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 玉川上水の木漏れ日の下

 ワヤン・トゥンジュク梅田一座のメンバー katakura のブログ  since 2013

スペイン旅 15「なぜ何もないのですか?」バルセロナ・パビリオン

2018-11-17 | スペイン旅

バルセロナ・パビリオン  設計:ミース  
1929年 バルセロナ万博にドイツ館として建設。万博終了後撤去。
1986年 万博と同じ場所に復元。現在、ミース記念館として公開。

突然ですが、モダニズム建築のご紹介。
「バルセロナ・パビリオン」
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この建物はスペイン広場からカタルーニャ美術館へ向かうアプローチの傍にひっそりとありました。
ここも誰もいない。
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鉄とガラスと石を使ったモダニズム建築の究極の名作。
近代建築の巨匠ミース・ファン・デル・ローエ(ドイツ)の代表作。
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 このパビリオンは万博の一般向けの展示施設ではなく、当時のスペイン国王アルフォンソ13世を迎えるためのレセプションホールとして建設されました。
 簡単に説明すると「田舎者のスペイン国王に近代国家ドイツの誇る最先端デザインと技術を見せつけ驚かせ、ドイツの力を誇示するための国家ぐるみの大仕掛け!」でした。
 普段はきらびやかな装飾に彩られた宮殿で暮すスペイン国王です、いきなりこの何もない殺風景なパビリオンに招かれて・・「なんなんだこれは?何もないじゃないか?」・・とさぞ驚いたことでしょう。89年前の出来事でした。
 アルフォンソ13世はこの2年後の1931年に政治的な行き詰まりから亡命、スペイン王政は廃止されます。そして共和政の失敗、スペイン内乱、フランコ独裁政治へとスペインは悲しい歴史をたどります。


89年前、バルセロナ・パビリオンでのレセプション風景。
中央に言葉を交わすアルフォンソ13世(中央)とミース(その右)。
13世「・・なぜ何もないのですか?」
ミース「・・美しいからです。」・・なんてね。
(会話は創作です)


彫刻家コルベの裸婦像・・素敵です。


「・・なぜ何もないのですか?」
89年前、これをいきなり見せられたアルフォンソ13世もさぞお困りだったと思います。
(私はこの水を見ていてカワウソがいたら楽しいナ・・と思いました)


「・・なぜ何もないのですか?」
「Less is more. 」(より少ないことは、より豊かなこと)
 ミースの名言です。

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「・・なぜ誰もいないのですか?」
お答えします:
このパビリオンは公園に面した開かれた空間です、
公園からはよく見えていますが中に入るのには入場料5€が必要、
普通の人は外から見るだけで充分、
5€払ってパビリオンの中にわざわざ入るのは建築マニアだけ、
だから誰もいないのです。


パビリオンのすぐ隣の池ではちょうどワンチャンたちの水遊びでした。
(ホラ!だからパビリオンの池にもカワウソがいれば楽しいのに〜)



スペイン旅 14「誰もいない」コロニア・グエル

2018-11-15 | スペイン旅

コロニア・グエル教会(1908年着工〜15年一部完成〜16年全体工事中断) 設計:ガウディ 
ユネスコ世界遺産 バルセロナ近郊サルバリョ市
ガウディ56歳(着工時)の作品。
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 大きな石の柱、カタルーニャ独特の薄いレンガを積み上げた天井、とても美しい架構です。
 ここに並べられた礼拝用の家具もガウディのオリジナル。祈りの道具として機能的に出来ています。
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 着工当初はこの空間の上に巨大な教会を積み重ねる計画だったので、相当な荷重に耐えられるよう強固な構造となっている。無垢の玄武岩を積み重ねた柱は、石と石の接合部に緩衝材として「鉛」が挟んであるそうです・・当時の知恵です。
 この教会の管理人さんが教えてくれました。

