癒し系獣医師の動物病院開業日誌

アニマルセラピー団体で活動している癒し系獣医師。農業団体職員から脱サラし、動物病院を開業しています!

牛の輸血

2010年03月31日 | Weblog
3月31日は年度の最後の日です。
退職者は辞令をもらい、皆さんに送られて職場を去り、人事異動による移動があるのです。
どこでも似たような事をしていたでしょう。従って全く落ち着かない一日でした。
まあ、席かえです。子供の頃はワクワクしましたが、職場のそれはまったくめんどくさいというのが本音ですが、いたし方ありません。

で、明日は4月1日の新年度スタートです。
そんで辞令交付とか打ち合わせとか一杯あって・・・・・・ああ、正直面倒だ。

まあ、そんな駄々こねてないでちゃんとやりますがね・・・・

先日、献血のことを書きましたが、牛どうしで献血することもあるのです。
例えば潰瘍や血便で酷い貧血になったり、子牛が弱っている場合など輸血が非常に有効な場合もあります。
ヘマトクリットが10%切ったら輸血の必要性があるでしょう。

牛の血液型は複雑でたくさんあります。
正確にはクロスマッチ検査が必要で、その結果を見て輸血するかどうか決めたほうがいいのです。しかし現実には1回目は少し投与して副反応がないか確認してから行なうのが現実でしょう。
輸血量は貧血の度合いにもよりますが、10%を切るなら60kgの牛で10L以上必要でしょうね。
クエン酸Caで凝結と低カルシウム血症を予防しつつ点滴します。
ただし、この輸血は伝染病を広げる危険性(特に白血病)があるので注意が必要です。

CVCT

2010年03月30日 | Weblog
ちょっと写真では分かりにくいのですが、セラピー適性検査の「服従性」の検査をしているところです。
なかなか服従性が良好である場合はそうは多くはありません。

ところで、
今日も見ましたが、牛の劇的な病気で代表的なものの中にCVCT:後大静脈血栓症という病気があります。
これは後大静脈内に生じた血液が管腔を閉鎖するとともに、剥離脱落または一部断裂して肺動脈の栓塞もしくは肺動脈内膜炎や多発性肺膿瘍さらには肺動脈膿瘍を起して、それが破裂して激しい喀血を起して急死する例も多い病気です。

「朝牛舎に行ったら、牛が大量の鼻血を出している」という凛告ならこの病気の可能性が高いですね。飼槽に大量の血があるわけですからそりゃびっくりします。
単純な鼻血ならいいのですがね。

原因の原点には肝膿瘍などが根底にあります。
比較的新しい病気で、なかなか治療法はありません。
発症したら即、死亡や廃用になる病気です。
人間や他の動物にも起こりえるのでしょうが、牛に多いと思います。

鼻血ブーなどと言ってられない、恐ろしい病気です。
予防も治療法もこれといってないのですから。

メデトミジンとアチパメゾール

2010年03月29日 | 動物医療
今日は職員の送別会でした。
何にせよ、仲間が去るのは切なく何となく寂しいものです。

写真はなんでしょう?
猫ですが、鼻腔に問題ありです。
飼い主さんがなんとしても鼻が乾くのはおかしいといってレントゲンを懇願した結果発見です。

知って得するか分かりませんが・・・・動物の鎮静化に使われる薬剤を紹介しましょう。

メデトミジンとアチパメゾールという組み合わせは今や動物の鎮静の王道です。
ちょっとした処置を行うため割と気軽に鎮静処置ができるのはこの両者の組み合わせがあるからです。
この組み合わせは10年ほど前から使われだしました。
従来はキシラジンという薬剤を使っていたのですが、薬剤作用の選択性にやや不安定なところがありました。しかし、メデトミジンはα2アゴニストとして鎮静, 鎮痛, 交感神経の抑制などの多彩な薬理作用をもっていて、キシラジンの選択性の10倍あります。そのため作用に安定性が抜群にいいのです。この両者の出現は大きいですね。

