練習オタクの日々

3日ぼうずにはしたくありません!この日記とピアノのお稽古。練習記録とその他読書などの記録をつけておきます。

『りかさん』 梨木香歩

2008-04-02 | 読書
最近梨木さんの話にはまっています。

この『りかさん』は前に読んだ『からくりからくさ』に出てくるお人形「りかさん」がようこの元にやってきたときの話。
いわば『からくりからくさ』のエピソード0と言えばいいでしょうか?

私はたまたま『からくり・・・』の方を先に読んでしまったけれど、
それは結果的にラッキーだったと思います。
この『りかさん』を読みながら、やがて成長したようこがどうして染色の世界に入ってゆくのか、どのような少女時代をすごすことによって『からくり・・』の世界のベースが作られてゆくのか、登場人物の過去、そしてなによりりかさんがどんな風に大切にされてきたのか、ふたたびじっくりとかみしめながら物語を楽しむことができます。

魂を持った人形たち。
不気味ともいえるほどの情のこめられた人形のエピソードもこの物語では語られます。
でも、梨木さんの作品を読んでいつも思うのは、霊、とか、漂っている念、とかいうものは決して恐ろしいばかりのものではない、ということです。
生きている私たちとは違うけれども、ただ形を変えてあたりに存在しているものたち。
それらはとてもいとおしく、可愛いものたちなのではないか、と。
拒絶せずに素直に受け入れることによって怨、恨といった負の要素は消えてゆくのではないか、と。

『りかさん』がエピソード0ならば、『からくりからくさ』の後の物語とも言えるちいさなお話も載っています。
こちらも感動的です。


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