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 バルセロナ郊外にある「コロニア・グエル教会」を尋ねました。
 郊外に向かう電車で40分「コロニア・グエル駅」に到着、無人駅、乗降客3人(内:私たちが2人)寂しい駅。駅付近にも人がいません。
 のどかな田舎の風景の中を徒歩で10分「コロニア・グエルの町」に到着、ここにも人がいません。でも道路に車は駐めてあるし窓辺に鉢植もあるので生活は感じます。
 町のインフォメーションを尋ねる。係の女性が一人だけ。地図と音声ガイドを受け取り「コロニア・グエル教会」に向かう、ここからもう近い。
 途中で下校中の小学生数人と出会ったので少しホッとした。
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 教会に着くと先客が二人いましたが、じきに帰ってしまったので、あとはこの素晴らしい空間に私たち夫婦だけ。なんという贅沢な時間でしょうか。「誰もいない」。
 夕暮れの静かな礼拝堂に私たちの靴音だけがコツコツと響きます・・いい雰囲気です。
 ガウディをとても近くに感じた素晴らしい体験でした。
 ここを訪ねてよかった。


「ステンドグラス」
換気用に開く姿がなんだか可愛い。結構大きな窓です。
夕刻になると管理人さんが下から紐を引き
「ギ〜〜バッタン」と閉めて回ります。
・・とてものどかです。「い〜い仕事だな〜」


「外観」
これではなんだかわかりませんね。
現在の建物は計画全体の一部です。
この上に巨大な教会が建てられる予定でした。


「完成模型」 (復元)
赤い線から下が現在の建物。上が未完の教会。


「構造研究」(当時)
布に重りをつけて天井から吊り下げています。
この写真を逆さまに見ると「完成模型」の形になる。
ガウディはこうやって美しい構造を考えました。
面白いですね。


人と出会わなかった町「コロニア・グエル」
スペインの空はどこまでも青い。



スペイン旅 13「ウネウネと」カサ・ミラ

2018-11-13 | スペイン旅

カサ・ミラ:ミラ邸と高級賃貸住宅(1906着工〜12竣工) 設計:ガウディ
ユネスコ世界遺産 バルセロナ

ガウディ54歳(着工時)の作品。
オーナーのミラ家の邸宅と高級賃貸住宅からなる大規模建築。
現在も賃貸住宅として使われているようです、賃貸1区画がなんと400M2(120坪)もある。
ガウディ最後の市井の仕事、ガウディはこのあとサグラダ・ファミリアに専念します。
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 この建物の屋上は本当に不思議です。まず、全体がウネウネと波打っています、平らなところがどこにもない、そして不思議な形の換気塔や塔屋がニョキニョキと立ち並んでいる。見学者はうねった屋上の段を上ったり下がったしながらカメラを構えます。いい運動になります。
 この屋上、今は超人気スポットなので見学者で溢れていますが、建設当時は一体誰のためにこんなに手の込んだ造形群を作ったのでしょうか?不思議です。
 ここもまさに「不思議の国」。バルセロナには不思議の国がたくさんありました。


「不思議な屋上」
ここも見学者でいっぱい。ワイワイガヤガヤ


屋上の直下階には屋上を支えるレンガを積んだ小屋裏があります、
この小屋裏のレンガの積み方に変化をつけて屋上のウネウネを作っていました。
この空間、現在はガウディの資料展示スペース、充実した展示内容で面白かった。
どこまでも迷路のように続くレンガのボールト天井がいい感じでした。


ウネウネと波打つ石の造形、とても丁寧に仕上げられています。
石の曲面とコントラストをつけるガサガサっとした黒い手すりが素敵でした。


カサ・ミラは大きな交差点に面してウネウネと建っていました。
ここから見ると「不思議な屋上」も少し頭を出しています。
この建物前の歩道にも大勢の見学者がカメラをかざして群がっていました。
まるでガウディの「集会」です、私もこの集会に参加する一人。
ワイワイガヤガヤ


スペイン旅 12「ピカソが通ったから」クアトロ・ガッツ

2018-11-08 | スペイン旅

「クアトロ・ガッツ 」店内。 バルセロナ

 建物めぐりもちょっと休憩、「クアトロ・ガッツ(4匹の猫)」で昼食です。
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 天井と梁の色が印象的な空間、壁には店のトレードマークの二人こぎ自転車の絵、Ramon Casasの作品。オリジナルはカタルーニャ美術館に展示されているそうです。
 このお店は1897年創業。当時は芸術家たちのたまり場でまだ若かったピカソも通ったそうです。現在のお店は1981年に再現。
 今はガイドブックに「ピカソも通った」と必ず紹介されるので大繁盛でした。私たちも「ピカソが通った」からここを訪ねました。やっぱりピカソは凄い!「通った」だけで人が集まるのですから。
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「昼の定食: Menu del Dia(19€)がお手軽でおすすめ」
とガイドブックにあったのでそれを頼みました。 