メデトミジンの適用量で40~60分は沈静化できます。
作用は従容量で、多く使えば作用時間が延長しますが、拮抗薬アチパメゾールの投与でどの段階でも覚醒します。しかも少しですが鎮痛作用もあるすぐれものです。

一般の患者さんはご存知ないでしょうが、動物病院ではこんな薬剤を使っていることを知っていた安心していただければと思います。

まあこれでけでなく、もう少し他の薬剤との組み合わせでさらに安全な鎮静化を行なっていますが、これは個々の獣医師の企業秘密でしょう。

白内障

2010年03月28日 | アニマルセラピー
無事セラピー犬の検査が終わり少し安堵はしているのですが、まだ完全に終わっていませんしね。

昨日の検査は先に書いたとおり37頭受験で30頭適性ありと判定しました。
経験を重ねるほど、想定されなかった課題や問題点もでてきてまだまだ軌道に乗ったとは言えませんが、改善していくしかありませんね。
それでも少しずつよくなってきています。
突発的な事項に対する課題や検討はいくつかありました。

問題があっても、放置せず取り組むことが必要ですね。まあ、当たり前か・・・


検査中時間が空いたとき、会員さんとお話しをするうちに気づいたのは、高齢犬が増えるにつけて、人間の老齢疾患にあたる病気がよく話題になるということです。
とりわけ、ほとんどの高齢犬に発生する老齢性白内障はよく話題になります。

水晶体は、7歳を過ぎた頃から混濁が出始めます。犬の寿命が延びた現在、この混濁は犬種を問わず、ほとんどの犬で認められるのです。
しかし、混濁から完全白濁に至るまでの進行過程は犬ごと様々であり、混濁があって一生涯視力を保つケースあります。で初期の混濁状態から治療を予防的に治療していくことがいいのではないでしょうか。
視力低下に伴って、「物によくぶつかる」、「段差でつまずく」、「動く物に反応しなくなる」、「暗いところで動かなくなる」、「壁伝いに歩く」、「飼い主の手を間違って咬む」などの症状がでてきます。
そもそも犬の白内障には生まれつき眼が濁ったまま生まれる先天性のものと、糖尿病や腎不全などによる代謝性のものがありますが、最も多いのは老化による白内障。だいたい8~10歳以上になると白内障にかかる犬が増えてきます。特にプードル、コッカー・スパニエル、ミニチュア・シュナウザー、アフガン・ハウンドなどは白内障の好発犬種と言われています。
点眼薬
カタリン点眼液(一般名:ピノレキシン)、タチオン点眼用(一般名:グルタチオン)は動物でも初期加齢白内障に用いられます。どちらも抗酸化作用とタンパク質不溶化抑制作用により、水晶体の濁りを抑制し、白内障の進行を遅らせるとされています。現在、これらの点眼薬が最も広く使用されています。
内服薬
チオラ錠(一般名:チオプロニン)は初期加齢皮質白内障に、パロチン錠10mg(一般名:唾液腺ホルモン)は初期加齢白内障に用いられます。どちらもタンパク質不溶化抑制作用により、水晶体の濁りを抑制し、白内障の進行を遅らせるとされています。
でも、まあ動物は点眼治療がメインです。

家の犬も白内障適齢期?なので毎日目を見ているのですが・・・

適性検査終了

2010年03月27日 | 動物一般
本日のセラピー犬の適性検査終了しました。
37頭受験して適性ありは30頭で81%の適性ありでした。
しかし、新規犬が少なくピーアール不足であったようです。反省・・・

天候はなんとか持ちましたが、とにかく寒い
それでも風がなかったのはまだ良かったかな。
しかし、帰りは猛吹雪でした。
お手伝いの皆さん無事帰れたかな?
3月も終わりというのになんという天候。

皆さんお疲れ様でした。
まだ犬体検査もあるし・・・

でも今日は眠いス!
おやすみ 

猫の抗体検査

2010年03月26日 | 動物医療
今日は振替休日ですが、いよいよ明日はセラピー犬の適性検査なので準備の日にあてました。これが終わらないと僕の春は来ないのです。
明日は40頭程度の検査ですが新規受験犬が少ないので残念です。
酪農学園大学をお借りして、朝の9時15分スタートですが早く行って準備します。
最初の検査が始まると後は流れていくのでのそれまでが勝負!

