癒し系獣医師の動物病院開業日誌

アニマルセラピー団体で活動している癒し系獣医師。農業団体職員から脱サラし、動物病院を開業しています!

死因不明社会

2010年02月01日 | Weblog
日本では死因の分からない死に対する解剖率が著しく低いままということをご存知でしょうか?
「死因不明社会」というテーマで海堂尊さんが本を書かれていますね。

死の原因を究明するため、臨床医が中心になって家族の同意を得て行う病理解剖、刑事上の理由で裁判所が許可して行なう司法解剖、死因が不明で行政が行う解剖は東京23区で監察医のみが行なっている。

病理解剖は家族の同意がなければできませんし、監察医による解剖も東京23区は別として全国的には家族の同意が必要ですからそれほど多くないのでは?
やはり抵抗があるでしょうね。
しかし、本当に死因がわからなく犯罪性の可能性がある場合は死因を探求したほうがいいに決まってますが、そこは家族の心情も考慮せねばなりません。

さりとて、死亡してから体表を診ただけで死因は分からないことが多いでしょうね。
その点画像診断だと受け入れやすい点がAIのミソです。

AIとはAutopsy imaging(エーアイ)の略で死後にCTやMRIを撮って死後診断の一助とすることです。そんな中、法医学者主導でAi 導入やAiセンター運営が行われる場合に問題が生じる、ということがはっきりしてきました。 AIによる診断は確立されていないからです。

そんな中、
「死因が分からない遺体について、和歌山県警の昨年1年間の司法解剖率は11・4%で、6年連続で全国2位だったことが28日、警察庁のまとめで分かった。47都道府県警の平均はわずか4・1%。鳥取、埼玉の連続不審死事件で解剖医不足などが指摘される中、和歌山の場合も、県警と解剖を担う県立医大法医学教室とのさらなる連携強化が期待される。
現行制度では、急死したり死亡した状態で見つかるなど死因不明の遺体は、警察官と医師が検視して事件性の有無を判断。事件性が疑われれば解剖医が司法解剖を、薄ければ行政解剖して死因を調べる。まとめでは、県警に昨年届け出のあった変死体は対前年比16体減の1355体。うち司法解剖を行ったのは154体で解剖率は秋田県警(15・6%)に次いで全国2位だった。行政解剖を含めた総数でも12・2%で全国6位とトップレベルだった。」

記事から抜粋しましたが、行政の取り組みによっては解剖率もあがるのでしょうか?
産業動物の世界でも死因不明社会の状態になりつつあるのも事実ですね。

家畜の解剖はBSE検査等のこともあり、社会のしくみから難しくなってきていますがなんとか克服する方法を考えねばなりませんね。