グラスワイン 1杯付。


ガスパチョ。
これはとても美味しかった。
アクセントにイチゴとチーズが入っていた。


ビーフシチュウ。
少し塩っぱい、量はたっぷり、
学食にありそうな感じかな?
味付けが単調で飽きてくる。
生野菜の緑が欲しくなるプレート。
いまいち。


デザート:ベリー系のシャーベット。
ふつう。
これもハーブの葉がチョンとのってると良くなるな。
料理全体に「彩」に工夫をすると良いと思いました。
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楽しみにしていてわざわざ訪ねたのですが昼の料理は「ふつう」、残念。
お店の雰囲気は良かったから、夜お酒を飲みにくると良いかも。


入口はこんな感じ。
大繁盛でした、「ピカソが通ったから」。






スペイン旅 11「直線はどこだ?」カサ・バトリョ

2018-11-06 | スペイン旅

カサ・バトリョ:バトリョ邸(1904着工〜06竣工) 設計:ガウディ 
ユネスコ世界遺産 バルセロナ

ガウディ52歳(着工時)の作品。
前作グエル邸から14年後の大作、繊維業の大金持ちバトリョ家の邸宅。
もともと建っていた建物をベースにガウディが大改装。
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この仕事の頃のガウディはすでに名のある建築家、
グエル邸に比べて肩の力がすっかり抜けて自由自在です。
建物は外も内もグニャグニャと波打ち、渦を巻き、うねっていました。
この建物で「直線」の部分を探す方が難しい。
「直線はどこだ?」
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ガウディの超人気建築!
バルセロナのメインストリート、グラシア通りに面したこの建物の前には、
大勢の見学者がカメラをかざして群がっていました、凄い人気です。
まるで何かの「集会」のようでした。
中に入るのも予約がないと大変。




道路側ファサードの木製サッシ。
このグニャグニャと波打つサッシの窓部分は、
上下にスライドして開き風が通ります。
とてもよく考えられています。


「直線はどこだ?」
照明と天井:グルグルと渦巻く天井。


「直線はどこだ?」
階段室とトップライト:フワフワと漂う空間。


「直線はどこだ?」
暖炉コーナー:グニャっとした心地よさそうな小さなスペース。


「海の底」
採光と通風のために設けられた吹き抜け空間。
水の底を漂っているような不思議な空間でした・・ブクブクブク。


ガウディこだわりの屋上の換気塔。
この屋上も見学者がいっぱい。
凄い人気です。



スペイン旅 10「大富豪の館」グエル邸

2018-10-28 | スペイン旅

パラウ・グエル:グエル邸(1886着工〜90竣工) 設計:ガウディ 
ユネスコ世界遺産  バルセロナ

 ガウディ34歳(着工時)の作品。
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 ガウディの生涯のパトロンの大富豪グエルの住居。バルセロナの中心エリア(東京だと銀座かな?)に建つ超豪邸。実業家グエルの社交場としても使われたそうです。
 内外ともにグエル所有の採石場から運ばれた豪華な石がふんだんに使われています、外観は住居というよりは銀行のような印象でした。見るからに「重かった」・・大富豪ですから。
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 私たちが訪れたのが夕刻だったので内部は薄暗く、豪華な石の壁、重厚な木の天井、そして金の装飾に囲まれた空間は威圧的で重い印象でした。
 この館、当初は別館として建設されましたが、グエルはこの建物がとても気に入り完成後にはここに移り住んだそうです。きっとこの豪華で重厚な雰囲気が好きだったのですね・・大富豪ですから。
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 そんな大富豪の感性など全く理解できない貧乏な見学者夫婦は「敷居高過ぎ。空間重過ぎ。キンキラし過ぎ・・ここにはあまり住みたくないね」などと自分たちの粗末な生活を物差しに失礼な感想をコソコソと呟き合うのでした。
 「お前たち貧乏人に住んでくれとは誰も言っていない!」と大富豪グエルさんの声が聞こえます。スミマセンでした。


