少しずつ暖かくなってきましたが、もう少ししたらフィラリアの予防の季節ですね。
北海道でも道東は感染の危険性が低いですが、感染の可能性はあります。ですから、予防はしたことに越したことはありません。
フィラリアの感染の可能性の期間を示す概念にHDUがあります。
HDUとはHeartworm Development heat Unitの略で、近年フィラリアの感染可能期間を類推する方法として日本犬糸状虫症研究会、犬フィラリア症予防普及会により提唱されているもので、概ね感染期間と一致すると考えられています。
算出式は((最高気温+最低気温)/2)-14
を1日HDUとし(マイナスの時には0とする)、春はそれを加算していって130を超えた時点
で冬は最近30日間の合計HDUが130を切った時点、つまりその年の終点です。
つまり、予防は130を超えてなるべく速やかに予防したgほうがいいのですが、細かく言えば
フィラリアの成長はL1(ミクロフィラリア)から始まりますが、L1は体内にいても、そのままでは成虫まで成長することができません。一旦、蚊の吸血によって蚊の体内に入り込み、L3まで成長して、犬に感染する能力を得ます。寒い時期に蚊がL1を取り込んでも、L1は成長できずに蚊の体内で死んでしまいます。
L3まで成長した虫を持った蚊がもう一度犬を刺すと、その傷口からL3が犬の体内に入り込みます。つまり、感染が成立する可能性が出てきます。
L3は犬の皮膚の下で成長して心臓まで虫が到達すれば感染成立ということになります。
フィラリアの予防薬と呼ばれているものは実際にはフィラリアの幼虫が皮膚の間にいる間に殺す駆虫薬です。予防薬といっても少し御幣があるかもしれません。
イベルメクチンはL4幼虫のみを殺すもので、確実に殺せるのは感染15~50日齢の幼虫です。確実な駆虫期間はミルベマイシンよりも短いのですが、ジャーキータイプがあります。
ミルベマイシンはL3,L4,L5初期の幼虫を殺すもので確実に殺せるのは感染15~60日齢の幼虫です。確実な駆虫期間はイベルメクチンよりも長いです。
まあ、正確には駆虫薬です。
ちなみに、札幌ではHDU130を超えるのは大体6月下旬で終わりが10月初旬ですから、駆虫は7月初旬から11月初旬くらいまでしょう。
気温が重要な病気です。