練習オタクの日々

3日ぼうずにはしたくありません!この日記とピアノのお稽古。練習記録とその他読書などの記録をつけておきます。

『夜をゆく飛行機』 角田光代

2006-12-25 | 読書
酒屋の四人姉妹・・・というとなんだか楽しそうでお店も華やかで・・・というのは勝手な先入観かもしれない。
確かに四人四様でにぎやかな雰囲気ではあるが、そうひとすじなわではいかないのが角田作品。
長女は駆け落ち歴があって結婚したけど出戻りのような状態でまた失踪して、次女はなんだか暗いんだけど実は小説をこっそり書いていてそれがナントカという賞を受賞してでもその作品は家族の暴露小説で、三女はちゃらちゃらしてるだけで物干しをルーフバルコニーとか言っちゃうようなセンスで、四女は自分の下に生まれるはずだったけど母が流産してしまった子供をぴょん吉と名づけているわけもないその弟に自分の思いを打ち明けている・・・。

いろ~~んなことが書いてあって、いろいろハッとするような言葉が書いてある小説なんだけれど、私的に一番ドッキリしたのは、四女のりりこがおばあちゃんが死んだとき、携帯にその連絡が何度も入っているのに別の人からの「うざい」電話だと思って無視しつづけて自分が惚れてる男と飲みに行ったりして浮かれて過ごしていた、というような場面だ。りりこはおばあちゃんという人のことを思い出すとき、おばあちゃんの死に目に自分が何をしていたのか一生忘れないだろうと思うのだ。
それ、私自身もまったく同じような思いを抱いたことが一度ならずある、と思った。
なんでもないようなことなんだけれど、角田さんのそういう感性とかがすごく鋭いなぁなんて思ってしまった。


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