サロン上部の三層吹き抜けの大空間。
来客をもてなす社交場として使われたそうです。
薄暗い空間に金の装飾がキラキラしていました、
私たちが訪れた時にはパイプオルガンが演奏されていました。
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この建物の設計は大富豪のグエル伯爵から依頼です、
この仕事の成否に建築家ガウディの将来がかかっています。
まだ若いガウディは相当な緊張感でこの仕事をしたと思います。
・・ご苦労様。


黄金の吹き抜け。


豪華な石の階段。


重厚な木の天井。


寝室などの個室はだいぶくつろいだ感じなのでホッとしました。
家具が素敵でした。

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換気塔の不思議なデザインはガウディのこだわり、
ここでやっとガウディらしい自由な楽しさを感じました。
でもこの換気塔、どこからも見えないんです。


不思議な換気塔


不思議な換気塔





スペイン旅 9「 ガウディの第1作」カサ・ビセンス

2018-10-26 | スペイン旅

カサ・ビセンス:ビセンス邸(1883着工〜85竣工) 設計:ガウディ 
ユネスコ世界遺産  バルセロナ

 ガウディの建築として実現した第1作。ガウディ31歳(着工時)。
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 「建築主はタイル業」だったそうです。そう聞くと「なるほど」とわかりやすい外観です。全体にタイルを貼りめぐらしていますがとても軽快な印象でした。タイルをベタで貼らずに抜き方が上手いのですね。
 装飾にイスラムを感じます。当時のスペインではヨーロッパとイスラムの融合したデザインが流行っていたそうです。この建物を見るとそれがよくわかります。とても装飾的なのですが「明るくて軽い」印象でした。
 若いガウディがのびのびと建築を楽しんでいる感じが伝わってきます。
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 この建物は昨年2017年11月から内部見学が可能になったばかり、まだあまり周知されていないので見学者は少なく静かにゆっくりと見学できました。(これからは混雑するでしょう)
 建設当初の隣接していた広大な庭園は売却されていますが、竣工してから130年間個人の邸宅として使われていました、内外装などのオリジナルは損なわれていないそうです。これは凄いことです。
 数年前に某不動産会社の管理となり見学に向けた丁寧な修復が行われています、見学者用の案内展示も充実していました。


楽しい外観。「建築主はタイル業」
まるでお菓子の家のようなタイルの家。


楽しい部屋。「建築主はタイル業」
イスラム装飾のような天井の部屋。
一見派手ですが実際はほど良い大きさの落ち着いた空間でした。


植物の装飾。草や花をモチーフにした装飾が多くありました。
この部屋は日本風な感じ。(和風ではなく日本風)




鳥の装飾。可愛いですね。
インテリアは建築主の好みなのでしょう、
建築主の「ビセンスさん」は楽しい人ですね。


楽しい換気塔。国籍不明の楽しいデザイン。
ガウディは初期の頃から換気塔のデザインにこだわりがあったようです。
「建築主はタイル業でした」おしまい。




スペイン旅 8「メンテナンス工事中」グエル公園

2018-10-23 | スペイン旅

グエル公園(1900着工〜14竣工) 設計:ガウディ 
ユネスコ世界遺産 バルセロナ

この光景、柱で高く持ち上げられた舞台のような建造物を見上げていると、
京都の「清水寺」を思い出しました。清水寺の方がもっと混んでたけど。
・・しかしスペインの空は青い!「半分、青い。」ではなく「全部、青い。」
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 ガウディのパトロンの大富豪グエルが試みた「理想の町」のプロジェクト(宅地造成分譲事業)。
 バルセロナ市街を見下ろす山に計画された「理想の町」、その中心となるコミュニティ施設として建設されたのがこの「敷地の高低差をうまく利用したパブリック施設」、市場などの用途として計画されたそうです。
 販売予定60戸分の宅地の内、売れたのは1戸分だけ、あとはグエル1戸分とガウディ1戸分。残りはまったく売れなかった大失敗プロジェクト。今聞くと面白い話ですが、当時のグエルとガウディはさぞかし落ち込んだことでしょうね。この失敗プロジェクトのパブリック施設やガウディの暮らした家などが現在はグエル公園として公開されている。
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 朝一番でグエル公園に行った。ここは30分毎に400人の入場制限があり、3ヶ月前に日本からネット予約をしておいた(もちろん妻が)、朝の9時枠(30分遅れると無効になってしまう)。
 ホテルでゆっくり朝食をとっている時間がないので、用意しておいたサンドイッチを部屋で食べ、近くのカタルーニャ広場のタクシー乗り場に急行する。タクシーで15分ほどでグエル公園に着いた、意外と近い、ギリギリ予約時間に間に合った。
 朝一番枠なのにグエル公園はもう人でいっぱいでした。すごい人気スポットです。