ところで最近は猫の飼養頭数が増えてきましたので猫関係の獣医療も発達してきました。
写真は特別な装置が不要な猫白血病(Felv)及び猫免疫不全症(FIV)抗原の検査キットです。全血が3滴あれば15分で判定できます。
特に野外飼養の猫や猫を保護した場合は検査しておいた方がいいですね。

ただし、この検査キットはちょっとお高い。
でも他への感染防御や無駄なワクチン予防、そしてなにより猫本人の健康保持のため外で暮らしていた猫は検査したほうがいいいですね。

内地では野良猫の10%以上はFIV陽性とか・・・

中毒

2010年03月25日 | 動物医療
北海道には棲息しないが、ヒキガエルは有毒種なんですね。
何かで読みましたが、犬がヒキガエルを誤って銜えたたりした場合は、注意しなくてはならないようです。
ヒキガエルの毒素は心臓に異常を起こします。ヒキガエルの耳下腺(耳の鼓膜の盛り上がっているところ)からは、強力な毒素が分泌されます。この部分を犬が嘗めたりくわえたりすると、毒素が口の粘膜から吸収されます。

「ヒキガエル」・・・
「最大体長17.6cmとヒキガエル属内でも比較的大型。体色には変異があり赤、黄、黒等がある。皮膚にはイボがあり、耳腺は大きい。外敵に掴まれる等の刺激を受けると、耳腺やイボから乳白色の毒物「ブフォトキシン」を分泌する。」

いや、結構こわいですね。初めて知りました。

カエルのことは置いといて、「中毒」に対する病院けの問い合わせは結構あるようです。
飼い主さんへのアドバイスをまとめてみました。

無処置で大丈夫そうな事例・・・
・摂取後2時間以上経過して、量が少量と思われる場合

催吐・胃洗浄を要する場合・・・
・摂取後1時間以内で、症状が現われる可能性がある場合
 まあ、当たり前かもしれませんが。
 ちなみに催吐は意識がはっきりした場合でないと禁忌です。
 また、石油抽出物や強酸性や強アルカリ性の刺激物を吐かせると食道にも悪影響を
 及ぼしますからやめた方がいいです。
 病院で吐かしてもらうのがいいのですが、家庭でも過酸化水素水3.3%5~10ccを飲 ませるだけで結構吐きます。本には15ml/kgとありますがこんなに無理でしょう。
 台所用洗剤を3倍くらいに薄めて与えても吐くそうです。

 病院では吐根シロップやキシラジンの注射が一般的でしょうか。
 2時間以内なら胃洗浄も有効です。活性炭も有効です。胃洗浄後は下剤や利尿処置も
 行なうようです。

なんで、こんな話になったんだろう・・・・・






犬の輸血

2010年03月24日 | 動物医療
僕自身は犬の輸血に遭遇したことはないのですが、適応症はいろいろあります。
調べると、輸血は大切で有効な手段です。

コンパニオンアニマルに対する輸血治療の役割が重要になってきており、血液製剤の利用が急増している。このような現状において、安全かつ効果的な輸血のための血液型判定および交差適合試験の必要性が認識されているようです。

 イヌの血液型:イヌの血液型は赤血球抗原に関連した13種類が報告されており、いわゆるDEAに分類されるようです。DEAは例えばDEA1、2やDEA3のように表され、それぞれについて陽性と陰性が存在する。中でもDEA1.1は最も抗原性が強く不適合輸血により同種抗体反応を生じ、二度目の感作の場合には急性の溶血反応起こる。つまり、輸血に際してはDEA1.1の陽・陰性を調べるべきであり、米国では簡便な査用キットが用いられていましたが、最近は日本でもキットが発売されています。
これと、所謂クロスマッチ検査を組み合わせて輸血していい血液型を判断します。
犬の血液型とその頻度ではDEA 1.1の陽性が33-45%、陰性が55-67%といわれています。
病院で偶に供血犬を飼っているところがありますが、1頭ではだめなので、陽性犬と陰性犬を飼っているのだと思います。

