕も朝3時に起きてLIVEで観戦しました。
メダルには届きませんでしたが、失敗ジャンプはなかったです。
特に最後の葛西の大ジャンプには感動しました。
葛西は37歳ですが、次のオリンピックを目指すそうです。
4年後の彼の活躍が楽しみです。41歳でジャンプの代表になれれば凄いことです。

さて、昨日に続いてマニアックな心臓疾患治療の最新情報について書きたいです。
ヒトの心血管系においては、カテーテルを中心とした、侵襲性の低い治療が急速に普及してきました。つまり、インターベンション治療の普及です。これにより、一部の先天的心臓疾患もリスクを低くして修正できるようになって来ました。

最新の獣医療ではアメリカを中心にこの分野での普及が広がるかもしれません。
犬で最も一般的な心臓の先天的疾患といえば動脈管開存症(PDA)です。
これは胎生期の大動脈と肺動脈の間の動脈管が生後も残ることで肺動脈に大動脈の血液が流入することで左心系の負担が増して機能低下を起す病気です。
これに対してインターベンション治療で栓塞コイルを動脈管におくことで血栓を作り血流を止めるというものです。日本国内ではこのよう治療が行なわれているとは聞いたことがなく、どうしても治療したい場合は高度循環器医療を行なっている大学や大きな個人病院で開胸手術によりPDA結さつするのでしょうが、動脈管の裂開の危険性もあるそうです。

この他肺動脈弁狭窄症、大動脈弁狭窄症でのバルーン形成術や心室中隔欠損症での栓塞コイル治療も試みられてきています。
さらには不整脈に対するペーシングや副伝導路の電気的焼絡さえ行なわれています。

これらの技術がどのくらいから日本でも普及するか分かりませんが、その可能性は非常に大きいと思います。

さて、明日も早朝からオリンピックを見るのでこの辺で・・・・・

心筋疾患のバイオマーカー

2010年02月22日 | 動物医療
小動物の分野では心臓疾患に関しては今後高齢化とともに癌と並び重要な疾患になることは間違いありません。

アニコム損害保険株式会社は、契約している犬の循環器疾患の発症率を発表していまして、
■循環器疾患の年齢別罹患率
犬の循環器疾患の発症率を年齢別に集計したところ、3歳では1.1%であるのに対し、6歳で4.1%、8歳では8.1%と年齢と共に発症率も上昇していることがわかった。特に、4歳から5歳にかけては有意に上昇が見られたため、愛犬が5歳を過
ぎたら注意をする必要がある。

■循環器疾患の犬種別罹患率
契約頭数の多い上位16犬種をさらに詳しく調査したところ、罹患率が高かったのは「キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル」15.3%、「ポメラニアン」5.9%、「マルチー
ズ」5.3%、「シー・ズー」3.8%、「ヨークシャー・テリア」3.8% だった。
もっとも罹患率の高い犬種であるキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルでは2歳から3歳にかけて有意に罹患率が上昇しており、他の犬種と比較して早期に発症することがわかった。

以上抜粋しましたが、これで10歳以上の小型犬となればかなりの犬が心臓病を有することになります。
しかし、実際病気に気づかず、寿命をまっとうすることなく死亡する例もあると思います。
予防のために早期発見が大切なのですが、心臓病が不顕性のうちから発見するのは従来は難しかったのですが、最近は「バイオマーカー」で早期に発見が可能になってきたようです。

まだ、獣医領域では一般的ではありませんが、心臓病のモニターには有効であることがわかってきました。
バイオマーカーとは特定の組織から産生され、循環血液中で検出できる物質のことで、現在でも腎機能や肝細胞機能の評価に応用されているが、特異性が低い。
その点心臓における
(1)ナトリウム利尿ペプチド
(2)心筋トロポニン
はかなり有用な情報を提供してくれるそうです。

ナトリウム利尿ペプチドのBタイプナトリウム利尿ペプチドの不活性型(NT-proBNP)
はその有用性が多数論文で発表されている。
NT-proBNPのカットオフ値210pmol/Lの場合の心疾患あるいは心不全の予測で陽性的中率は94%、陰性的中率で77%とされている。
これはスクリーニング検査に有用であり、レントゲン検査、心エコー検査の補助ともなる。

心筋トロポニンは心筋損傷で検出できる。ヒトの救急医療において急性冠動脈症候群では必須の検査になっているそうです。

心疾患は重篤になってからではコントロールが厳しくなるので、今後動物医療での普及が望まれますね。

ちなみに、日本では
酪農大で
「犬心疾患マーカーとしての心筋トロポニンIの特異性 」
某製薬メーカー
「犬脳性ナトリウム利尿ペプチド(犬BNP)の高感度迅速ELISAキットの開発」