屋上広場の半分が「メンテナンス工事中」でした。
表面の土をどかし、お椀を伏せたような架構を出しています。
よく見ると細かいワイヤーメッシュを敷きモルタルを塗り直していました。
(表現が現場っぽくてスミマセン)
とても珍しい光景です、面白かった。
防水の強化工事のようです。


この列柱の上部にお椀を伏せたような架構が載っています。
空間の意匠と架構が一体なのがよく分かります。
この列柱の空間は市場として使われる計画だったそうです。


屋上広場の有名な波形にうねっているベンチには人がいっぱいです。
もちろん私たちも座って写真を撮りました。ハハ


だから、人のいないベンチを撮るのは結構大変なんです。


ベンチの破砕タイルの装飾は見事です。
このタイルを見ただけでガウディを連想します。
このベンチの装飾はガウディの協力者の建築家ジュジョールの仕事。


有名なこの空間、訪れた人はみなさん(私も)何故かこの向きで写真を撮ります。
だから撮影する人が同じ方向を向いて立っています、面白いですね。


グエル公園といえばこのトカゲ。
神話に出てくるドラゴンとの説もあるらしいのですが、
どう見ても「よだれを垂らしたトカゲ」です。
このトカゲのミニチュアをお土産に買いました。
可愛いね!(日本に帰ったら名前をつけよう)


スペイン旅 7「なんなんだこれは!」サグラダ・ファミリア

2018-10-21 | スペイン旅

サグラダ・ファミリア「誕生のファサード」  設計:ガウディ
ユネスコ世界遺産:「誕生のファサード」と「地下聖堂」

「なんなんだこれは!」
 雨に濡れた「誕生のファサード」を真近で見上げた私の印象です、マジカ。その時の私の顔は多分「岡本太郎」化していたと思います。
 雨に濡れてドロドロと重さを増した「誕生のファサード」は、建築というよりも「土の塊が地表から噴き出し固まりながら溶けている」そんな印象でした。凄い存在感に圧倒されます。やはりこれは凄い!
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 サグラダ・ファミリアは1882年起工。ガウディは1884年にこの仕事を引き継ぎ、その後1926年交通事故で亡くなるまで生涯の仕事となりました。現在はガウディの残した膨大な資料を基に建設中。
ーーー
 私が学生だった45年前、サグラダ・ファミリアは私たちの憧れでした。当時はまだ「誕生のファサード」と周辺の壁が出来ていただけ、大学の講義で「サグラダ・ファミリアが完成するまで後350年かかると言われている、ヨーロッパの教会建築は完成まで何百年もかかるのは当たり前、彼らはそんな時間軸で建築を考えています」と西洋建築史の先生が言っていた。
 まだ若かった私たちはその話に素直に感動した。「凄い!いつ完成するか分からない建築を何百年もかけてひたすら作り続ける・・なんて素敵な話だ!」と、目を潤ませてその話を聞いていました。
 「俺、卒業したらサグラダ・ファミリアの工事現場に行って働くよ!」と真顔でボランティアの決意を語る者もいました。(彼はその後バルセロナには行きませんでした、ハハ)
ーーー
 そんな45年前の若者たちに感動と夢を与えた「未完の建築:サグラダ・ファミリア」でしたが、どうした事でしょうか、いつの間にか2026年(ガウディ没後100年)の完成を目指して現在凄い勢いで建設中ではありませんか。
 8年後に完成です。「最新の技術」と「経済効果」と「やる気!」でなんと300年も工期が縮まったのです。これにはガウディもビックリ!
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 憧れの建築「サグラダ・ファミリア」を訪ねました。
 教会は中も外も、凄い数の見学者で溢れていました(まるで清水寺や金閣寺みたい)。みなさんそろって上に向かってカメラを構えています(私もそうです)、この建物に入ると自然と上に視線がいきます、だってカメラを横に向けると人しか写らないから。・・首が痛くなる。
ーーー
 外では建物のはるか上空を何台もの大型クレーンが長いアームを回しながら建設資材をどんどん引き上げています。工事足場にはたくさんの作業員。この光景を見ていると「本当に後8年で出来るかも!」と思いました。・・・完成をお祈りしています。


