癒し系獣医師の動物病院開業日誌

アニマルセラピー団体で活動している癒し系獣医師。農業団体職員から脱サラし、動物病院を開業しています!

犬の凍結精液による授精

2010年02月21日 | 動物医療
昨日は北海道ボランティアドッグの会の理事会でした。
協議する項目が多く、時間が足りなかったですね。

ある方から、犬のブリードに関する相談を受けたのですが、特定犬種の交配犬は北海道ではすくなく、苦労するようです。
とうしても、交配したくて犬を内地のブリーダーまで送る場合も少なくないようです。
しかし、メス犬が怖がりで中々雄を受け入れない場合も少なくなく、思うようにいかないことも多いようです。
こんなとき、そうか!人工授精があると思いつくのですが、日本国内ではまだまだ、普及は少なく、生まれた子を登録するためには結構な壁もあるのです。

「(社) ジャパンケネルクラブ(JKC)は,2008年1月1日以降,犬の輸入凍結・低温精液による人工授精を実施したものから子犬の血統登録を認可することになった.また,海外で人工授精を行い,妊娠した犬を国内に持ち込んだ場合も同様の扱いとなる.この内容(表1)が,JKC発行のGazette 2007年9月号に告示された(JKCの会員数約14万人).また,JKCのホームページにも,同様の記事が掲載されている.ただし,国内で採取された精液の凍結・低温精液の人工授精については,認めておらず今後の検討課題となっている。」
とういう記事がケンネルクラブのHPに掲載されています。

まだ国内では凍結精液の人工授精は認められていないということです。
JKCでは、すでに自然交配が困難な場合など特殊なケースについては、新鮮精液による人工授精は、自然交配に準じて取り扱っている。この場合の人工授精実施者の制限は設けていない。しかし、今回の輸入凍結・低温精液による人工授精については、獣医師が実施することを要件としている。
 JKCが今回の人工授精を認可する背景として、2004年に狂犬病予防法が改正され、犬の輸入が困難になったこと、また犬種によっては空輸を規制されたことなどによる。このため国内で優良犬を作出するためには、海外からの優秀な犬の精液を導入することは、必要不可欠であると判断したためとしています。
海外の凍結精液バンクで欧米最大の精子バンクの1つであるインターナショナル キャナイン シーメン バンク(icsb)の技術講習を受けた認定獣医師の資格というものがあり、現在「日本国内の認定医は7名で北海道では一ヶ所のみです。」と記載している動物病院もありました。
大動物では人工授精技術は確立された技術として普及して、ほとんどの牛は人工授精で繁殖されていますが、犬ではまだ未開の部分です。
ブルセラ病などの伝染病の予防や遺伝性疾患の予防の上では、犬の人工授精は普及していもいい技術、仕組みだと思います。
国内でもJKCが認めれば情勢が変わるかもしれませんね。