という論文が2008年に相次いで発表されています。

今日は結構マニアックだったか・・・・・・




犬の凍結精液による授精

2010年02月21日 | 動物医療
昨日は北海道ボランティアドッグの会の理事会でした。
協議する項目が多く、時間が足りなかったですね。

ある方から、犬のブリードに関する相談を受けたのですが、特定犬種の交配犬は北海道ではすくなく、苦労するようです。
とうしても、交配したくて犬を内地のブリーダーまで送る場合も少なくないようです。
しかし、メス犬が怖がりで中々雄を受け入れない場合も少なくなく、思うようにいかないことも多いようです。
こんなとき、そうか!人工授精があると思いつくのですが、日本国内ではまだまだ、普及は少なく、生まれた子を登録するためには結構な壁もあるのです。

「(社) ジャパンケネルクラブ(JKC)は,2008年1月1日以降,犬の輸入凍結・低温精液による人工授精を実施したものから子犬の血統登録を認可することになった.また,海外で人工授精を行い,妊娠した犬を国内に持ち込んだ場合も同様の扱いとなる.この内容(表1)が,JKC発行のGazette 2007年9月号に告示された(JKCの会員数約14万人).また,JKCのホームページにも,同様の記事が掲載されている.ただし,国内で採取された精液の凍結・低温精液の人工授精については,認めておらず今後の検討課題となっている。」
とういう記事がケンネルクラブのHPに掲載されています。

まだ国内では凍結精液の人工授精は認められていないということです。
JKCでは、すでに自然交配が困難な場合など特殊なケースについては、新鮮精液による人工授精は、自然交配に準じて取り扱っている。この場合の人工授精実施者の制限は設けていない。しかし、今回の輸入凍結・低温精液による人工授精については、獣医師が実施することを要件としている。
 JKCが今回の人工授精を認可する背景として、2004年に狂犬病予防法が改正され、犬の輸入が困難になったこと、また犬種によっては空輸を規制されたことなどによる。このため国内で優良犬を作出するためには、海外からの優秀な犬の精液を導入することは、必要不可欠であると判断したためとしています。
海外の凍結精液バンクで欧米最大の精子バンクの1つであるインターナショナル キャナイン シーメン バンク(icsb)の技術講習を受けた認定獣医師の資格というものがあり、現在「日本国内の認定医は7名で北海道では一ヶ所のみです。」と記載している動物病院もありました。
大動物では人工授精技術は確立された技術として普及して、ほとんどの牛は人工授精で繁殖されていますが、犬ではまだ未開の部分です。
ブルセラ病などの伝染病の予防や遺伝性疾患の予防の上では、犬の人工授精は普及していもいい技術、仕組みだと思います。
国内でもJKCが認めれば情勢が変わるかもしれませんね。

ブリーディング

2010年02月20日 | 動物一般
2月も後半ですが、まだまだ寒いですね。
昨日、町内の排雪作業を行い、せっかくきれいになったので降って欲しくないのですが。

愛犬に交配してお産させたいという方は意外と多いのもです。
しかし、実際に相性の会う相手を見つけるのは難しいみたいですね。
犬種毎にブリーディングしている人を見つけて、発情を見極めて、受胎を確認して、お産を無事にさせなくてはいけませんから、経験の少ない方や初めての方にはかなりの負担でしょう。その上、遺伝病のことも考慮しなくてはいけませんし、自然交配の場合、相性の問題は大きいものです。

動物病院にも発情の時期を診て欲しいとか、受胎を確認していほしいと来院する方は意外とい多いようです。
写真の粘膜の標本には細菌が沢山あり、発情期が近いのですが、受胎は難しいかもしれません。
発情は外部徴候や子宮粘膜の確認で大体の時期が分かりますが、妊娠の確認と胎児数は時期やタイミングの問題から意外と難しいものです。レントゲンを撮っても完全に何匹いるかは断定できないものですね。

この一連のブリーディングのサポートは意外と全部取り仕切れる人は少ないようです。
この分野でのスキルアップがこれから求められるのでは?
その点、牛や馬は確固としたものがありますね!

排雪と後肢麻痺の猫

2010年02月19日 | 動物医療
今日は振替休日をとって、町内の排雪の手伝いでした。
バンクーバーオリンピックの男子フィギアフリーが気になり、家を出たり入ったりしましたが・・・・・高橋選手の「銅」よかった!

こういうときに近所の方といろんな話をしながら作業するのですが、ある方は後肢がほとんど麻痺した猫を保護したそうです。
ようやく立つ程度で歩行は困難で尿、便は垂れ流し状態とか。前肢は正常らしいです。
こうなると、第四腰椎から下の神経損傷でしょう。大腿神経、坐骨神経とさらに骨盤神経が損傷しているのかもしれません。下位運動ニューロン部分の障害ですね。骨盤神経は尿道括約筋や肛門括約筋を支配する副交感神経です。これらを、野良猫ですから誰かに殴打されたことで損傷された気がします。

保護している方にどうですかと聞かれましたが、厳しいとしかいいようがありませんでしたね。でも保護してもらってよかったです。

これから、排雪の「反省会」です。