「なんなんだこれは!」
雨に濡れた「誕生のファサード」
なんだかドロドロ溶けてきそうな凄い量感でした。
(・・サンマは目黒・・カウディは雨の日に限る)


「もうこんなに出来てます!」
教会の内部は見学者で溢れています。
みなさん自然と上に視線がいくようです。


「もうこんなに出来てます!」
完成するとこの写真の左端が教会の正面入口になります。
このアングルは教会を真横から見ています。
ーーーーーーーーーー
気分を変えて天気の良い日に再び写真を撮りに訪れました。
雨の日に比べるとだいぶ「普通の印象」だったので少しホッとしました。
ここから見てみると教会建築としてかなり整って来ていることがわかります。
でもこれからさらに大きく高い塔がドカドカ立ち並ぶそうです。倒れないでね〜。
(KYB製の免震・制振装置には気をつけてください)

スペイン旅 6「人を癒す力」サン・パウ病院

2018-10-19 | スペイン旅

サン・パウ病院・病室(復元)  設計:モンタネール
天井は伸びやかに高く自然光が明るく射し込むとても綺麗な空間でした、癒されます。
日本人の感覚だとこれだけのボリュームがあれば2層にしたくなるところですね。

 「芸術には人を癒す力がある」モンタネールの信条だったそうです。施術や投薬だけではなく建築のつくりだす「美しい環境そのものが病気を治す力」となる、との信念を持っていたのでしょう。
 その言葉通りこの病院はとても美しい空間で溢れていました。どの部屋も穏やかな自然光が射し込み、換気など快適さに充分配慮した合理的な設計になっています。病棟の内部はモンタネール独特の不思議な装飾も控え気味、穏やかな空間でした。この空間ならゆっくり眠れそうです。


談話室天井
装飾にイスラムを感じますね。
とても軽い印象の素敵なドームです。
カタルーニャの人は薄くて軽い架構(カタルーニャボールト)を作る名人です。


病室に隣接した談話室(ケースに入った白い彫刻は展示品です)
ガラス窓に囲まれ自然光が射し込む明るく開放的な空間。
とても気持ちが良い空間でした。

スペイン旅 5「サン・パウ病院」

2018-10-18 | スペイン旅

サン・パウ病院(1902着工〜1930竣工) 設計:モンタネール
ユネスコ世界遺産 バルセロナ

 まるで「装飾の塊」のような濃密な建物が広大な敷地に群をなしてドカドカと建っているではありませんか。360度見渡してもこの風景に囲まれています、どこまで歩いてもこの風景が続きます。その迫力に圧倒されました、まさに「不思議の国」です。
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 20世紀初頭、銀行家で大富豪のパウの寄付をもとに起工。
 カタルーニャ音楽堂と同じく建築家モンタネールの作品。モンタネールは建設途中で死去、息子が後を継ぎ、着工から28年をかけて完成したバルセロナの大プロジェクト。
 2009年までの80年間、病院として機能していたそうです。現在は修復中ですが見学もできます。見学のための案内や施設もとても綺麗で充実しています。バルセロナの人たちがこの建物を大切にしている気持ちを感じました。
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 この病院建築群は本当に凄い!(私は何にでも「凄い!」と連呼しますが、これは本当に凄い!)
 個々の建物としても面白いのですが「群」としての迫力が凄い!14万5,000平方メートルの敷地内に28(構想当初は48)の建物が立ち並んでいます。この規模に驚きます。凄い!凄い!
ーーーーーーー
 ここは面白いですよ〜。もちろんガウディ建築は素晴らしいのですがいつも人で溢れています、ここなら人も少ないく(今ならまだ)ゆっくり見学できるので建築好きの人にはオススメです。サグラダ・ファミリアからメトロで1駅、とても近い。元気を出せば歩ける距離です。