輸血の適応症は手術の際の輸血もあると思いますが、主に貧血、血液凝固障害、低タンパク血症などです。肝臓障害を起してDICになった犬にも適応するでしょうね。

いろいろ調べて投稿したいのですが、27日のセラピー犬の適性検査の準備があるので続きは今度・・・・・

血清と血漿

2010年03月23日 | Weblog
冬に戻り、喜ぶのは犬です。

昨日は成分輸血のことを書きましたが、「血清」と「血漿」ってごちゃごちゃになりません?
ここで整理しましょう。
血清:血液を採取してしばらく放置しておくと2層に分かれてきます。このうち、上層の液体部分が血清です。
下層の血餅は細胞成分が繊維素(フィブリン)とごちゃごちゃに絡み合った凝固した状態です。つまり、血清=血漿-フィブリノーゲンなのです。

血漿:採取した血液に抗凝固剤を加えておくと凝固が起こらないので、下層に存在するのは細胞成分だけで、上層にはフィブリノーゲン(=フィブリンのもとになる物質)が入っています。このときの上層の液体成分のことを血漿といいます。
   つまり、だから生体内の血管内にあるのは血漿の方ということになります。

意外と分からないものです。
余計なお世話でしたでしょうか?




献血

2010年03月22日 | Weblog
今日は成分献血してきました。
先日の金曜に職場に来た献血車で献血しようとしたら、前回ヘモグロビン量が不足して献血できなかったデータから成分献血を依頼されました。
曰く、「成分献血は全血献血よりヘモグロビン値が低くてもできるのでお願いしたい。成分献血は血小板の保存期間が短く圧倒的に不足しているのでお願いします。」とのこと。
実際、私の自宅は献血センターの近くでしたし、成分献血は初めてでしたので、興味?
も手伝い快諾しました。


成分献血は・・・
「成分献血は一旦全血を採取し、遠心分離器で得た必要な成分を回収した後、遠心分離器内で抗凝固薬(クエン酸ナトリウム)を混ぜた残りの血液を体内に返血する手順を複数回(主に3〜4回、機械・体調等により決定)繰り返す。そのためHb値(200mL全血、血漿成分献血は12.0以上[4]、400mL全血、血小板成分献血は12.5g/dl)に達していなければ献血をすることはできない。採血に時間がかかる(30〜90分)。」
以上、抜粋ですが今回の僕のHbは12.3g/dlでやや回復傾向でした。前回献血しようとしたときは確か、11.7gでしたから。それでも条件ギリギリですね。成分献血では12g以上でOKだそうです。

祝日ということもあり、結構献血にきていました。TVを見ながら約1時間と少しで終了です。成分献血時に口唇・手指のしびれ感、寒気、気分不良になるのは、血液が固まらないように投与されたクエン酸反応による献血の副作用です。成分献血では、血液が固まらないようにクエン酸を血液に混ぜて返血しています。この症状は、採血する装置や献血種類(血小板、血漿)により反応が異なるようですが、これはカルシウムの摂取で防止できるので献血中にカツゲンのような味の飲料を飲みました。なぜクエン酸によって血液が固まりにくくなるかというと、血液が固まるときには、カルシウムの働きが必要で、クエン酸はカルシウムの働きを邪魔するからです。

献血の中でも血小板献血は特に重要で、白血病やガンの治療に欠くことが出来ず、輸血用血液供給の40%以上を占めています。しかも全血献血・血漿献血に比べて、血小板の有効期間が採血後72時間以内と非常に短いため、毎日、多くの方の協力が必要となっています。
成分献血の場合血球は戻してくれるので、多少貧血でもいいということです。僕もこれくらいしか社会貢献できませんので、いいことさせてもらったと感じました。

いい祝日だったなぁ!