正門:管理棟正面
この建物と正対する位置にサグラダ・ファミリアが見えています。


不思議な装飾「群」
凄い迫力でした。


不思議な装飾
中央の入口上部には個々の建物名称にちなんだ「像」が置かれています。


不思議な建物に囲まれた広い庭。
この庭の下には建物間を連絡する地下通路網があります。


この地下通路網でそれぞれの建物は連絡しています、
医師や患者、スタッフ、医療器具はスムーズに移動できます。
・・・・・
連絡通路を地下に埋設しているので地上の庭も広々と使えるし、
個々の建物のそれぞれの外観がスッキリと見えます。
移動の利便性と全体景観に配慮した合理的な発想だと思いました。
(工事は大変だけど)
120年前の病院計画です。凄いですね!


スペイン旅 4「着席物語」カタルーニャ音楽堂コンサート

2018-10-15 | スペイン旅

カタルーニャ音楽堂コンサート(2018.09.19)
指揮:グスターボ・ドゥダメル 演奏:マーラー室内管弦楽団 曲目:マーラー第4番
「完璧な組み合わせです!」

 カタルーニャ音楽堂のコンサートに出かけました。ホテルのフロントで音楽堂へのメトロの最寄り駅を尋ねたところ、「ここからなら歩いて行くのが一番早くてイイヨ」と笑顔で教えてくれた。ホテルから徒歩15分、とても近い。
ーーーーーーー
 音楽堂に到着すると、ちょうど入場が開始したところ。なんだかよくわからないまま「確か3階?」と、みなさんの流れに沿って大階段を上がる。席はステージの後方席だったのは覚えていたが、右側か左側か肝心なところを忘れてしまった。チケットの座席番号を見ても左右がわからない。ヤバ。
 右か左の差なのだがステージ後方はパイプオルガンで通り抜けできないので、客席のはるか後ろ側(ホールの一番長〜いルート)を大きく迂回して反対側にやっとたどり着く。これが大変。
 やっと席が判明したのだが、すでにみなさん着席している。古い建物なのでここがまた狭くギリギリの席幅のため、遅れて来た私たちが奥に入るためには先に着席している人たちに一旦立ってもらい通路を譲っていただかないとたどり着けない。ちょうど日本の居酒屋の狭いテーブル席の一番奥からトイレに立つときの情景と似ている。中にはマツコデラックスみたいな女性もいて通り抜けるのが大変だった、「スミマセン、ペルドン、ゴメンナサイ、ソーリー」と謎の言葉を呟きながら通してもらいやっと着席できた。開演ギリギリ。みなさん本当にスミマセンでした。
ーーーーーーー
 そしてコンサートは本当に素晴らしかった。感動した!
(この記事では「この感動」を熱く語るつもりでしたが、「着席物語」が長くなってしまったので省略)


今や世界的に人気の指揮者:ドゥダメル(ベネズエラ出身)
「2004年第1回グスタフ・マーラー国際指揮者コンクールに優勝、
一躍脚光を浴びる存在となった」そうです。
確かに素晴らしかったな。
また行きたいけど、日本公演だとチケットが高いから悩みます。

スペイン旅 3「カタルーニャ音楽堂」

2018-10-13 | スペイン旅

カタルーニャ音楽堂(1905着工〜1908竣工) 設計:モンタネール  ユネスコ世界遺産

 19世紀末から20世紀初頭、バルセロナで活躍した建築家はガウディが有名ですが、モンタネールも名作を数多く残しました。彼はガウディと同じ時代に活躍し(ガウディより2歳上)、当時はガウディ以上に名声を博し社会的な地位も政治力もある建築家だったようです。
 カタルーニャ音楽堂はカタルーニャ合唱団(市民合唱団)のために作られた音楽堂。いまでも現役、クラシック音楽に限らず様々な催しに使われています。
ーーーーーーー
 カタルーニャ音楽堂の朝の見学ツアーに参加しました。
 前夜、私たちはこのホールで開催されたコンサートに来ていました。大勢の観客たちの熱気と夜のきらびやかな光に溢れた濃密な空気とは一変して、早朝のホールは人も少なくステンドグラスを通した柔らかな光に包まれて、まるでサンルームでくつろいでいるような心地よさがありました。(紅茶とクッキーが欲しくなります)
 自然光がふんだんに入るこんなに開放的な音楽専用ホールも珍しいのではないでしょうか。世界遺産に登録されている建築で現役のコンサートホールは、ここカタルーニャ音楽堂だけだそうです。
ーーーーーーー
 建物の内外には私たち日本人にはちょっと驚く「モンタネール独特の不思議な装飾」で溢れていますが(これも楽しい)、空間は明るく解放的でモダンな印象でした。今から110年前の建物です。


不思議な装飾。


不思議な装飾。花のモチーフが多い。


建物旧正面。(現在のエントランスは別にあります)
旧市街に建設したため前面道路は狭くほとんど引きがありません。
建物を眺めるというよりも下から見上げる感じです。
それを意図したデザインのようにも見えます。
それにしても不思議な外観です。

スペイン旅 2「カタルーニャ」

2018-10-09 | スペイン旅

カタルーニャの旗(モンジュイック城:バルセロナの港と街そして地中海を見渡す丘に建つ古い要塞)

「思い出」
(これから時々、先日行って来たスペインの旅を思い出しながらご報告します。)

・・・・・・・
 バルセロナに着きました。(9.17)
 バルセロナはカタルーニャ州の州都。ガウディの建物が有名です。オリンピックも開催されました。
・・・・・・・
 カタルーニャはスペインからの独立意識がとても強い自治州。カタルーニャ語(カタラン)とスペイン語が公用語です。バルセロナの街を歩いていても「黄と赤のカタルーニャの旗」は、いたるところで見かけますがスペイン国旗は見かけませんでした。
 公共の施設名も、カタルーニャ広場、カタルーニャ音楽堂、カタルーニャ美術館、カタルーニャ博物館などカタルーニャが冠されたところがとても多い。
・・・・・・・
 でも観光客には特別な感じはなく普通のスペインでした、みなさん親切に接してくれます。「アディオス」とかスペイン語で言ってくれます(カタランだと「アデウ」らしい)。私たち東洋人から見るとみなさん陽気なスペイン人に見えます。当たり前ですね。


カタルーニャ美術館
この大げさなこと!!
これは絵葉書ではありません、現実です。

スペイン旅「ビールがうまい!」

2018-10-08 | スペイン旅

赤っぽい土と整然と並ぶオリーブの樹。(マドリード近郊)
樹を植えたばかりの若い畑ではないようです、どこもこんな密度でした。

南部スペインの典型的な風景。
もちろんこれは私の旅の印象。
スペインは麦やコメも穫れるし、山や川や森もある。
でも私のスペインの第一印象は、まるで西部劇のようなこの「乾いた風景」でした。
(実際にマカロニウエスタンはスペインで撮影されたそうです、「荒野のナンチャラ」です。)
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アジアの鬱蒼と繁った樹々の眺めとは随分と違います。
アジアで感じる「水分」がないのです、南部スペインの印象は「乾いた風景」でした。
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「スペンにいるとビールがうまいんだよな〜」と帰国のたびに兄が言っていましたが、
実際にスペンに滞在してみると本当にそうなのです、ビールが美味しいんです。
すぐに喉が乾きます、滞在中に大量のビールとアクアを消費しました。
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この乾燥した空気と日中の強い陽射しの下にいると、外に居たくありません。
陽射しが強くなった頃には家に帰り遅い昼食をゆっくりととり、昼寝をする。
夕方、陽射しが弱くなった頃にまた酒場に繰り出し、夜遅くまで陽気に騒ぐ。
スペイン人のそんな生活パターンがわかるような気がしました。
(もちろんスペインでもオフィスワーカーは普通の勤務時間です)
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こんな「乾いた風景」に囲まれていると、
公園や街路に大きな樹をたくさん植えて木陰を作り、噴水に涼を求めたくなる。
そんなスペインの街づくりが分かる気がします。
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「スペインではビールがうまい!」